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自己紹介

猛烈な速度で飛んでいくハク。しかし、人間は不思議なものでしばらくすると慣れてくる。最初は景色を見るのが新鮮で楽しかったが、しばらくすると飽きてきた。その時、ふとナズナを見ると目があう。

「……そういえば自己紹介してないですね」

「ああ……まず、ナズナの話をしてくれるか?」

「わかりました。私は今年で18歳になります。北の方の小さな村の出身です。色々あって家族とは縁が切れています。よろしくお願いします!」

「家族と縁が切れている、それは良いのか悪いのかわからないな」

 冒険者の危険な旅を繰り返す人に取って、家族はいない方が良いとも言える。何かあった時に迷惑をかけるからだ。だが、もちろん誰とも繋がりがない状態を良い状態という風には言えないのは事実である。


「予言のせいですね。両親は農家なのですが、わかると思うのですが保守的な人達です。予言を気味悪がっちゃって。私が貴方に会うために旅に出ると言ったときの喜びようと言ったら。もう2度と会えないかもしれないのに、満面の笑顔で追い出されて悲しくなりましたよ……」

「ああ、この国で占いは御法度だしなあ……自分の娘が変な未来予測を始めたら怖いのもわからなくはない」

「ええ、なので恨んではないのですが。とりあえず縁は切れているということですね。では、次にサンの話を聞かせてもらえますか?」


「わかった。俺は王都生まれの25歳だ。と言っても孤児院出身だから親はわからないが。10年以上、冒険者として生活している。冒険者としては…… 有名かも、しれないな」

「冒険者ってランクがあるんですよね? ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、レジェンドの順番でしたっけ。ランクは何ですか?」

「ダイヤモンドだ」

「ダイヤモンド!? すごいじゃないですか! まあこの子を従えている時点でただものではないと思っていましたが」

 ぽんぽんとナズナがハクを叩くと、ハクは嬉しそうに吠える。プラチナ、ダイヤモンドは少なく、レジェンドランクに関しては王国には存在しない。実質冒険者のトップレベルと言っても良いのだが、訳あってサンは冒険者ギルドと距離を取っているため、内情はよくわからない。


「まあ、色々あってだな。ただレジェンドになることはなさそうだとは言っておく。世界を救ってもレジェンドにはならないかもな? 興味はないが」

「何かやらかしたんですか? まあダイヤモンドもレジェンドも同じようなものですよ。私が会ったことあるのはシルバーまでですので…… そこから考えるとどちらも誤差の範囲内です。」

「ははは、そうかもしれないな。まあとにかく、王都では何があっても大人しくしといてくれよ? それとなく振る舞ってくれれば大丈夫だからな」

「もちろんです! 迷惑かけないようにします。そういえば仲間はいないのですか? 冒険者はグループで活動すると聞きましたが」

「ああ、一人だ。若い頃はグループにいたこともあるが、集団行動がソリに合わなくてな。グループでいると皆でどんな依頼を受けるか、報酬はどうするか、どういう風に戦うか、色々なことを議論しないといけない。それが苦手でな。かといってもリーダータイプでもないから一人行動が多いよ。もちろん複数人でこなす依頼の場合はそうするが、滅多に受けないな。後、能力的にも個人戦の方が向いているんだ。ナズナも一人行動派か?」

「私は…… 色々な人と話すのは好きですが、友達はそれほど多くなかったです。小さい村だったというのもありますし、他の子と自分は違うということもよくわかっていたので……」


「そりゃそうか。親だけが保守的なわけないもんな。まあ、王都でも予言については隠しておいた方が良い。この国ではどこでも占いや予言は詐欺や反逆の象徴だ。良くても詐欺師だと思われるのが関の山だ」

「そうします。でも私たちはどういう関係性にしますか?」

「大丈夫だ」

「大丈夫とは?」

「誰もそんなことは聞いてこない」

「暗黙の了解というやつですか。ダイヤモンドランクってすごいんですね……」

「いや…… まあ行けばわかるさ。ああ、でも少し服装は綺麗にしても良いかもな。今のままだと農民風すぎる。俺が農家の娘を攫ってきたと思われると面倒だ」

「私ってどういう見た目なんですか?」

「農家の娘だな」

「そのまんまですね……」

「どうせ王都に着く前にどこかの町を通り過ぎるだろう。そこで宿泊して、ついでに買い物と行こう」


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