提案
「よーしこれからがんばるぞ!」
巴は背を伸ばして体を動かす。
ひとまず体力をつけなければここを脱出する事など無理に等しいと巴は考えているので、とりあえず研究所に従いつつ、クロナとあの黒髪女を仲間にしてここを出る。
「……あの冷たい目をぜってぇなくしてやる」
「ひとりごとは本当に一人の時にお願いしますね?」
「おうよ!」
そんなクロナの冷たい皮肉にあっけらかんとした態度を取り、闘志を燃やして巴は今日も鍛錬に臨んだ。
「よぅ! 三百号!」
「んあ?」
今日はかなり珍しく自由時間があったのでブラブラ歩いていたらいきなり声をかけられた。
金髪でチャラく約中学生くらいの見た目をした少年が巴に話しかけてくる。
「なぁお前外の世界へ行きたくねぇか?」
「……は?」
「いやぁ最近お前噂になってんだよウゼェほどテンション高い奴がいるって」
「……」
「おいどうしたんだよ?」
「あ、いやそのぉ」
思わず戸惑ってしまう。
まさかそんな噂が立っている事などつゆ知らず巴はどんな言葉を出していいか全く分からなかった。
「まぁいい。 仲間は五百人ぐらい集まってさ。 ちょうどお前みたいな奴がいたらいいと思っていたんだ!」
「そうか」
そう言って目の前の少年は巴の手を取って盾に振るった。
「それでどうすんだ?」
「実はな。 今日決行する予定なんだよ脱出」
「……へー」
「だから今夜待ってな」
「ところでお前名前なんて言うんだ?」
「俺か?」
「ああ」
「俺は四十一号だよろしくな」
「俺は巴よろしく」
「あん? 三百号じゃねぇーのか?」
「実際は巴って名前があんだよ」
「……そうかじゃあな巴!」
「おう!」
そう言って巴は自身の牢屋に戻る。
四十一号の意味不可な笑みに気づかずに。
「さーてがんばるぞー」
そう言いつつ巴は昼寝を開始する。
夜盛大に暴れる事を決意しながら。
そんな昼寝をする巴を何故かクロナはじっと見つめていた。
「おき……て。 起きて下さい」
「……んあ?」
その日の夜中巴は声が聞こえて起きた。
「……クロナどした? 人恋しいのか?」
「……出て下さい」
「分かった」
そう言って巴は外に出る。
「……なんだよいきなり」
「……ここから一緒に出ませんか? 三百号」
「はっ?」
いきなりの提案に巴は固まった。