表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鑑定の結果、適職の欄に「魔王」がありましたが興味ないので美味しい料理を出す宿屋のオヤジを目指します  作者: 厘


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/52

46 調査 


 

 「下等な魔物……。下位魔族の生き物や植物は、上位の魔族の命令は聞きません。集団で暴れたとしても、人間の手で駆除できるはずです」

 ミレーヌは部屋の奥の壁に掛けてある、黒板くらいの大きな水晶の平らな板を指さした。

 「見てください」

指先から魔力を流して、水晶の平らな板から地図のようなものが浮き上がった。


 「マオ様へ先にお話ししたかったのですが、カルマスの採用面接が始まってしまって遅くなってしまいました」

 サウスさんが頭を下げて謝罪した。僕は「いや、頭を上げて!」と言い、説明をするようにお願いをした。

 

 チカチカと水晶板の色々な所が光っている。

「この光っている箇所は、魔物が人間を襲ったと報告があった場所になります」

サウスさんは長い指示棒をどこからか取り出して、水晶板を示した。その光は、この国の所々にあって見逃せない数になっている。

 「……けが人は出たのですか?」

僕はグッと声を(こら)えて言った。

 「今のところは……かすり傷程度らしいのですが、()()()()追いかけて来たそうです」


 「それは色々な魔物が?」

僕はそんなに魔物のことは詳しくなかったけれど、この二年間みっちり勉強した。特に魔物の生体について。

 「そうですね。おとなしい魔物までも、急に暴れ始めたようです」

サウスさんは難しい顔をしながら説明してくれた。おとなしい魔物まで暴れ始めた……?


 「人間側から手を出した、可能性はあるのかな?」

魔物と人間は()()協定を結んでいる。

「襲われた冒険者から話を聞きました。森の中を歩いていたら、おとなしいはずの魔物から突然襲われたとか」

 ある程度知能があって、高位魔族の命令を聞く魔物なら、いきなり襲って行かないはずだ。人間側も危険な魔物と、何もしなければ襲ってこない魔物を知っているはずなのに、なぜ?


 「何者かが魔物に、()()()()()()疑いがあります」

 サウスさんが苦々しく言った。

 「……単独行動か? いったい何をしてくれたのだろう」

僕はこぶしをギュッと握りしめた。銀のブレスレットが鈍く光った。


 「これ以上魔物が人間を襲うなら、国も黙ってはいないだろう。魔族は、暴れている魔物をどうにかしなければならない。僕も調査に行くよ」

 「マオ様!」

 「魔王様!」

 サウスさんとミレーヌが僕を呼んだ。


 今は小さな不安が、このままでは大きな恐怖に変わっていく。そうなれば、()()争いが起こる。

 「あれ? ()()争いが起こるって……? 僕は……」

混乱しているようだ。落ちつくために、何かを飲もうと考え立ち上がった。

 「あ、私がお茶を淹れてまいります」

 スッと素早くミレーヌが、お茶を淹れに歩いていった。


 「少し、記憶が混乱しているようだ……、です」

口調まで変わっていきそうだ。忙しかったからかな。

 「休んでから調査へ行きましょう。時間はあります」

サウスさんが僕を気遣ってくれた。

 「悪い。少し休ませて」

 椅子に座って両手を組んでテーブルに肘をついた。額に組んだ手で触って目を閉じた。


 

【西で魔物に危害を加えたヤツがいる。そこを探せ】

 

 

目を閉じていたら、僕の意思で話してない情報が遠くから聞こえた。

 「マオ様!?」

 「えっ……」

大きな声で呼ばれたので、顔を上げた。サウスさんは僕を凝視していた。

 

 「マオ様、お茶を淹れてきましたわ。どうぞ」

お茶を淹れてきたミレーヌが、僕の前のテーブルに置いた。

 「この香りは、ハーブティー? ペパーミントにレモンバーベナ、エルダーフラワーとレモンマートル……。あとは……」

 香りが良い。スーッとする。霧がかかったような頭の中が、すっきりしそうだ。ハーブティーを飲んでみた。

 「はぁ……。美味しい」

「良かったですわ。マオ様が育てたハーブをブレンドしてみました」


 ミレーヌがハーブをブレンドしてくれた。

 「ありがとう」

ゆっくりハーブティーを飲んでいると落ち着いてきた。とにかく様子を見に行かないといけない。ミレーヌとサウスさんは、僕がハーブティーを飲み終えるまで待っててくれた。



 まず調査に訪れたのは、ハリマさんが襲われた森。リール村より少し離れた場所の森だ。あまり手入れがされてないようだ。うっそうと木が茂っている。

 冒険者たちや商人たちが通る道は整備されているが、一歩入れば迷い込むだろう。ここの道から出て森の中は魔物のテリトリーだ。ただこの道には弱い結界が張られているのが見えるから、弱い魔物は入り込めないはずなのだけれど……。


 「サウスさん。魔物はこの結界を破ってまで、人間に襲うかな?」

ミレーヌとサウスさんも結界が見えてるはずだ。張られている結界を見て調べていた。

 「いえ。人間がテリトリー内に入ってきたり、先に攻撃をされない限り……結界を破ってまで人間のテリトリーに入らないでしょう」

 そうか……。では何でこの道をただ通っていた、ハリマさんが襲われたのか。


 「この辺りに魔力の乱れがあります。あと、あそこに魔物とは違う魔力の残滓(ざんし)があります」

 サウスさんは、僕から離れたところで森の中を指さした。その方向を見てみると、確かに魔物ではない魔力の残りかすがあった。

 「たしかに。これは、人間の魔力残滓か」

人間(誰かが)が、魔物に何かをしたようだった。

 

 何のために? 何が目的なのだろうか。僕は魔物のへの悪意に、ざらざらと気持ちの悪い不快感が残った。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ