表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

味噌もクソも一緒にするな! 類似品にご注意を!?

ぼんやりと心地良いまどろみの中、指先に温もりを感じた。


「美沙子…、おいで」


俺は目を閉じたまま、隣で眠る美沙子の肩を抱き寄せる。


「シャンプー変えた? 毛がゴワついてるね」


美沙子は何も言わずに俺の瞼を優しく舐めてきた。


「フフ、くすぐったいよ美沙子。やめろよ、ハハハ…」


肩をすくめて顔を背けたが美沙子は尚も顔中を舐めくりまわす。

しつこい、そして……臭い。


「やめろよ、美沙子…。やめてくれ…。納豆食べたんだね…、少し臭うよ。やめろよ…、やめろ…やめろって言ってんだろうがよっ!!」


俺は臭さに耐え切れず、美沙子を押しどけてしまった。


「あ〜〜れ〜〜!」


「バ、バッフィー!?」


俺の目はきっと瞳孔まで開いたに違いない。


「茂吉ぃん! あたしよぉ〜! 好きにしていいのよ〜」


「バッフィー、やめろよ! くっせぇんだよ! 」


俺は再びバッフィーに押さえ込まれ、糸をひく程顔を舐められた。

どうやら俺は、バッフィーとバイエルンの醜態をテレビでみた後ソファで眠りほうけていたらしい。外はすっかり暗くなっていた。


「今夜は鍋よ〜! おせちも飽きたでしょ〜? パーッと飲みましょうよ〜、嫌な事は忘れて。ねっ」


バッフィーが俺を気遣ってくれてるのが手に取る様にわかる。顔は恐いが根は優しい奴なのだ。


「あんたら、少し働きなさ〜い! ほらほら、ぐうたらしないなや! えらい太ったんやないか? 出張手当て出さへんでぇ!」


「「や〜だ〜」」


メイド達はバイエルンにケツを蹴られて渋々立ち上がった。

そしてその夜、俺は酔えない酒をしこたま飲んだ。

しかしバッフィーは早々に酔った様子で、俺の肩に頭をもたれ掛けて低く甘い声で囁く。


「あたし酔っちゃったみた〜い、眠いの…」


「モキティ、バッフィーもう寝かしたりぃな。疲れたんやわ。あんたの為に神頼みしに行ったんやでぇ」


バイエルンに促され、俺は一回り大柄で千鳥足のバッフィーをやっとの思いで寝室まで運んだ。

ドサッと重なる様にベッドに倒れ込むと、バッフィーは少し苦しげに短く唸った後すぐに寝息をたて始めた。


幸せそうな顔しやがって…。

そうか俺の為にあんな事…。一途で健気だし、カワイイとこあんだけどなぁ…。


「茂吉…、いるの?」


薄暗いテーブルランプの灯りの中、バッフィーがけだるそうに身体を起こし虚ろに揺れる瞳で俺を見つめる。


「バッフィー…」


何かが起こる…、そんな危険な匂いがした。

血迷った俺はバッフィーの肩を抱き、唇を…。と、その時バッフィーの表情が歪んだ。


「ごめん茂き…、ヴォェーー!」


キャインキャインキャイン!!




バッフィーは俺の顔めがけて思いきり吐き散らし、スッキリ満足げに再びの眠りに落ちていった。

その頃、俺がトイレで便器を抱えて貰いゲロに涙していた事は誰も知らない…。そして勿論、誰にも言えない…。


お食事中の方、ごめんなさい。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ