一週間後と鍋会議
「まぁなんだかんだで一週間が経ったな」
そう言いながら巴はスーパーの買い物袋を手に持ちながら歩く。
「一体それはなんのひとりごとですか。 あに様?」
クロナも巴の隣を歩きながら二人は雑談しながら歩く。
「なんだよクロナおしゃべりしたいのか?」
「……別に? ハーレム作って浮かれてんじゃねぇって思ったぐらいです」
「……あれ? ハーレム? ハーレムってなんだっけ?」
クロナの言葉の意味が分からず巴は首を傾げた。
「……今更無知キャラを貫くのは無理ですよあに様何天然ボケかましているのですか?」
目を梅干しのように細めてクロナはため息を吐く。
「それよりあに様どうするのですか? ドミエラを帝国の奴隷として解放した以上帝国に宣戦布告したようなものですよ?」
「……えっ?」
巴は何を言われたのか分からずに首を傾げた。
「……どうやら分かってないようですね」
「おう」
巴はクロナの言葉を肯定して頷いた。
「いいですか? 今あに様は帝国の奴隷を解放した第三勢力みたいなものです。 ですから」
「その話聞いてもいいかしら?」
「「えっ?」」
巴とクロナが振り向くと薄紫の髪が目立つ少女サラ・レイクとその従者である鳥根帝が立っていた。
「なんでお前らが?」
「久しぶりね。 仲条巴」
巴はこの再会に大きな意味を持つとはこの時全く考えていなかった。
「……で? 何故私達と貴様達が仲良く鍋をつついているんだ?」
「あらいいじゃない」
「……なんかすまん」
「……すみませんアウラ急に人が増えてしまって」
クロナが豆腐を食べながらアウラに謝罪する。
「別にいいがサラ。 貴様は何をしにここに来た?」
「あら? せっかく鍋を食べている時に話の催促をしていいのかしら?」
「……久しぶりに私は姉様とミエルと一緒にご飯を食べているんだ。 邪魔をしないでくれ」
不機嫌になりながらアウラは卵がたっぷりと染み付いた肉を頬張る。
「お姉ちゃんアタシまだお肉食べれていないんだけど!?」
「……アウラ野菜も食べなさい野菜も」
そんな不機嫌なアウラに対して義理姉妹達は心配の声をあげてツッコミを入れる。
「……あれ? アウラ鍋しょうゆがあるからそれつけて食べないの?」
すき焼きでもないのに何故か卵つけて食べるアウラに困惑して巴が質問をする。
「私は卵がいいんだ!」
何故がアウラは頑なに首を振って拗ねた。
「ふふ。 面白いと言いたい所だけど話があるわ巴」
「なんだ?」
「私と鳥根を一緒に精霊国に連れて行って欲しいの」
「……なんで俺? そこは恵とかにお願いするべきだろ」
巴は首を傾げてサラを見た。
「私は個人的にあなた達の力が欲しいの精霊国と帝国の戦いを止めるの為に願い力を貸して」
そう言ってサラが頭を下げる。
「……」
「あに様。 もしもあに様が望めば今すぐにでも出発出来る船を作れます」
「えっ? これ鍋食べながらする話じゃなくね? まぁ力貸してくれって言われたら力貸すけどさぁ?」
世界を左右する鍋会議は幕を閉じ、彼らは精霊国へ向かう。




