新たな関係
「あれ? アウラは?」
「まだ来ていませんね」
そう言いながらクロナは配膳をする。
「すまない遅れた」
するとアウラがやって来た。
「アウラよかった心配したぜ」
巴はそう言うと笑みをアウラに向けた。
「……こ、こっちを見るな馬鹿」
すると今すぐにでも消えそうな声で巴の視線を逸らした。
「まぁとりあえずいただきます」
「「いただきます」」
そう言って三人は黙々とご飯を食べ始めた。
「「「ご馳走様でした」」」
「俺が皿を洗うからクロナとアウラは休んでいろよ」
「いえ、あに様はお風呂に入っていて下さい」
「……それもそうか。 アウラはもう寝るのか?」
「……あ、ああ寝させて貰う」
「分かった」
巴が確認を取るとアウラは顔を赤面させてそのままリビングから出て行った。
「さて入るか」
「あに様」
「うおっ!?」
「ちゃんとジャンプーとリンスーそしてボディソープを間違えないで下さいね?」
「はいはい分かったよ」
そう言って巴は風呂場に行き服を脱いで三十分ゆっくりと湯船に浸かって人生始めての風呂を楽しんだ。
「ふぁ」
風呂から上がり、ドライヤーで髪を乾かしてからそのまま巴は布団の中に入り眠った。
「……おい……おい」
「んぁ?」
「はぁ……はぁ!」
「うぉっ!?」
巴が目を覚ますと目を赤くし、興奮したアウラがいた。
「す、すまない発作が起きてしまった血を! 血が欲しい!? うぅぅぅ!!」
するとアウラは頭を抑えたと思ったら全身を抱いて体をくの字に曲げた。
「お、おい!?」
「さ、触るな! い、今触れられたらお前をこ、殺してしまう!」
「じ、じゃあどうすりゃいいんだよ!」
「か、肩を出してくれ」
「分かった」
巴がアウラの肩に触れようとしたがアウラに拒否されてしまったので巴はパジャマを脱いでシャツから肩をはみ出した。
「い、いただきます」
「ど、どうぞ」
そう言ってアウラは巴の右肩に歯を突き立て血を吸い始めた。
研究所での時とは違いゆっくりと喉を潤すように巴の血を飲む。
また吸われる快楽に襲われそうになったが巴は自制した。
「はぁ……はぁ」
するとアウラが息を吐きながら巴の肩から口を離した。
「……大丈……痛い!?」
すると巴の肩に激痛が走った。
激痛が走ったところに紫色で狼の横顔が描かれた紋章が現れた。
「……何これ」
巴は思わず現れた紋章を触ってみるが何も起きなかった。
「……えっ? 本当になんなの? これ紋章?」
「……す、すまないどうやら巴は私の餌として認識されたようだ。 し、シフォルの民の本能に」
するとアウラが申し訳なさそうに顔を赤くしている。
「……どゆこと?」
巴は意味が分からずに首を傾げた。
「え、えっとな三百号。 き、吸血鬼はど、独占欲が強くてだな何回か吸血行為をした相手に印をつける事があるんだ『これは私のものだぞ!』っていうものをな」
「……でこれが付いたらどうなんの?」
「……と、特に変な効果はないが他の吸血鬼に対する牽制や精神的な攻撃に対する防衛が働く事は……あるが」
どうにも歯切れが悪い。
どうやらアウラにとって紋章は忌み嫌う物であるらしい。
「呪いとかじゃないなら別にいいんじゃねの?」
「……ほ、本当にい、嫌ではないのか? こ、これは吸血鬼の奴隷であると言う意味も込められているんだぞ!?」
「……奴隷? 別に俺達友達だろ? 後三百号って言うのやめてくれよ。 それこそ奴隷扱いって感じがするし」
「じ、じゃあ何と呼べばいいんだ! き、貴様の事を」
「巴。 仲条巴」
「……なかじょうともえ?」
「えっと元々巴って名前があってさそして今日恵から姓を貰っただろ? それを全部繋げて仲条巴」
巴はオルレイ改めて自分の名前を名乗る。
「……分かった巴。 これからはちゃんと名前を呼ぶ」
「……そう言えばアウラのフルネームって何だ?」
「……私のか? 改めて名乗ろう。 私はアウラ・プライズマン。 父はエルフのディア・プライズマン。 母はシフォルの民の血を継いだレイメル・ラーシャ 義理の姉ドミエラ・サタと義理妹のミエル・ホイッパーがいる」
「家族関係すげぇな」
「まぁな改めてよろしく頼む巴」
「ああよろしくなアウラ!」
こうして巴はアウラと改めて名前を知り、関係を深めた。




