味噌もクソも一緒にするな! 類似品にご注意を!?
ぼんやりと心地良いまどろみの中、指先に温もりを感じた。
「美沙子…、おいで」
俺は目を閉じたまま、隣で眠る美沙子の肩を抱き寄せる。
「シャンプー変えた? 毛がゴワついてるね」
美沙子は何も言わずに俺の瞼を優しく舐めてきた。
「フフ、くすぐったいよ美沙子。やめろよ、ハハハ…」
肩をすくめて顔を背けたが美沙子は尚も顔中を舐めくりまわす。
しつこい、そして……臭い。
「やめろよ、美沙子…。やめてくれ…。納豆食べたんだね…、少し臭うよ。やめろよ…、やめろ…やめろって言ってんだろうがよっ!!」
俺は臭さに耐え切れず、美沙子を押しどけてしまった。
「あ〜〜れ〜〜!」
「バ、バッフィー!?」
俺の目はきっと瞳孔まで開いたに違いない。
「茂吉ぃん! あたしよぉ〜! 好きにしていいのよ〜」
「バッフィー、やめろよ! くっせぇんだよ! 」
俺は再びバッフィーに押さえ込まれ、糸をひく程顔を舐められた。
どうやら俺は、バッフィーとバイエルンの醜態をテレビでみた後ソファで眠りほうけていたらしい。外はすっかり暗くなっていた。
「今夜は鍋よ〜! おせちも飽きたでしょ〜? パーッと飲みましょうよ〜、嫌な事は忘れて。ねっ」
バッフィーが俺を気遣ってくれてるのが手に取る様にわかる。顔は恐いが根は優しい奴なのだ。
「あんたら、少し働きなさ〜い! ほらほら、ぐうたらしないなや! えらい太ったんやないか? 出張手当て出さへんでぇ!」
「「や〜だ〜」」
メイド達はバイエルンにケツを蹴られて渋々立ち上がった。
そしてその夜、俺は酔えない酒をしこたま飲んだ。
しかしバッフィーは早々に酔った様子で、俺の肩に頭をもたれ掛けて低く甘い声で囁く。
「あたし酔っちゃったみた〜い、眠いの…」
「モキティ、バッフィーもう寝かしたりぃな。疲れたんやわ。あんたの為に神頼みしに行ったんやでぇ」
バイエルンに促され、俺は一回り大柄で千鳥足のバッフィーをやっとの思いで寝室まで運んだ。
ドサッと重なる様にベッドに倒れ込むと、バッフィーは少し苦しげに短く唸った後すぐに寝息をたて始めた。
幸せそうな顔しやがって…。
そうか俺の為にあんな事…。一途で健気だし、カワイイとこあんだけどなぁ…。
「茂吉…、いるの?」
薄暗いテーブルランプの灯りの中、バッフィーがけだるそうに身体を起こし虚ろに揺れる瞳で俺を見つめる。
「バッフィー…」
何かが起こる…、そんな危険な匂いがした。
血迷った俺はバッフィーの肩を抱き、唇を…。と、その時バッフィーの表情が歪んだ。
「ごめん茂き…、ヴォェーー!」
キャインキャインキャイン!!
バッフィーは俺の顔めがけて思いきり吐き散らし、スッキリ満足げに再びの眠りに落ちていった。
その頃、俺がトイレで便器を抱えて貰いゲロに涙していた事は誰も知らない…。そして勿論、誰にも言えない…。
お食事中の方、ごめんなさい。