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鑑定の結果、適職の欄に「魔王」がありましたが興味ないので美味しい料理を出す宿屋のオヤジを目指します  作者: 厘


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44 料理人と餃子作り


  「皆さん、よろしくお願いします」

ペコリと頭を従業員の皆に下げたカルマスさんは、緊張しているようだったが最新機能のキッチンを見て目を輝かせた。

「すごい……! こんなに最新の調理器具がそろっているキッチンは、見たことない!」

 手を洗い、材料などチェックして調理に取り掛かった。


 僕達は邪魔にならないようにキッチンから出て、お客さん側の椅子に座って見ていた。カルマスさんは調理を始めると、僕達が気にならなくなったのか手際よく進めていた。

 僕がレシピを渡したのはレシピ通りに作ってもらいたいのと、カルマスさん本人のスイーツを作ってもらって、実力を見せてもらいたかったからだ。

 従業員達の、カルマスさんへの印象は悪くないようだ。良かった。


 二つの異素材の料理を作っていても、調理過程を考えて慌てずに進めていた。カルマスさんが楽しそうに料理を作っていたのが印象に残った。


 「できました!」

料理が出来上がってカルマスさんは、僕達のテーブルへ運んできた。から揚げの見た目、香り、盛り付けなど合格だ。

 「美味しそう。いただいていいのかしら? から揚げ、上手に上がってるわね」

「どうぞ」

 ベテランママさん達が厳しく、味見した。僕の作ったから揚げを食べて知っているので、味を見てもらうには一番いい人達だ。


 「あら? ()()()()から揚げね。美味しい」

「ええ。マオさんがいつも作っている味だわ」

どうやらレシピ通り作ってくれたようだ。皆のお腹がいっぱいにならないくらいの量でちょうど良かった。

 「こちらを作ってみました。お口に合うと良いのですか……」

 そう言って次に運んできたのはイチゴとバナナ、ブルーベリーのトライフルだった。

「まあ! 透明な入れ物に積み重なっていて外から見ても可愛い!」


 イチゴのカット面を外側に飾って可愛く見せている。ホットケーキを焼いてバナナ輪切りと同じくらいに小さく切って重ねて、生クリームを上から絞ってブルーベリーとミントの葉を飾っている。短時間、初めての場所でこれだけ作れるのは腕が良い証拠だ。

 「いただきま――す!」

 皆、美味しそうなデザートに喜んで食べた。僕も食べてみたけど、よけいなものが入ってなくて美味しかった。


 「うん。どちらも美味しいね」

僕は心配そうに見ていたカルマスさんに話しかけた。

 「ありがとう御座います……」

 緊張してたみたいで、ふう……と安堵のため息をもらしていた。

「カルマスさんの作った、から揚げとトライフルはどうだった?」

皆にも味の感想を聞いた。

 「から揚げはいつもの味で、美味しかったです! トライフルっていうスイーツなんですね? そちらはおしゃれで美味しかったです!」

 「美味しかったよね~!」


「作ってくれたのは、こちらカルマスさんです。今日から僕と共に、この食事処の料理担当になります」

 「えっ……? 採用、ですか?」

 いきなりこの場で決めてしまったので、みんなに驚かせてしまった。

「おめでとう! 良かったわね!」

「美味しかったわよ!」

 パチパチパチパチ! と拍手が起こった。カルマスさんはしばらく信じられないという顔をしていたけど、ミレーヌとサウスさんに肩を叩かれて我に返ったみたいだ。

 

 「ありがとうございます! ありがとうございます!」

カルマスさんは自分の腕で目を擦っていた。泣いているようだ。

 「がんばってね!」という従業員の皆に、温かく迎えられた。


 あとでミレーヌに聞いたけれど、カルマスさんは変身が出来ず人間の姿のままで、魔界では差別をされていたようだ。見かねたミレーヌがカルマスさんを呼んで、サウスさんの屋敷で働いてもらっていた。けれどお休みをもらい、人間界でこっそり修行をしていた。

やりたい料理の仕事をなかなかできず、落ち込んでいたそうだ。

「ありがとうございます。マオ様」

 ミレーヌとサウスさんにお礼を言われたけれど、僕のほうがお礼を言いたいくらいだ。

 「いや! カルマスさんを紹介してくれて、こちらこそありがとう!」

 

 「何だか知らないけど、良かったわねえ!」

この村の人達は優しい。カルマスさんを温かく迎えてくれた。


 その後、皆で餃子作りを手伝ってもらった。

餃子の皮は作ってあるので、具材を包む作業は楽しかった。中の具材を皆で考えて、美味しそうなのを採用した。フルーツを包んで作る案も出たけど、手を加えてミニパイみたいなデザート系も美味しそうと思った。


 「なんかにぎやかだな」

「ハリマさん!」

行商人のハリマさんが食事処へやってきた。魔物に襲われてこの村へ逃げてきたけど、ケガが無くてよかった。

 「ちょうど良かった。新作料理があるので、食べませんか?」 

 僕はいつもお世話になっているハリマさんに、新作料理を食べてもらおうと誘った。


 「いいのか?」

「どうぞ、どうぞ!」

 僕の他の従業員もハリマさんを歓迎した。

「この間ハリマさんから買った薬、うちの子に効いて助かったわよ!」

「ハリマさんがすすめてくれた服を着たら、褒められたわ!」

 村の人達はハリマさんから、村に売ってない物を買っている。それで皆、ハリマさんになにかしら感謝をしていた。


 「じゃ、お言葉に甘えて」

カタンとキッチン近くの椅子へ座った。

 「新作料理だって? 楽しみだな」

 

僕は、皆に包むのを手伝ってもらった餃子を焼き始めた。

 

 

 

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