不死の花
「はぁ……う゛……」
ジリジリと鳴く蝉達が一瞬静まった夏の午前。
家に誰かが来た。
今日は土曜日だったけれど、父は仕事で優ちゃんは家に少し帰っていた。
だから「かぞく」では無い。
トラウマが強く蘇って吐き気すらする。急いで部屋の押し入れに潜って口を抑えたけれどそれでも声が漏れてしまっていた。
家に入ったのが強盗なのか通り魔なのかどちらにしろ知らない人間に部屋に入られるのが怖い。
ギィギィと階段を上る音が聞こえた。2階は僕がいる部屋と父の部屋がある。
運悪くその誰かは僕の部屋に入ってきた。
泣き声を聞いて来たのだろう。
ガシャン
と音がして押し入れの扉が開かれた。
そこにはあの時の男がいた。
僕は気絶したようだ。起きると外がオレンジ色になっていた。
ピリッと痛みがある首筋を触ると水のような液体が手に着いた。手を見ると真っ赤になっていた。来ていたTシャツにも血が染み込んでいて結構な量の血が出ていたみたいで頭がクラクラした。
急いで押し入れから出てスマホに手を伸ばすと頭がぼーっとして目の前が暗くなった。
1時間後、病室で目を覚ました。
どうやら帰ってきた優ちゃんが血まみれの僕を見て急いで救急車を呼んでくれたらしい。
「! 先生!お父さん!憂起きた見たいです!!憂大丈夫??頭痛くない?部屋で血まみれで倒れてたんだよ」
優ちゃんはそう言って話し合っていた病院の先生と父さんを呼んでくれた。病院の先生は昔にも僕の傷の対応をしてくれた先生だった。
「大丈夫か?呼ばれて状態を見た時びっくりしたよ。何があったの?」
「自分の名前は言えるかな?お水飲めるかな。」
みんなが心配して僕を見つめるが、僕はその人たちの目が傷つけようとしている人の目としか認識出来なかった。でもこれ以上迷惑をかけちゃいけないと会話をしようと努力した。
「名前は弟切 憂樹です。水は……今はあんまり喉が渇いてないので大丈夫です。」
「記憶は大丈夫みたいだね。お水飲みたかったら何時でも看護師さんに伝えてね。それで、話したくなかったら話さなくても大丈夫なんだけど憂樹くんの背骨に沿って花火みたいな傷が出来てたんだけど、なんで出来たか覚えてるかな?普通はあまり出来ない傷だからお医者さん知りたいんだ」
目がぼーっとしている僕に病院の先生は優しく教えて欲しいことを丁寧に伝えてくれた。
「あの人が家に来た。」
「あの人?」
「母さんを殺したあいつ。あいつってもう刑務所から出てるの?あいつが僕の部屋に来たんだ。昔のままの姿だった。黒いパーカーを被ってるあいつ。」
病院の先生と父さんは驚いた顔をしていた。
父さんは困惑していた。
「あの時の犯人は5年以上の懲役と下されたからまだ刑務所から出ていないはずだよ。本当にその犯人と同じ顔だった?」
「顔…は分からない。フードを被ってたから。でも特徴は同じだった。」
「そうか…もう警察もそこに来てるから見たもの聞いたもの話すんだよ。」
病室の外を見ると警察が立っていた。
その後警察に見たことをそのまま伝えて捜査をしてもらう事になった。
※この物語はフィクションです。




