九年後の再会
「アウラ。 ここは戦場とかそんなんじゃないんだぞ? ここは学び屋だぜ?」
巴は呆れた口調で言うとアウラ場こちらを向いて睨んできた。
「……巴敵を目の前にして逃げる兵士がいるか?」
「まぁ言わんとする事は分かるけどさぁ。 今日学校だよ? 俺ら色々と学びに来てんだぜ?」
「……それもそうだな」
アウラは冷静になってナイフをしまった。
「……すまない巴、サラ。 私は我を失っていたようだ」
するとアウラが巴とサラに向かって頭を下げて謝った。
「……ふーん。 隣のあなた名前は?」
「お、俺ですか? 俺は仲条巴って言います」
巴は出来るだけ丁寧な口調でサラに自己紹介をした。
「……面白い事になってきたわね? それじゃあアウラ、トモエ、九年間よろしくね?」
「「はっ?」」
思わず巴とアウラは声を揃えて驚いた。
「だってここは九年間四十名でクラス替えを行わずに学校生活を送る所なんだものこの月明学院」
頬に手を当てながらサラがからかうように笑う。
「まぁ別にあなた達がやりたいように好き勝手出来る学院ではあるんだけどねここは」
「ま、待ってくれお嬢!」
そう言ってサラは教室から鳥根と一緒に出て行った。
「……何がどうなってるんだか」
「さぁな」
巴の発言にアウラがため息を吐いた。
「とりあえず色々と片付けるか?」
「そうだな」
あちこち散乱している教室を巴は片付ける事にした。
「あ、ありがとう」
「ん?」
背後を振り返ってみると茶髪の髪をした男女二人がいた。
「えーと君たちは?」
「ぽ、僕直矢。 坂本直矢」
「私岡田千穂よろしくね」
「直矢に千穂か」
巴は散乱した机を持ちながら直矢と千穂を見た。
「僕達、鳥根君の暴走を止める事が出来なくてさ。 僕達二人は魔力も異能を持ってないんだ」
「そうなのか?」
確かに少し魔力感知をしてみると直矢と千穂からは魔力を感じることができなかった。
「おい巴さっさと片付けるぞ!」
「おう分かってるって」
「ぼ、僕達も手伝うよ!」
「私も!」
そう言って直矢と千穂は片付けを手伝ってくれた。
「今日は気絶してる奴らばっかだったから色々と授業なしになったな」
「……そうだな」
アウラとそんな会話をしながら巴は家に帰っていた。
「これから九年かぁどう過ごすか」
「……どう過ごすってなお前そりゃあ。 国語、算数、魔術学、異能学を学ぶが唱独術は流石になかったがな」
「……まぁこれから九年間よろしくな巴」
「おうこれからよろしく!」
そう言って巴達は家に帰った。
「お帰りなさいあに様」
すると割烹着姿のクロナが玄関で正座して待っていてくれていた。
「おうただいまだぜ! クロナ!」
「ご飯と味噌汁が出来ており、風呂も沸いています」
「おっ! さすがだな!」
「それは楽しみだ」
そう言って巴達は夜ご飯を食べて過ごし一日を過ごした。
そして月明学校に通う九年間は何も問題は起こらずにただ淡々と通い続け、卒業し、大人になった。
卒業して三日目のことだった。
「うーん。 アウラどうすんだよこれから」
「……これからか?」
すっかり九年が経って巴とアウラは背が伸びており、アウラは髪をセミロングにした美少女となっていた。
学院在学時には先輩後輩からの告白は絶えなかったがアウラは即刻告白を断り、男女問わず生徒の失恋記録を作っていった。
「あれ?」
するとアウラが目線を向けた。
目の前には金髪に青い瞳をした少女が倒れていた。
「どうしたんだ?」
「ミエル! ミエル!」
するとアウラが走り出して金髪で青い瞳をした少女を抱き上げた。
「……これは私の九年間離れ離れになった妹なんだ!」
そう言ってアウラは涙を流して叫んだ。