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偽物と魔性の民  作者: 宅間晋作
誕生編
1/37

無知からのスタート

 暗い所にいる。

 意識は曖昧でよく分からない。

 光が欲しい。

 形が欲しい。

 埋めたい、在り方を認められたい。

 そんなあやふやな事ばかりが溢れ出る。


「ミエル、ヒカリガミエル」


 暗闇の中に生まれた魂はヒカリに向かって飛んでいく。

 何を成すかを知らないままに。




「があよう」


「うぁ?」


 うまく言葉が聞き取れなかった。

 髪はびしょ濡れで体は小さい。


「っあ?」


 声が出ない。

 当たり前だ。

 それは声帯がうまく発達してないからだ。


「うぐがはぁうぇっ!?」


 体に異物が入っている事を感じでソレは液体を吐いた。


「ぎがいながあ?」


「っ?」


 聞き取れない。

 そして何を言っているか分からない。


「おがえがざんびぐやぐだ」


「さいやぐ?」


「チッ!」


 うまく聞き取る事も喋る事も出来ないがソレはなんとか言葉を聞き取り、発音しようとするがどうやら言葉が違うらしい。

 ソレはこれからしっかりと学ぼうと幼さの無知から頑張ろうと決意した。


「はぐあいれ」


 そう言って案内されのは白い空間。

 人が見れば牢屋だと分かる空間だった。


「おあえはじっぐえんどるぶつだ」


「っ?」


 言ってる意味が分からない。

 だがソレは三日で地獄を見る事になる。



「でお」


 そう言われて出ていくと狼がいた。


「だいがえ」


「っ?」


 ソレは狼を見たするとその瞬間狼に全身を噛みつかれ、ソレは命を落としそうになった。


「うぁっ!? うぐっ!?」


『コワイ』


『ナンデコンナコトニナル』


 心にそんな感情が芽生えた。


「うぁうぁぁぁぁぁ」


 ソレは生まれて初めての恐怖に心を壊しそうになった。



「うぁうぁ」


 ソレは狼と戦った後、牢屋の中で頭を抱えてうずくまった。


「おい」


 すると声がする。

 少し高い声。

 普通の子供が見れば女の子だと分かるがソレは誰の声か分からなかった。


「お前はなんなんだ? 見ててイライラする」


「うぁ?」


 ソレは声をかけられて牢屋の外を見る。

 それは小さな女の子だった。

 黒髪で銀のメッシュが入っている。

 緑の瞳にちょこんととんがった耳をしていた。

 心が何故か奪われる。


「お前は無知だな?」


「あっ?」


 その少女の発する言葉は何故か自然とソレの耳に言葉として浸透した。


 



 

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