姉妹
「ミエルしっかりしろ!」
「うっ」
「い、一体誰にやられたんだ!」
アウラがいつにも増して声を荒げながら叫ぶ。
「それは私よ? アウラ」
「……ど、ドミエラ姉様?」
するとアウラが掠れた声で目の前に現れた紫の髪に赤い瞳をし、ビキニーアーマーに薙刀とあまりにもアンバランスな女性を目の前にして唖然としていた。
「な、何故ドミエラ姉様とミエルがこの人工島にいるのですか!?」
アウラが叫ぶ。
「……ねぇアウラ。 私はずっとあなたを探していたのよ私は帝国軍にミエルは反乱軍に、ミエルが三年前に奴隷の購入先リストを見つけてここに来たのよ」
「み、ミエルが反乱軍に!? こ、この子は虫も殺せない優しい子なんだぞ!?」
「はぁ分かってないわねアウラ。 あなたは私達の絆を踏み躙っているのよ?」
ドミエラの瞳は侮蔑と悪感情で満ちていた。
そしてそこに親愛はなかった。
「ど、ドミエラ姉様どうしたのですか!? や、優しかったドミエラ姉様はどこに!?」
「……そんなの死んだわよ!」
「くっ!?」
そう言ってドミエラが薙刀をアウラに向けて刺突を放つがアウラが腰の刀を抜刀しそのまま薙刀を上手く逸らして弾き返した。
「ドミエラ姉様やめましょう! 私達が争う理由なんて必要ありません! 巴ミエルを見ていてくれ」
「わ、分かった!」
アウラの発言に巴は頷いた。
「……隣に男を置いておいてよく言うわよ。 私にあなたは勝てない」
「そんなの!」
「はい終わり」
「えっ?」
一瞬であった。
巴にもかろうじて見えたがドミエラが一歩踏み出したかと思いきやいつのまにかアウラから刀を取り上げて、アウラを地面に押し倒して目と鼻の先までに顔を接近させていた。
「アウラあなたは私のものなのよ?」
「ドミエラ姉様?」
「がぅ」
「う、うぁぁぁぁぁ!?」
「あ、アウラ!?」
するとドミエラがアウラの肩に歯を突き立てて血を吸い始めた。
「う、ぅぅぁぁぁぁ!?」
『アウラあなたは私の言うことを聞きなさい』
ドミエラがそう言うとアウラの体がびくんと震えて立ち上がった。
「あ、ウラ?」
「無駄よアウラは私の人形にしたの」
「……お前の能力か?」
「ええそうよ悪い? 私のサタの血はすごいわよ? 血は毒、目は魔眼、吸血行為は洗脳に使えるんだから。 ただ吸血行為をするシフォルの民と脳筋なゾズマとは違うのよ。 アウラ目の前の男を斬り殺しなさい!」
「う、うぁぁぁぁ!!」
するとアウラが呻き声を上げて刀を振い始めた。
「アウラ! 俺だ! 意識をしっかりしろ!」
「うがぁぁぁぁ!!」
巴はアウラを背後から押さえ込んで声をかけた。
「無駄よ洗脳は深い所まで沈んでいるのよ。 ただ声かけるだけじゃ焼石に水もいいところよ」
「そんなのやってみなくちゃわからないだろうが! おいアウラ!?」
「うがぁぅぅぅぅ!!」
「う、あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
アウラを正気に戻すべく何度も声をかけたが赤い目をギラつかせてそのまま巴の肩に噛みつき血を乱暴に吸血してきた。
「う、うぐぅ!?」
まずい。
これは死ぬと思った。
魔力も生命力も吸血していると巴は考えた。
「あらあら生命力あるのねあなた。 乱暴に吸血行為されるって言うのは文字通り生命を食べるのと何も変わらない状態なのよね。 妬ましい」
そんな吸血行為をするアウラを見ながらドミエラは嫉妬の目を巴に向けた。
「……アウラそんな食糧にもならない男なんか無視しなさい。 あなたは私のモノなんだから」
するとドミエラが頬を綻ばせて笑う。
「……すまないドミエラ姉様私は巴が異性として好きなんだ」
「っ!? ま、まさかアウラあなたその男に紋章を付けたの!?」
するとドミエラが狼狽してアウラを見る。
「ああ、九年前に少しな。 おかげで私は精神的な縛りは効かない」
「くっ! 紋章の力の一つとして奴隷からの声はどうしても洗脳されても心に響いてしまうのよね!」
するとドミエラが薙刀を構える。
「う、くぅはぁ……はぁ」
巴は肩を抑えながら息をする。
今にでも気を失いそうで辛い。
「すまない巴。 精神支配から逃れるにはこれしかなかったすまない」
するとアウラが優しく巴を抱きしめた。
「いいって事よ」
「ああそう言ってくれると嬉しい」
「チッ! イチャイチャして! まぁいいわ。 ここはひいてあげる」
そうドミエラが言うと屋根を飛んで渡り,そのまま逃げた。
「……ドミエラ姉様何故?」
そんなアウラの幼い声は風に消えていった。




