16話「民の怒り」
ベガウディとマリィが裏で親しくしていたこと、それもちょっとした仲良しさなどではなく深い仲にまで発展していたこと、それらが世に広く知れ渡ったことによって、ベガウディは我が国の民から反発を受けることとなる。
「国に帰れ! いや、帰るな! 我らの王女さまを、偉大なるキュートプリンセスであるリリネさまを、裏切るような男を許すわけにはいかない! 黙って罪を償え! 残りの人生すべてを償いに捧げろ!」
民の中にはそんな風に主張する者が多く発生。
「そうよ! リリネさまを傷つけて!」
「あたしたち、みーんな、王女さまを愛しているの! だからこそ、その王女さまを傷つけられちゃ黙っていられないのよ!」
「謝りなさいよ! 民の前で!」
「土ぉ下座ぁしろったぁら土下座しろ! 土ぉ下座ぁしろっ! ったぁら、しろってぇんだ! へい! 土下座土下座土下座! へい! 早く謝れぃ! へい! 土ぉ下座ぁしろって! ほらっすぐ! 土下座しろってんだよぉ! へぇい!」
ベガウディの立場は一気にかなり苦しいものになってしまった。
とはいえそれも彼の行いゆえ。
つまりは自業自得ということ。
彼が余計なことをしなければこんなことにはならなかったのだから、悪いのはただ一人、ベガウディだけである。
「もー! 謝ってよ! 悪いことをしてしまったら謝る、って、ふつーっのことでしょ? まずは謝って、話はそこからだよ!」
「罪を償えー!」
「みんなの前でリリネさまに謝罪しなさいよ!」
「謝れよー!」
「そうだよ、こんなのおかしいよ! まだ謝ってないとか! そんなじゃ社会じゃ生きていけないよ!」
「まずは謝れー!」
民たちの謝罪要求は日に日に強まっていく。
しかしベガウディとマリィは謝らなかった。どころか、しまいには「自分たちは被害者」などと言い出して。まるで自分たちに非はないかのような発言を繰り返した。
それによって民の怒りもより一層大きくなっていく。
……そしてついに。
「「「ベガウディとマリィを許さない!!」」」
民の怒りが最高潮に。
「二人を出せ!」
「そうよ! 今すぐここへ連れてきて!」
「あのようなやつら……民の怒りで燃やしてくれるッ!!」
「王女さまを傷つける者は民の敵! 我らが倒す! 必ず、ここで倒す!」
「取り敢えず裏切り者の二人を出しなさいよ!」
王城前に集まった民たちはベガウディとマリィをそこへ連れてくるように訴えた。
最初は国側もそこまで真剣には捉えておらず。
それゆえ対応はしていなかった。
国の上層部も、放っておけばいずれは落ち着くだろう、というくらいに考えていたのだろう。
しかしこの時の民らの訴えはその程度の訴えではなかった。
二人を出さないなら自分たちで引きずり出す、そのくらいの覚悟で、民たちはそこへ集まっていた。
「はよ出せぇ!」
「隠すなよ! 王家は裏切り者の味方なのか? あり得ないだろ! 王女さまが傷つけられてるんだぞ!」
「はよせぇ!」
「あたしたちみんな怒ってるの! ベガウディのこと、絶対許さないから!」
「ベガウディとマリィをつれてこぉぉぉい!!」
「ねえ! まだなの? 遅いってば!」
「どうなっているのよ! 対応が遅すぎるって! 早く裏切り者をつれてきなさいよ!」
このまま放っておくと民の怒りが王家へ向かう――危険であると判断した父はベガウディとマリィを民の前へ出すことに決める。
そしてそこで私に宣言させた。
「ベガウディさま、貴方との婚約は破棄といたします!!」




