表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2章 ミスコン開催

詩季の強い剣幕と陽芽の勧めと、その場にいた生徒会の勧めもあり、

玲衣、詩季、陽芽の三人はミスコンに出場することになった。

放課後に三人は生徒会がミスコン候補者に配布する開催概要書を元に詳しく調査することにした。


ミスコンはエントリしたい者が、自身のアピール文を申し込み書に書いて応募する。

アピール文はコンテストのパンフレットに記載され、掲示板に張り出される。

すでに三人(玲衣と陽芽は自分で書いていないが)は記載して、応募しているので、ここまでは実施済みである。

次にファーストステージ、ラストステージがある。

ファーストステージは文化祭の初日に実施され、候補者はステージの上で3分で自己アピールをする。

これは一人でも候補者何人かで同時に実施することが可能である。

観客は全員のアピールを見た後に、投票する。票にはミスター、ミス、カップリングの三つの欄がある。

ミスター、ミス欄には候補者一人の名前を書く。ミスターはかっこよさや元気良さ、ミスはかわいさや美しさで選ばれる傾向がある。

そしてカップリング欄にはベストなカップルに見える二人を記載する。

ファーストステージではこれらの三つ指標で人気の高い何名かを選び出すのである。そして選ばれた候補者はラストステージに進む。

ラストステージは文化祭の最終日に実施される。

ラストステージはファーストステージとほぼ同様であるが自己アピールは5分まで可能である。

またベストカップリングを選択するために、一緒にアピールできる人数が二名までになる。

そのため、ファーストステージで三名で参加して、三名がラストステージに進むと、

三名のから二名を選はないといけず、場合によっては三角関係を拗らせ、愛憎の関係が生じることがある。

そして、過去に何組を内部崩壊に陥らせた実績があるため、魔のラストステージと呼ばれることがあった。


「って、結構やばいね。」玲衣はミスコンの内容を調べながら言った。

「うん、思ったより本格的だし、そもそも何をアピールしたらいいのかな。」詩季が答える。

「ふふふ、好きなようにアピールしたらいいんじゃないかな」陽芽は余裕を持っていった。

自分から参加したいと言っていただけあり、陽芽にはアピール内容が決まっているようだった。

「私は華やかさをアピールしないとね。」と陽芽はかかとを上げてその場でくるくると回転する。

陽芽は小さい頃にバレエを習っていて、今でも少しは踊れるため、バレエをアピールに決めていた。

一方、玲衣と詩季は何をアピールするか迷っていた。二人とも特にこれといった習い事はしておらず、部活動にも所属はしていなかった。


二人が悩んでいるそばで、陽芽は意気揚々とアビール方法を考え、何かメモを取ったりしていた。

するといつの間にか夢口先生が教室に入り、玲衣, 詩季の側に寄った。

「カップリングがいいんじゃないかしら。」

二人の白紙のアピール文を見ながら、夢口は言った。玲衣、詩季は夢口の方を向いた。

「もし、個別でアピール難しかったら、一緒にアピールするのもありだからね。二人で何かやってみたら?」

「詩季と二人で……。」玲衣は体育祭の組体操のときに詩季を抱え挙げた時を思い出した。

玲衣と詩季の演舞は美しく、観客から拍手喝采を得ることできた。

夢口もその姿を見て強く印象に覚えていて、気づいたら目から涙を流すくらいだった。

玲衣と詩季を見つめあって、

「それいいかも」

と二人して言った。

いつの間にか陽芽が近くにいて、おもしろくない顔をしていた。

「玲衣と詩季は二人で何かするんだ。ふーん。」

「あっ、じゃあ陽芽ちゃんも一緒に三人でやろうよ。」

詩季は陽芽に優しく進めた。陽芽は一瞬興味を持ったようだが、

「私は一人でいいもん。」

と拗ねたように答えた。

「それにもし、ファーストステージ三人突破して、ラストステージに入っらたらどうするのさ」

と陽芽は言った。玲衣と詩季は言葉に詰まった。

「ラストステージはルール的に三人は出れないわ。」夢口が指摘した。

陽芽は寂しそうに一人の練習に戻った。玲衣と詩季は二人でがんばろうと意気込んだ。


次の日の放課後から、三人はグラウンドや屋上や教室を使ってステージでのパフォーマンスを練習することにした。

玲衣と詩季は組体操をアレンジした創作演技の練習をし、陽芽は一人でダンスパフォーマンスの練習をした。

三人ともやってみると真剣になって、質をあげようと練習を重ねた。

夢口もしばしば三人の練習を見にきては、主に玲衣と詩季に対し、褒め言葉を投げかけた。

陽芽は内心苛立っていた。玲衣と詩季は楽しそうに二人で練習していて、自分は一人。

そして先生からは無視されているように何も言われない。

陽芽は負けじと厳しく練習を自分に課した。


文化祭数日前になると学校全体で文化祭に向けて準備が始まった。

三人のクラスは今年は喫茶店をすることになった。

本来であれば華のある三人には看板娘としてウェイトレスになってもおかしくなかったが、ミスコン参加のために免除となった。

代わりに三人は飾りつけ係を担当することになった。

詩季は飾りつけを作るのが好きなようで、洒落た飾りを量産し、玲衣と陽芽が取り付けていった。


文化祭の初日となった。

初日のメインイベントであるミスコンのファーストステージは

生徒、先生、保護者やその他多くの人がステージ前に集まった。

ミスコンの候補者は高等部で数十人ほどでステージの裏に控えていた。

玲衣、詩季、陽芽の三人もステージに登場する順番を待っていた。

「緊張するよ」詩季が少し震えながら言った。

「大丈夫」玲衣は優しく声をかける。

その姿を陽芽は歯噛みしながら見ていた。陽芽自身は余裕がないようで、顔色は良くなかった。

「陽芽、ちょっと体調悪いんじゃないの?」

玲衣は陽芽に声をかけた。

「元気よ。」むすっとして陽芽は返した。


先に玲衣、詩季が舞台に立った。今回二人組の登板は二人が最初だったこともあり、舞台に立つと黄色い声が上がった。

二人は紹介されるとその場で音楽に合わせ、ステップを踏んだ。

玲衣はすまし顔、詩季は優しい顔でしばらく舞台の上を周る。

周りながら、玲衣は舞台裏の陽芽の姿が見えた。陽芽の顔は曇っていて今にも泣き出しそうに見えた。

そして玲衣と詩季はステージの真ん中に立つと、玲衣は詩季抱え挙げ、詩季は両の手を大きく広げた。

観客から盛大な拍手が送られる。

玲衣、詩季のパフォーマンスは練習通りでき、それまでの候補者の中でも一番の拍手だった。


次のパフォーマンスは陽芽だったが、陽芽は落ち着きをなくし、焦燥しきっていた。

親友たちのパフォーマンスは素晴らしく観客の心を完全に掴んでいた。

陽芽のパフォーマンスではこの流れを変えることは想像ができてしまったからだ。

「落ち着いて。大丈夫だよ」後ろからやさしい声が聞こえた。

陽芽が振り向くと、玲衣がいて、陽芽の両肩に手を置き、笑顔を見せていた。

「えっ、玲衣?」陽芽は玲衣がそこにいてくれることに驚いた。

「陽芽が心配で戻ってきたの。陽芽なら大丈夫だから。ファイト!。」玲衣は陽芽の背中を押した。

陽芽は好きな人に応援してもらって、さっきまでの鬱憤した雰囲気は消え去り、顔には生気がみなぎってきた。

玲衣はその姿を見送り、陽芽の顔が晴れてよかったと思った。玲衣は舞台から見えた陽芽をほっておけなかったのだ。


そして陽芽の番になった。

陽芽はステージに立つと周りを静かに見回す。そして落ち着いた動きで、優雅にステージを周る。

最初はあんまり興味がなさそうな観客もいたが、陽芽の動きは多くの観客の心を魅了していった。

観客は、静かにうっとりとし、陽芽のパフォーマンスを観ていた。

そして、陽芽はステージの端によるとステージの中に向かって飛び立とうとする。

陽芽は二回転ジャンプを試みた。回転はうまくいき、後は着地。

足を着地させときに、彼女の足先は体重を支えきれなかった。陽芽はステージの真ん中で崩れ落ちた。

陽芽は自分が失敗したことに呆然とし、観客席を見てしまった。観客はみな驚いたように陽芽を見ていた。

観客を見てしまった陽芽は体が震え、ステージで動けなくなった。

陽芽の前に手が差し出された。まるでそういう筋書きだったかのように玲衣が舞台に立っていた。

陽芽の顔には涙が写っていたが、顔は明るくなった。陽芽は立ち上がると踊りを再開した。

陽芽はうれしかった。大好きな玲衣と一緒にミスコンに参加できたことがなにより、うれしかった。最後の決めをしっかりと決め、陽芽のパフォーマンスは終わった。

観客は一番の拍手を彼女たちに送った。玲衣は陽芽に手を差し出し、二人は舞台裏に戻る。

玲衣が先にステージの階段を降り、次に陽芽が降りようとした。

しかし、陽芽の足は過酷な練習で痛めつけられ、そして二回転ジャンプで倒れこんだ時に彼女の足はくじけていた。

その足で階段を降りようとし、陽芽はそのまま崩れ混む。

下側にいた玲衣は陽芽の異常に気づき、すぐに陽芽を支えた。

「足が痛い。」陽芽は言った。陽芽の顔は真っ青で息が上がっていた。

玲衣は陽芽を抱きかかえ、階段を下り、陽芽を椅子に座らる。

様子に気づいた夢口はすぐに救護の先生を呼び、様子を見たが、

ただの貧血ではないことは明らかだった。


夢口と玲衣、詩季は陽芽の付き添いで救急車に乗り込んだ。

陽芽は依然息苦しそうにしていた。玲衣は手を握っていた。

病院に着くすぐに陽芽は痛み止めの注射と点滴を受けた。

しばらくすると陽芽は落ち着いたようで、レントゲンを撮りに行く。

診察の結果、陽芽の足は軽く骨折していることがわかった。

ジャンプに失敗したときに彼女の足にはヒビが入っていたのだった。


陽芽は病室で寝ている。詩季に陽芽は任せて、玲衣は何か買ってこようとコンビニに向かうと、

学校に報告をしている夢口に会った。

「陽芽さんの様子はどう?」

「さっきまで起きていたんですけど今は落ち着いて眠ってます。」

「そう。無理しすぎたみたいね。」

関口は淡々と話す。

「ところで玲衣さん、さっき生徒会の子からミスコンの連絡あったのだけど、

玲衣さんと詩季さんと陽芽さんはラストステージに進めるみたいよ。」

「そうなんですか。」玲衣は興味ないように答えた。

「陽芽さんは不参加になるけど、玲衣さんたちは明日はどうするの?」

「ミスコンなら参加できませんよ。」玲衣は断りを入れた。

玲衣は自身が舞台に駆け込んだことで陽芽を焚きつけ、よりいっそう痛めさせてしまったと後悔していた。

「参加しないと絶対だめ。」夢口は玲衣の手を強く握り強く言った。玲衣はあまりに強く握られ驚いた。

「私のせいで陽芽を悪化させてしまったのに、」玲衣は苦しそうに答える。

「それはあなたのせいじゃないわ。気にしちゃだめ、あなたは陽芽さんの分もがんばらないといけないの。」

夢口はどうしても、玲衣にミスコンに参加して欲しいようだった。

しかし、玲衣はどうしても参加する気にはなれなかった。


病室に戻ると陽芽は目を覚ましていた。

骨折した足にはギブスが巻かれていてベッドの上で足を上げていたが、玲衣が駆け寄ると陽芽は少し笑った。

「足にヒビが入っただけだって。」

「うん、そうみたいだね。体調は大丈夫?」玲衣はギブスが巻かれた足を見て平気そうには見えず心配する。

「足は痛いけど、今は平気。」と陽芽は足をつつく。

「あっ、痛っ」陽芽はやはり痛かったのか顔を歪めた。

玲衣は手を差し伸べ、陽芽の腕を掴んだ。

「あうっ」陽芽は頰が赤くなった。舞台でのことを思い出し、玲衣も赤くなった。

玲衣は照れ隠しもあり、さっき夢口に聞いたファーストステージを三人とも突破した話をした。

「明日のラストステージは辞退だな。」玲衣は言った。陽芽は驚いた顔をする。

「そんな、二人は出場しないと」

「でも、陽芽ちゃんが怪我しているのに参加できないよ。」詩季も言った。

すると陽芽は二人の手を取り、しばらく俯いた。そして二人の方を見た。

「お願いだがら、二人は出て。私の出れない分頑張って三冠王を目指して。」

玲衣と詩季は互いに目配らせして、迷った。

「私のことはいいから。私は今日のステージ、本当にうれしかったし楽しかった。怪我したのは残念だけど満足したよ。」

陽芽は真剣な目をして、玲衣と詩季を見た。

「二人で参加しなさい。陽芽さんもそう言ってるのよ。」

病室にいつまにかいた夢口の後押しもあり、二人はラストステージに進むことになったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ