俺と彼女は確認友達〈チェックメイト〉
「ねぇ、私とチェックメイトにならない?」
同じ学部の女友達が、出し抜けにそんなことを言う。
チェックメイトに……なる?
意味が分からなかったので質問すると、逆に質問が返ってきた。
「同じクラスの友達は?」
「クラスメイト」
「一緒に住む友人は?」
「ルームメイト」
「じゃあ、確認し合う友達は?」
「……チェックメイト?」
「そういうことよ」
どういうことよ。
「君、課題の提出よく忘れてるわよね?」
「うっ」
「実は私もよく忘れそうになるの。だから私達、お互いに課題の確認をし合わない?」
あー、なるほどね。そういうことなら俺も助かるし、断る理由がない。という訳で、申し出を受け入れることにした。
「よかった。じゃあ私達、今日からチェックフレンドね」
メイトじゃなかったの?
「チェックスフレンドね」
複数形にするな。
*
翌朝、彼女からの電話で起こされた。
『おはよう』
『朝っぱらからどうした』
『生存確認よ』
『そういう確認もするのか』
『当たり前でしょ、チェフレなんだから』
変な略し方やめろ。
『朝ご飯はちゃんと食べた?』
『食べたよ』
『朝はご飯派かしら? それともパン派?』
『何の確認?』
『好みの確認』
『まぁ……パンかな』
『犬派? 猫派?』
『犬』
『和装がいい? それとも洋装?』
何の確認?
『子供は何人欲しい?』
まじで何の確認?
『男の子二人、女の子一人にしましょうか』
何かが決定した。
*
『美味しそうなカフェを見つけたわ。チェックしに行きましょう』という謎な誘い方をされて、二人でカフェにやって来た。ホテルの一階にある、ちょっと小洒落たお店だ。
「あの張り紙見て。『店内への危険物持ち込み禁止』だって。君、持ってないわよね?」
「持ってる訳ないだろ」
「私、持ってるかも」
「はぁ?」
「念の為、〈肉体確認〉してくれる?」
ボディチェックだろ。妙な言い方するなよ。
「店内では騒いじゃダメよ?」
「分かってるよ」
「お口にチェック、だからね?」
チャック、な。
「こういうオシャレなカフェ、よく来るのか?」
「そうね、友達とちぇくちぇく来るわよ」
ちょくちょく、な。
「あ、くしゃみ出そう……チェックション!」
独特だな。
「あー、ちぇくび痒い」
こんな場所でかくなよ! あ、手首の話か。
「そろそろ出ましょうか。店員さん、お会計お願いします」
そこはチェックじゃないのかよ。
「そういえば、ここの上はホテルになってるのよね」
「そうだな」
「……明日は、日曜日ね」
「……そうだな」
チェックインした。