類は友を呼ぶ…、誰が呼んでいいっつった!?
その日俺は、近所の焼肉屋に向かって商店街を歩いていた。
空には既に何番目かの星が輝き始め、アーケードの下では店々の看板がともされた冬の夕暮れ。
目の前には腕を絡めてピッタリ寄り添い、弾む足取りの美沙子とバッフィー。
時折ショーウインドーにへばり付いて、
「モッキー、あたしクリスマスプレゼントあれがいい~!」
「茂吉! あたしはこれねぇ!」
などと猫撫で声で言いながらいつにない笑顔を見せる。
お前ら俺の金で温泉行ったろ!? たらふく蟹食ったらしいな! 土産も食っちまったじゃねえか!?
今だってお前ら端から手ぶらだし…。
どこまで図々しいんだ…、面の皮が厚いって言うか、心臓に剛毛生えてんじゃね?
と、俺が心の中でわめいていると、背後でふいに男の低く鼻にかかった様な甘ったるい声がした。
「オーマイスッウィートダァーリン!! ハニーー!!」
「は?」
男性ファッション雑誌のモデルの様なシェパードが居た。クールビューティーなジャーマンシェパードだ。
バッフィーは驚きながらも、凄い笑顔になった。
怖っ!
「バイエルン!?」
ソーセージ?
男はバッフィーに駆け寄り、抱きしめ合いケツの臭いを嗅ぎ合い顔を舐めくりまわし合う。
焼肉食う前でよかったね…、って言うか、公衆の面前でそこまで…、痛っ!! 痛い痛い痛い、痛い奴らだ。
しかし…、状況からして彼はバッフィーの“恋人”!?
帰りの遅い彼女(?)を迎えに来たとか!?
でかしたバイエルン!
心置きなくさっさと連れて帰りなさい、君達の愛の巣へっ!!
その時、バイエルンの何とも言えない目が俺に向けられ、背中に寒いものが走った。
「彼やな〜〜! あんたのええ人ってぇ…、素敵やな〜い。 うちも好きになってまいそやっっ」
何ですとっ!?
バイエルン…、お前も…そっちかっ!?
そっちなのかぁっ!?
しかも何故に関西のニュアンス!?
慌てた様なバッフィーが俺に寄り添ってきた。
「茂吉はあたしのもの! 手を出しちゃ、ダ・メ・だぞっっ!!」
おいおいおいおい…、何なんだこの展開!?
美沙子〜、何とか言ってやれ…よ…って…、美沙子?
なして目がハート!?
美沙子! 俺はこっちだぞ!!
美沙子ぉぉーー!!!!
TO be continue…