狂う意識
ちょっと悍ましい描写がありますので苦手な方はパスして下さい
「……お、俺がたくさんいる!?」
巴は目の前の現実が信じられずに声を上げて驚いた。
「おいおい何驚いているんだよ兄弟! これから騎士団をぶち転がしにいこうぜ!?」
「そうですよん! 私達は鉄様に作られたクローン! 敵を倒さなければならないのです!」
「……えっ? 何言ってんのお前ら?」
巴は目の前の集団のテンションについていけず固まってしまう。
「あん? ノリ悪いなぁオメェよ!」
「そうよ! 騎士達をこの精霊国を蹂躙するの快楽じゃない!」
「えっ? これマジで言ってんの? お、俺このヒャハーなノリについていけないんですけど!? クロナ! アウラ! ミエル助けて! お、俺この集団のテンションにマジでついていけないんですけど!?」
比較的ここに呼んでも穏便に済ませそうなメンツを叫んだが誰も来なかった。
「あん? 今アウラ、ミエル、クロナって言ったか?」
するとヒャッハーな見た目をした巴に似た顔をした人物が怪訝な顔を浮かべた。
「あっ! 思い出したわ二十二号! こいつ私達の弟の三百号よ! 鉄様を殺した親殺しよ!」
「……あっ?」
「えっ?」
するとヒャッハーな見た目をした巴否二十二号が巴の頭をバットでぶん殴った。
「ぐぶぁ!?」
巴は思いっきりフルスイングされて不様に地面を転がった。
「おいクソガラクタ。 テメェは今から俺達がスクラップにしてやるよ?」
「う、ぐぅ」
さっきまで親しかった雰囲気が霧散し、悍ましい殺気を出しながら巴に近づいてくる。
「……お前らいきなり襲ってきやがってなんだよ! 俺は何もしてねぇだろ!?」
「おいテメェ頭に脳みそついてんのか? アァ!? 俺達の親父殺しておいてよくもぬけぬけと目の前に現れる事出来たな!?」
「……どうしよう話が通じねぇ」
巴はこのピンチに頭をフル回転させるが何も出てこなかった。
「そうよそうよ。 お父さんの言う事聞かないガラクタはスクラップにしよう!」
狂気的な笑みを見せながら女性が歩いてくる。
「……うっうぐぇ」
巴はその悍ましい殺気に飲まれて吐いてしまった。
「あらぁ? 早速私の殺気を感じてくれるの? 嬉しい! 後で拷問かけてあげるね? 弟君!」
「うっ………あっ!?」
コワイコワイオゾマシイ。
シコウガイシガナニモカモキエキキエキエ。
ココニイタクナイオゾマシイイヤダ。
「お、オレはっ!? あれっ? ルグアァァァァァァァ!? だ、ダメだ何も思い出せない!? お,俺はだれだ!? ぼく? じぶん? 我? 私が俺であれごぐぁ!?」
巴が意識する前に自己意識が狂い始めていた。
女性の笑みを見た途端に巴の思考は混濁し始めており既に正気を保っていなかった。
「あっはぁ! 私の異能意識を狂わせるにハマってくれたんだね嬉しい!」
「あがぁあがぁ!?」
巴は地面に思いっきり顔面を叩き続けるが意識は正気にならずただ狂っていた。
「あはは! じゃあ弟君! 拷問開始しようね!」
「いやだ!」
声にならない声を上げて巴はなんとかその場から逃げようとしたが意識が保てずにそのまま意識を手放した。