精霊国到着
「あれ? おかしいな俺さっきまで鍋食べてましたよね?」
「……あに様それはツッコミ厳禁です」
「ふん、しょうがないじゃないもう船に乗って二時間経っているんだから」
「まぁそうね」
「……私は認めんぞ巴! あの腹黒女の口に乗ったお前を!」
「アウラやめて!? 胸ぐら掴んでぐらぐら揺らさないで!?」
巴はアウラに胸ぐらを掴まれて首を前後にシェイクされる。
巴達は鍋を食べ終わり皿を洗った後、サラからいきなり猫騙しをされて気付けば船の上におりそしてそのまま出発するという訳の分からない現象に巻き込まれていたのだった。
「ねぇ猫騙しで転移とかする魔法とかあるの?」
「……恐らく唱独術の一種なのだと思いますが恐らく魔力のマーキングによって作用する結界術の一種ですね。 元々は恐らく結界に登録していない魔力と血筋を弾く結界の応用だと思うのですが」
「なるほどな。 ていうかクロナって唱独術使えないけど知識すごいのな」
「まぁそこはあに様のサポート役として作られたアンドロイドなので」
巴はクロナの解説を聞きつつ海を見回すと大陸が見えてきた。
「あれが」
「そうよジッテルド大陸」
巴達は出航から二時間で楽園から離れた大陸ジッテルド大陸に着いてしまった。
「さぁ降りてちょうだい」
「分かったよ」
そう言って巴はすぐさま船から降りて辺りを見回した。
「……何これ?」
巴が見た景色は絶望的であった。
綺麗な噴水であったものはほとんど半壊し、街並みもボロボロであった。
「……帝国軍か」
ボロボロになった街の惨劇を見てアウラが呟いた。
「……アウラには分かるのね」
「まぁここまでやるのって帝国以外いないから」
サラの呟きに対してドミエラが目を伏せてため息を吐く。
「ぐっ! アタシ達の村以外にも破壊行為をするなんて外道よ! 帝国軍!」
ミエルは惨劇を見て手を真っ白になるまで強く拳を握り締めていた。
「……えっ? 俺なんかやばい所きちゃた感じなの?」
巴の思考は真っ白になった。
何せ腐敗した死体があちこちに転がっており銃火器の火と鉄の匂いが巴の鼻をくすぐるのと何故が巴の体臭と同じ匂いがこの街から匂うからだ。
「ふはははは! 帝国万歳!!」
「え? どっわぇ!?」
「「「巴!?」」」
「あに様!?」
声が聞こえていきなり巴は爆発に巻き込まれてアウラ達とはぐれてしまった。
「いてて何が?」
「ヒャッハーテメェ騎士の連中じゃねぇな!?」
「あら私達とおんなじ顔あなたも厳格様から送られてきたクローンなのね!!」
「はっ?」
巴はどこか自分と似た人物達を見て呆けた声を出した。