出会いと変態博士
「……アウラが惚れた? 何故?」
巴はクロナに言われた事が分からなさ過ぎて質問をする。
「……まぁ俗に言う一目惚れって言うやつですね。 シフォルの民は非常に惚れっぽいのです」
「惚れっぽいって言ったって大川の方に惚れるもんじゃあないか?」
巴はアウラと最初に出会った異性として巴が倒した大川を指さして言う。
「いいえ。 ただの異性ではダメなのです。 しっかりと心の底から魂から惚れた相手でなければいけないのです」
「魂?」
「はい。 魂というのはほとんど何かしらの宿命を負っていたり、才能が宿る根幹と言われています。 その魂にほとんどのシフォルは惚れてしまうのです」
「じゃあシフォルの民は魂を食べるのか?」
「いや違いますよ。 ただ愛しく思うのです。 その魂が」
「……よく分からん生態だな?」
巴はただクロナの話を聞いてそう思った。
「まぁ美しい物をひたすら愛する一族と思っていただければそれでいいです。 おそらく中毒性の高い薬のせいでシフォルの民の本能が自制出来なかったのでしょう」
「……薬とかで本能爆発させる物なのか?」
「三百号がそれだけアウラには本能を刺激する男だったらという事なのでしょう」
そう言いながらクロナはうんうんと首を縦に振った。
「なぁそれよりもここを出ないか?」
「そうですね。 よいしょっと」
そう言ってクロナがアウラを担いで歩き始めた。
「力持ちだな」
「ロボットですので」
そう言って三人は研究所を脱出した。
「うぉ! すげーこれが外の世界か!」
そう言って巴は声を出して笑う。
「外が晴れていてよかったですね。 雨でしたら風邪をひく所でした」
そう言いながらクロナは歩き始めた。
「どこいくんだよ?」
巴はクロナに問いかけた。
「私を作ってくれた人の所へ行きます」
「作ってくれた人?」
「はい。 とりあえず行きましょう」
クロナにとりあず巴はついていく事にした。
「着きました」
「おいここは?」
「バーという大人の人が飲む場所ですが実際はカフェバーですよ。 すみません!」
「いらっしゃい」
クロナが扉を開けると紫色の髪に青い瞳をしたバーテン服の女性が出迎えてくれた。
「カフェバースカイラインにようこそって言いたいが未成年は帰ってくれ」
「そう言う訳にもいかないのです。 どうか私の仲間を治療して欲しく空田恵様に私のお母様に会いに来ました」
「……その背中に乗っている奴の名前
は?」
「アウラ・プライズマンですが?」
「おうそうだ!」
クロナの紹介に巴は便乗して声を出した。
「君は!?」
「えっ俺?」
巴が姿を出すといきなりスカイラインから肩を掴まれて驚いた。
「お、俺は巴ただの巴だよろしく!」
「はぁアウラといい、巴といい今日は俺の大切な奴やによく会うな」
「んっ? 大切?」
「なんでもないさぁ早く奥に行けそしたら恵が待っているはずだ」
何故かストロベリーキャンディーを口に咥えながらスカイラインは巴達を催促した。
「ありがとうございます。 スカイライン様」
「ありがとうな! スカイライン!」
そう言って巴とクロナは奥の部屋に入って行った。
「大きくなったのね。 アウラ」
そんな三人を見送りながらスカイラインがさっきの男口調とは別に優しい母親のような口調の声は巴達には聞こえなかった。
「よし! これでアウラは治るよな!」
「……恵様が治療してくれるといいのですが」
すると一人の女性がバスローブ姿で男と女性達を侍らせて待ち構えながらソファに座っていた。
「この空田恵何かようかな?」
「……なぁクロナあの人本当にお前を作った奴なのか?」
「なんか無性に認めたくなくなってきました」
そう言うクロナの目は死んでいた。




