帝国へ
「……んあ?」
巴が目を覚ますと誰かの膝の上だった。
「あら起きた? 巴」
「……えっ? ど、ドミエラ?」
心なしかドミエラが大きく見えて巴はそのまま起き上がると変な感覚がした。
「……ん? あれ? 俺背がちっちゃい?」
自身の目線が低く感じでドミエラを見た。
「あれ? 俺背が縮んでね?」
「だってあなた刀国で残りの若菓子を食べたんだもの」
「……若菓子?」
「まぁ食べたら若くなるお菓子よ。 効果は一時間」
「……えっ? やばくね? ていうかなんでそんなもん喰わしたの?」
巴はそれは麻薬の一種ではないのかと巴は思ってしまった。
そんな事を思っていると大きな火柱が上がって背後を見た。
「……えっ?」
「……そんな!?」
背後にはアウラを担ぎ上げた鎧の男がいた。
「アウラ!?」
「ん? なんだこのチビ? まぁいいやこのまま俺は帝国に帰るわ」
「アウラを置いていきなさい!」
「はっ! そんな事誰がするかよ! あばよドミエラ・サタ!」
すると鎧姿の男が消えた。
「……ドミエラはあいつは?」
「……あいつはラグナル。 火の妖霊よ」
「……妖霊」
巴はラグナルが消えた所を見届ける他になかった。
「……お姉ちゃんは?」
帰り血を浴びたミエルが現れた。
「……すまねぇ攫われた」
「……そう。 でもこれからでしょ?」
「これから帝国に向かおう」
「絶対お姉ちゃんを助ける」
「あに様! 実はアウラに発信機をつけていました! これを見てください!」
「よかった! でかしたぞクロナ!」
「ま……ちなさい!」
するとサラが鳥根に肩を借りながら歩いてくる。
「……私からもお願い。 帝国を倒して。 でなければもうこの国は! ジッテルド大陸は滅ぶわ!」
「……俺達四人で必ず帝国を打倒してくるぜ」
「お願い」
そう言ってサラは涙を流しながら頭を下げる。
「サラはどうするんだ?」
「姉のガリナと一緒に国の復興を手伝うわ」
「そうか」
「鳥根?」
「……短い間だったが俺達のわがままに付き合わせて悪かったな」
「何言ってんだ。 ここから本当に俺達と帝国との喧嘩なんだ。 俺達はもう行くよ」
「じゃあな!」
「おう!」
そう言って巴達は北にあるヴァレスト帝国へと歩いて行った。




