表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物と魔性の民  作者: 宅間晋作
誕生編
28/37

姉妹喧嘩

「よし! とりあえずドミエラを探すか!」


 巴が声を上げてイスから立ち上がる。


「そうだな。 ドミエラお姉様をはやく見つけて取り戻そう」


「ええそうね。 アタシもはやくあの頬ぶん殴ってやりたいし!」


「南の方に異質な魔力を感じます! 行ってみましょう!」


「さすがクロナだぜ!」


 そう言って巴達はクロナの案内の元ドミエラの元へと急いだ。


「来たわねアウラ。 そして愉快な仲間達」


 三区の港付近にドミエラが一人で待ち構えていた。

 そしてアウラ達を見ながら笑みを見せた。


「……ドミエラ姉様! ミエルから事情は聞きました! 私は今からドミエラ姉様を帝国のクソ野郎から解放すべくドミエラ姉様と戦おうと思います!」


 そう言ってアウラが刀を抜刀し、剣先をドミエラに向けた。


「……やれるならやってみなさい」


 そう言ってドミエラが薙刀を構えた。


「「しっ!」」


 合図はなく互いに地面を蹴って鍔迫り合いを演じた。


「あら少し力が強くなったかしら? アウラお姉ちゃんアウラと喧嘩出来て嬉しい」


「今のドミエラ姉様は幸せそうに見えない!」


 そう言ってアウラの刀とドミエラの薙刀が何度も打ち合って火花を散らした。


「お、俺らも加勢しなくていいのか?」


「あに様やめましょう。 これはアウラとドミエラの姉妹喧嘩です」


「ええそうよ。 巴って言ったかしら? やめておいた方がいいわ」


「……ところでミエルも参加したそうにうずうずしてけど加勢しないのか?」


 手を開いたり閉じたりしているミエルに対して巴は質問を投げかけた。


「……うっさい! あ、アタシだって加勢したいわよ! 言っておくけどアタシはドミエラにやられたんじゃなくてここに来る前に上宮司って言う異能使いにやられた傷が塞がらなかっただけだから」


「そうなのか?」


 ミエルは地団駄を踏みながら顔を真っ赤にして巴を見てきた。


「あぁもう! 今はお姉ちゃんの戦いを見守りなさい! 戦況が動くわ!」


 ミエルの指摘通り、アウラとドミエラの戦いは佳境に入っていた。


「はぁはぁ」


「……魔法も使わず私に対して直接攻撃しない……手を抜いているの? アウラ」


「……むしろ手を抜いているのはドミエラ姉様だ」


「「……」」


 互いに沈黙が流れた。


「ドミエラ姉様私達と一緒に帝国を倒しませんか?」


「っ!?」


 アウラの提案にドミエラの顔が恐怖に歪んだ。


「だ、ダメ! ダメよアウラ! な、何を言っているの!? て、帝国を倒すなんて無理よ!」


「……どうしたのですか? ドミエラ姉様?」


 ドミエラの全身が震えて出して全身を抱きしめて始めた。


「い、いやだ! あ、あんな地獄を生きるのは嫌だ! 嫌だ嫌だ!」


 するとドミエラが頭を抱えてその場でうずくまる。


「っ! ドミエラ姉様落ち着いて下さい 私が! 私がいますから! 落ち着いて」


 恐怖で膝を抱えるドミエラをアウラが優しく抱きしめた。


「落ち着いてくださいドミエラ姉様。 今度は私がいます! 決してドミエラ姉様を一人にいたしません!」


「……ほ、本当に?」


「はい!」


 ドミエラの涙にアウラは満面の笑みで答えた。


「さぁドミエラ姉様。 もう戦いをやめて暖かいご飯でも食べましょう」


「……いいの? アウラ。 私を許して。

アウラを洗脳しようとしていたのに」


「いえドミエラ姉様はいつでも私の優しい姉です!」


「ありがふぁ」


「えっ?」


 ドミエラの腹から刃が飛び出ていた。


「……愚かだなドミエラ。 サタ族の長である私を置いてそんな娘に情を持つとは」


「テメェ!」


 巴はいきなり現れた男に飛びかかっていた。


「せっかくアウラとドミエラが仲良くしようとしていたのに邪魔しやがって!」


「ふんくだらん」


「ど、ドミエラ姉様! ドミエラ姉様!」


「う……あ」


「急いで病院に運びます。 皆はあの男の相手を!」


 クロナがドミエラを担いでそのままその場を離脱すると巴の隣にミエルが並んで立っていた。


「おいクソ野郎。 あぁ? 何してんだ。 お姉ちゃん達がせっかく仲直りしようとしていた時に横槍入れんじゃねぇよ! クソが!」


 ミエルの髪色がピンク色に染まって激昂していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ