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婚約破棄され泣きながら帰宅している途中で落命してしまったのですが、待ち受けていた運命は思いもよらぬもので……?  作者: 四季


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19話「悲しき二人」

「よお! 兄ちゃん、なーんか良さげなもん身につけてんじゃん?」

「そういうのくれよ。俺らに。俺らさ、お金なくって困ってんだ。人助けだと思ってさ」

「しかも女連れとか羨ましいの極みだっての」

「ちょこーっとムカつくなぁ。だ、か、ら、よ。ちょこっと痛い目に遭ってくれや。な? 恵まれてるやつ見たら虐めたくなんだよ俺ら」


 ある時、ナインスが賊に襲われ、金目の物を奪われそうになったうえ命まで狙われそうになって――それで私は咄嗟に魔法を使ってしまった。


「やめてください!!」


 私はただナインスを護りたかった、それだけだった。


「うぎゃ! ぐ、あああああ! や……やべ、え……じゃん……」

「ぷみゃあっ」

「ぐはああああ! う、嘘、だろ……女連れじゃ、なく……化け物、連れ、かよ……や、っ、べえ……」

「うぼああああああ!! ……んな、アホな。……ムカ、ついてる……場合じゃ、ねえ、な……逃げねえと……っ、ぃゃ、もうムリ、か……ぐはぁ……」


 賊を倒すことには成功したのだが。

 私の魔力の秘密が明るみに出てしまうこととなり。


「大丈夫ですか!? ナインスさん」

「……ローゼ、君、僕を騙してたんだね」


 ナインスに化け物を見るような目で見られてしまう。


「魔女だったんだ」

「っ……そ、それは……」

「そういうことだよね」

「で、ですが、これは悪しき力ではありません」

「そういう問題じゃない!!」


 魔法を使うべきではなかった。心の底からそう思った。けれど、あの時魔法を使わなければきっと彼を救えなかった。あのままだったらきっと彼は賊らに酷いことをされていただろう。色々なものを奪い取られていただろうし、最悪命まで取られていたかもしれなかった。それほどに危機的状況だったのだ。だから、彼をそこから救うには魔法で対抗するしかなかった。他の選択肢なんてありはしなかったのだ。


 大切な人を護りたい。

 それは正常な感情であるはず。


 でも、そのせいでこんなことになるのなら、護るべきではなかったのかもしれない……。


「悪いけど、婚約は破棄とするよ」

「そんなっ……!」

「ごめん。でも、魔女とは生きていけない。それにさ、僕だけの問題でもないよ。親とか親戚の人たちだって僕が魔女と結婚するってなったら嫌がると思う」

「隠していたことは申し訳なかったと思っています。ですが、本当に、この力は悪いものではないのです。誰も不幸せにはしません」


 ただ、彼を護りたかっただけだった。


 幸せな未来のために。

 二人で行く明日のために。


 それだけだったのに……。


「ローゼ、君は二度と僕の前に現れないで」


 凍り付くような冷たい目をしたナインスは。


「さよなら」


 平然と私を切り捨てた。



 どうしてこんな風になってしまったのだろう……。

 どうしてこんな目に遭わなくてはならないのだろう……。


 心を満たすのは絶望ばかり。


 時が流れても、何度も、最後に見たナインスの顔を思い出してしまう。


 あの硬い表情。

 あの冷たい瞳。


 忘れてしまえれば楽になれるのに忘れることはできなくて。


 積み重なる絶望はただひたすらにこの胸を突き刺す。


 彼と共に歩みたかった。

 彼と共に生きていきたかった。


 幸せな未来を信じていたのに……どうしてこんなことに。



 絶望した私ローゼリアスはある晩気づけばこの世を去っていた。


 ちなみにナインスはというと。

 あの後少ししてまたしても賊に襲われたようで。


 今度は私がいなかったので無事とはいかず。


 衣服をすべて剥ぎ取られ、誘拐されたうえ、かなり酷い目に遭わされて――結果落命してしまったようである。

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