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人生

作者: nakahoshi

 私は、12月12日、この世に生を受けた。名前は田中慎二。父は教師で、母は専業主婦。兄弟はいない。父は芯を持った人で、曲がった事が嫌い。母は楽観的な性格で、基本的に気まぐれで動く。

 父が教師であるが故に勉強には厳しかった。もちろん、中学受験もした。父は毎日のように勉強、勉強と言って、そんな父が嫌いだった。お陰で良いところに行けたが、その反動で中学はグレた。両親にも楯突いて、家出もした。でも、すぐに自分の無力さに気がつき、そこからはグレるのもやめた。

 高校、大学はエスカレーター式。お陰で友達には困らなかった。初めての彼女は大学の時で、そのまま結婚した。美人で優しい、私にはもったいないくらいだ。

 その後は一流企業に就職した。順調に出世したし、子どもも2人できた。25と28の時。男の子と女の子。私は子どもには厳しくしなかった。自分が嫌だったのが一番の理由だ。押しつけられる勉強は1番身に付かない。

 やがて子ども達も巣立ち、子育てもひと段落した。2人とも大学卒業後に出て行った。

 そこから15年くらい働いて、定年退職の後は田舎に隠居した。静かな自然は心を癒してくれる。

 やがて妻が亡くなった。75歳。葬儀は家族だけで行った。子ども夫婦達も一人暮らしを心配してくれたが、大丈夫と言って、一人暮らしをした。

 やがて私の体にもボロがきた。今は病院のベッドの上。私が存在した証としてこの手記を残す。



 ーとある病院。1人の少年を見守る家族の姿があった。その少年の名は田中慎二。1年前に昏睡状態になり、そのまま目覚めない。心臓の鼓動は弱くなり、もう長くはない。そんな少年の顔は、まるで長い人生を謳歌した老人のような顔をしていたー

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