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ヴィレッジういんたーも平安なり?

その一 season2 ここから本編? check it out!

 さてこちらが4つめの区域のヴィレッジうぃんたーでございます。こちらでパレス六条のご案内は最後になります。ヴィレッジおーたむの北側、ヴィレッジさまーの西隣、敷地内の北西に位置する冬の町でございます。光る君が明石からお迎えになられた明子さまのお屋敷でございます。みやこに慣れていない明子さまの為に他のヴィレッジのお屋敷より随分と小ぢんまりとした(ミニマムな)お宅にいたしましたが、瀟洒な雰囲気でございます。オシャレでハイセンスな調度品インテリアを揃えられました。

 雪景色を想定して植えられた松が見事な冬のお庭でございます。枯山水の白砂を月の光が銀色に照らします。荘厳、幽玄、そんなお言葉がよく似合うとても落ち着いた一角でございます。


「明ちゃん」

 光る君の声が御簾の向こうから聞こえてまいります。

 文机に向かっていた明子さまがふっとお顔をあげて御簾の方をみやると、そこにはすでにするりと御簾内に滑り込んでくる光る君でございます。夜の帳の降りた刻、ほの暗い室内にしゅるっと衣擦れの音が響き、白地に金糸の菊文様の直衣に烏帽子姿の光る君が現れるだけでまさに光が差し込むような輝きがございます。


「あら」

 優雅に筆を置いて光る君に向き直り明子さまは居ずまいを正されます。竜胆りんどう色の袿重ねもさすがのファッションセンスの優雅な明子さまでございます。

「今日は末子さまのところにお出かけと聞いていたわ」

 あっという間に明子さまのお手をおとりになる光る君。まったく無駄な動きがございません。けれどもあくまでも優美に流麗に、あたかも舞を舞うような仕草でございます。


「あいかわらずの情報網だね。そう思わせておいてキミを驚かせたかったんだ」

 光る君はバチっとウインクを決められます。

「それにしても、いらっしゃるって文もなければ先触れ(先導)もなしなのね」

 突然の光る君の来訪に少し戸惑いぎみではございますが、そこは明子さまも笑みを浮かべられております。


「恋にはさ、サプライズが必要じゃん?」

 光る君は明子さまの頬に触れるか触れないかの口づけ(キス)をなさいます。結局はこの君に振り回されているんだわ、とため息をつきながらも明子さまの頬も緩みます。

「ようこそ。光さん」


 急いで明子さま付きの三人官女(SKJ)がおふたりのお席を整えます。さざえ、ほたて、あさりの3人でございます。チームうぃんたー、チームミュージックとも申します。お琴や琵琶がお得意な明子さまの影響でSKJも楽器や歌が得意で、明子さまも交えてよく合奏セッションしているようでございます。


「月がね、綺麗だよ。こっちにおいで」

 光る君が明子さまを簀子縁すのこえん(バルコニー)の近くまでお連れになります。

「本当ね、綺麗だわ、月が」

 おふたりは顔を見合わせ微笑まれます。光る君が明子さまの肩をお抱きになり、明子さまも光る君の肩に頭を預けられます。


 まるでおとぎばなしのような光景でございます。

 藍色の夜空に輝く白銀の月。

 瞬く幾多の星々。

 常緑の松も夜陰の色を纏い

 白砂の庭を照らす月明かり

 寄り添う美男美女のおふたり

 

 控えている源ちゃんズもSKJも几帳ごしに控えながらうっとりと見惚れております。おっと源ちゃんズ、見惚れている場合ではございませんわよ。音楽ですわよ。BGMですわよ。ここは月にちなんだ曲がよろしいですわね。折よくここはヴィレッジうぃんたー、SKJ48はチームミュージックの皆さん。さざえ、ほたて、あさりの3人のヴォーカル付でございます。


 明子さまとは謹慎先の明石で出会われました。謹慎って? 壱の巻でお話いたしましたでしょう? まあ、光る君やらかしたワケでございます。そんな謹慎中だと言うのにリゾラバとでも申すのでしょうか、光る君は海辺で暮らしていた人魚姫アリエルに恋をしたのでございます。

 光る君が帰京して数年後に約束通り明子さまは京にいらっしゃいました。光る君とのあいだに産まれたお嬢様、姫子さまとご一緒に。もちろんこのヴィレッジうぃんたーでご一緒にお暮らしになっていらっしゃいます。


冬の町(ヴィレッジうぃんたー)に来てくれてよかったよ。これでいつでも会えるね」

「そうね。わたしも嬉しいわ」

 おふたりは語り合いながらお顔をお寄せになられます。おふたりのあいだに隙間がなくなり、月の光をおふたりのシルエットが遮り、口づけをお交わしに……


「あの、申し上げにくいのですが……」

 SKJのほたてが几帳ごしに声をかけます。

「……。なにかしら?」

 明子さまが振り返られます。


「春の御方さま(紫子さま)からのお使いですわ。こちらにいらっしゃるようです」

「!!!!!」

 光る君は思わずのけぞります。

「そう? じゃあお席を用意して」

 やたらと落ち着き払っている明子さまがチームに指図をなさいます。


「お声をかけるの、ラブシーンを見てからでもよかったんじゃない?」

「あ、言われてみればそうね」

「でもでも! ちょっとワクワクするわね」

「対決! じゃなかったご対面! ですよね?」

「明子さまと紫子さまのご対面も気になるけれど、殿はどうされるのかしら?」 

「源ちゃんズも呼んでみんなで見学しません?」

「そうね。そうね。そうしましょ」


 所作は優雅に、内心はウキウキと。SKJの3人が紫子さまの来訪の準備をします。

 所作はぎこちなく、内心はドギマギと。源ちゃんズはおどおどと演奏に備えます。


 ……。


 本日もパレス六条平安なり? でございます。



♬BGM

Moonlight Serenade

スターウォーズ・ダースベイダーのテーマ


✨『パレス六条』登場人物紹介

明子さま 理詰めのアリエル、得技は和歌攻め

さざえ 明子さま付きSKJ コーラスはアルト 明石から帯同

ほたて 明子さま付きSKJ コーラスはソプラノ 明石から帯同

あさり 明子さま付きSKJ コーラスはメゾソプラノ 京で新規採用

姫子さま 光る君と明子さまの姫君。遊び相手(SKJ)はぱんだ・うさぎ・こあら


✨『げんこいっ!』トピックス

冬の庭には雪が降ると、姫子さまはじめ子供向けの雪遊び施設(すべり台など)が作られる。施設の設営はもちろん源ちゃんズ。

姫子さまの遊び相手の女童めのわらわはぱんだ、うさぎ、こあらの三つ子でほたての子ども。パパは管三。



☆次回予告

月夜の三者面談!

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