23話「操り人形は消えた」
とうに命は失い、フィレアンの操り人形と化していたローガンは、私の放った魔法によって消滅した。
かつて婚約者だった人。
かつて共に生きてゆくものと思っていた人。
その人は、いとも簡単にこの世から消え去ってしまった。
「ご無事でしたか!」
「ええ、問題ないわ。それより、ありがとう。間に入ってくれて助かったわ」
「高貴な人をお守りするのが我らの使命ですので」
「感謝しているわ」
「お優しいお言葉をありがとうございます!」
こうしている間にもフィレアンは世界を破滅へ導こうとしている。
様々な場所で破壊行為を繰り返して。
人々に黒き心をばらまこうとしている。
……でも、そんな野蛮な企みを上手くいかせるつもりはない。
「では引き続き共に戦いましょう」
「はい!」
フィレアンのことは詳しく知らない。
ローガンが惚れていた女性ということくらいしか知らない。
でもその情報は結局偽りのもの。
ローガンとフィレアンは純粋に想い合っている男女ではなかったから。
となれば、私が彼女について知っていることなど何一つないということである。
「こちら、片付きました!」
「さすがね。ありがとう」
「ぁ……う、嬉しい、です……褒めていただけて……て、照れます」
「本当の思いを伝えただけのことよ」
「あ、ありがとうございますっ。偉大なる王女さま! 尊敬しています! 感謝すべきはこちらですっ」
私を支えてくれる人は多くいる。
だからこそ私は今こうして敵前に立つことができている。
「データまとめておきました」
「ありがとう、きっとこの先役に立ってくれるわ」
「三十冊になってしまいましたが……」
「そんなに! きっととてもクオリティが高いのね。気合いたっぷりにデータをまとめてもらえたみたいで嬉しいわ」
すべての人の協力があってこそ、ここに立っている私が在る――そのことを忘れてはならない。
「精霊族の王女よ、できるものならやってみよ、わしを倒してみよ!」
「来たわね」
「わしは東の悪魔族長ヴェンヴェル・アロス・アハハハハットン・エリスグルーヴィングス!」
「お望み通り倒して差し上げるわ」
次なる敵は、フィレアンの近しい部下の一人、老将軍ヴェンヴェル・アロス・アハハハハットン・エリスグルーヴィングス。
「わしの力をみよ……ワッショイワッショイワッショレイオジオイオサオンワッショイワッショイングワッショイの術!!」
ヴェンヴェルは黒い波動を飛ばしてくる。
だがその程度の攻撃に負けるつもりはない。
「ギョウボ・ギョウボ・ドルーシ!」
一旦防御魔法で身を護り。
「ウンタラ・ウンテラ・アンディア・ルシシピエーシェラ・アンディラッツ・エリシトシリアカリアランティラメクルシィク・ウンタラ!!」
即座に反撃する。
「な……う、ぐぅわあああああああああ!!」




