大切な気持ち
退院をして家に帰った。
家に入ってきたのは模倣犯で、母の時の事件が1部で有名になり似たような事件を起こす人が度々出てくるのでその1人だろうと警察から伝えられた。
昔の僕であれば喜んでいた事だろう。他に僕らの苦しみを味わう人が増えると思うと飛んで喜んでいた。だが今では父や優ちゃんが心配で仕方がなかった。
「憂樹、大丈夫か?」
バックを持ったまま、扉の前で立ち止まっていた僕に父は優しく声をかけてくれた。
「父さん、模倣犯ってまたここに来るのかな。捕まってないんでしょ。だったら父さんはなるべく外にいてよ。家にいるのは危ないと思う。」
「いや、これからはできる限り家にいることにするさ。仕事終わって買い物行くとしても2人連れて行くぞ。母さんの事件の時も俺だけ助かったんだ。これからはなるべく傍にいるから安心しなさい。」
父さんの言葉を久しぶりに真剣に聞いた。
その言葉は暖かくて涙が溢れた。
その後、お母さんに会いに行っていた優ちゃんが帰ってきた。
「ただいま帰りました〜!憂!おかえり!」
少ししか家を離れていないのに1ヶ月会っていないような嬉しさで優ちゃんをすぐにハグしたかった。けれどすぐ近くには父がいたのでお預けになった。
〜数時間後〜
「ご飯だよ〜」
父に呼ばれリビングに行った。
テーブルの上には沢山の僕の好物があった。
餃子、大根やじゃがいもなどの具材沢山お味噌汁、ほうれん草のナムル…
「気使わなくていいのに。忙しいでしょ」
「いやそんなでもないさ。優輝くんも手伝ってくれて、餃子のタネを皮に詰める作業が凄く上手でさ、今日はいつもより楽だったくらいだ笑」
そう父さんが言うと優ちゃんがキッチンからひょっこり顔を出してきた。
「餃子カリカリに焼けたから絶対美味しいよ!!!」
そうしてみんなで席につきいただきますをした。
味が簡素の病院食とは違う柔らかい薄味なお味噌汁。母が作ってくれたお味噌汁と同じ味がした。
餃子は下の部分がカリカリで食感も最高で、中身は味が濃いめで白ご飯ととても良く合う味付けだった。
母さんを思い出せて、父さんと優ちゃんと3人で一緒に食事が出来たからとても幸せな夕食になった。
その後は部屋に戻りゆったりしていた。
優ちゃんがお風呂から上がったようなので、僕がお風呂に行こうとしたら優ちゃんは上半身裸のまま僕の部屋に入ってきた。
「服は向こうで着替えてきてよなんで着てないんだ…」
目を隠して服を着るよう促した。
けれど優ちゃんは服を着ようとせず僕にキスをしてきた。
「分からないの?俺は憂を恋人として誘ってるんだけど?」
優ちゃんは恥ずかしそうにしていた。そんな事言われるのは初めてだったので僕も凄く恥ずかしいような、嬉しいような感じがした。
「でもまだ風呂入ってないから風呂入ってきてからでもいい?」
「うん!全然良いよ。その代わり憂の服きてもいい?その、感情抑える為に憂の服きてたい。憂の匂い落ち着く。」
「良いけど…」
優ちゃんは嬉しそうに僕のクローゼットを見始めた。
そんな僕の匂い効果あるかなぁと疑問に思いながら風呂に入った。
湯船に入ると何かに水に引き込まれた。
引き込まれ周りを見渡すと海のように無限に広がって見えた。異世界に飛んだみたいに浴槽の壁も触れないほど遠くにあった。
「愛しい子。もう苦しまないで生きるのよ。何があっても忘れないで」
声がした方向を向いたけれど誰もいなくて、探そうと泳いだら誰かに押されて戻ってしまった。あの声はきっと母さんだと気がつくには時間はかからなかった。
少しでも僕を心配して話しかけてくれたと今は思うことにした。
※この物語はフィクションです。




