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鑑定の結果、適職の欄に「魔王」がありましたが興味ないので美味しい料理を出す宿屋のオヤジを目指します  作者: 厘


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9 今度は女の子が



  狩った鹿は、村のハンターのおじさんと一緒に解体をした。

 「見事な鹿だ。持ってくるの、大変だっただろう?」

 ハンターのおじさんはそう言って僕を褒めてくれた。……ケルベロスに運んでもらったけれど、それは黙っておく。

 「立派な鹿肉、ありがとう」

 解体を手伝ってくれたお礼に、鹿肉をおすそ分けした。使い切れない分は冷凍しておく。


 この世界の一般の人々は、火を起こしたり、コップ一杯の水を出したりと生活に不便ない程度の魔法を使える。

 強力な魔法を使える者はだいたい王族か、貴族。または()()()平民でも強力な魔法を使える者もいる。そういう特異な者は発見されて、国で調べられる。危険な思想を持っていないか、人に害をなさないか。

 女神様の鑑定は、実は国民全員調べて国に害をなすものはいないか、発見するという一面もある。


 「さてと、使い切れない鹿肉は凍らせて……と」

手のひらを鹿肉にかざし、氷をイメージする。するとたちまち鹿肉が凍り付く。凍らせすぎないよう慎重に魔法をかけた。

 僕は人より魔力が多いため、コントロールが大変だった。神父さんにもらったブレスレットのおかげで、楽にコントロールできるようになった。


 「そういえば、またレベルが上がってたよな……」

確認するのを忘れていたので開いてみた。ピコ! なんだか可愛らしい音がして斜め上の空中へお告げ書が開いた。


 ~◆レベルが上がりました!◆~


 ・料理 解体レベル 10

 ・テイマーレベル 50(30アップ)


 ~◆おめでとうございます!◆~


 「へっ!? テイマーレベルが、めちゃレベルアップしてる!」

これはもしかして、ケルベロスを懐かせちゃった……ってことかな。どうしよう。

 あんなに大きくなるケルベロス、飼えない!

 「う――ん。あっ!」

僕は焦ったけれど、子ケルベロスはまだ小さいし、親ケルベロスがまだ育てているから大丈夫だということに気が付いた。

「でも僕、あんまり動物に好かれたことないけど……」

まあいいか。

 今日もお惣菜屋さんを頑張るぞ!



 「マオ君! お惣菜を夜ご飯の時に食べたら、家族に好評だったわよ!」

お惣菜を買ってくれた、近所の奥さんが褒めてくれた。

 「それは良かったです! ありがとう御座います!」

 大家族のママさんなので、毎日大変で助かっていると感謝までされた。

 「また来るわね」

「お弁当も旨かったぜ!」

 そう言って買ってくれたお客さんの声が嬉しい。


 「今日も完売できた! この調子で頑張る……あれ?」

立ちっぱなしで疲れたので、足首をクルクルまわしてほぐしていた。だいたいお惣菜は売れたので、もうお客さんは来ないと思っていた。

 

 「良いにおい……。何か食べ物はある?」

長い黒髪の女の子だった。三角の先が折れ、くたびれた布の帽子を目元が隠れるまで深く被っている。マントを羽織っていて服装は見えない。

 「いらっしゃいませ。ほとんど売れちゃったけど、まだありますよ」

僕は村で見かけたことがない女の子に話しかけた。

 「その、茶色くて丸い食べ物、なあに?」

女の子はマントから手を出して、茶色の食べ物を指さした。


 「ああ! これは、から揚げと言って鶏肉を味付けして揚げたものです」

この世界には無いもの。から揚げ。このお総菜屋さんで人気なお惣菜だ。

 「味見、してみます?」

僕は小さめのから揚げを楊枝(ようじ)に刺して女の子に渡した。

 「……食べていいの?」

「どうぞ」


 女の子は遠慮をしていたけれど、手にから揚げの刺さった楊枝を渡した。

「ん……! 美味しい」

はむ……と、から揚げを食べた女の子はモグモグと美味しそうに食べた。良かった。お気に召したようだ。

女の子はお腹が空いているようでテーブルの上にあった、から揚げをじっと見た。ポケットの中に手を入れて、ごそごそと何かを探している。

 「こ、これで足りるかな?」

 手のひらにあったのは、金貨。


 「そ、それは多すぎだよ。銀貨一枚で足りるよ」

品物の前には、値段がわかるように紙に書いて貼ってある。金貨は前世の日本で一万円の価値がある。銀貨は千円。

 「そうなの? じゃあ、これ……」

 今度は銀貨を渡してきた。お釣りを渡そうとしたら、くるりと後ろを向いて帰ろうとしたので呼び止めた。

 「まって! お釣り!」


 「あ……」

振り返った女の子は、入れ物からから揚げを指でつまんで食べようとしていた。

「よほどお腹が空いていたんだね。良かったらここに座って食べていったら?」

 僕は家の前に置いたテーブルの、内側にあるお椅子をポンポンと叩いて座るように誘った。

 「ありがと」

女の子はすぐに食べたかったのか座ったとたん、付けていた木製のフオークで勢いよく食べだした。


 「はい。お水。あとパンもよかったら食べて。お金はいいよ」

お手製のクルミパンを一つ、出してあげた。

 「いいの?」

「うん」

 お皿に乗せて女の子の目の前に出してあげた。

「あと残ったスープもあるから食べて。それだけ残っても無駄になるから」

一杯分だけ残ったスープも出してあげた。


 「わあぁ……」

女の子は喜んで夢中で食べた。なにか事情があったのかな? ずいぶんお腹が減っていたみたいだし……。

 あっという間に、全部きれいに食べてくれた。お水をコクコクと飲んでいる。


 水を飲み干して、ぷはぁ……と息をはいた。

(ぬし)様の料理、おいしゅうございました。おかげさまで、魔力が満タンになりましたわ!」

 魔力が満タン? え、どういうこと?


 「わたくしは、魔の者。(魔王)様の強い魔力に惹かれて来ました」

 

 

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