第9話 火炎塵
僕は、赤熱した棍棒でレクサスに殴りかかった。
しかし、レクサスは僕の棍棒撃を簡単に回避してしまった。
クッ、このままでは殺されてしまう。
こんなところで殺されるわけにはいかないっ!
僕は、ギルド受付嬢を人質にとることを思いついた。
僕は、レクサスに殴りかかるように見せかけてギルド受付嬢の方に突っ込んだ。
そして、ギルド受付嬢の背後から、左腕で口を塞ぎ、右手に持った棍棒を、受付嬢の首に突き付けた。
「レクサスさん、この子の命が惜しければ武器を捨てて下さいっ!」
僕は多少卑怯な手段だとは思ったが、殺されるわけにはいかないのだ。
「キミ!人質とは卑怯だぞ!戦士として正々堂々戦え!」
レクサスがそういうと僕は、さらに棍棒を首に近づけた。
さすがに焦ったレクサスは聖剣を手放した。
僕はこの機会にレクサスを倒してレベルを上げてしまおうと思った。
「よーし、それでは、四つん這いになって、こっちにお尻を向けて下さい」
僕は、レクサスに命令した。
「いやっ!レクサス、こんな人の言うことを聞いてはダメよ」
受付嬢が口をはさむ。
「ちょっと黙っててください!」
僕は、受付嬢を棍棒で小突いて黙らせた。
「レクサスさん、早く言うとおりにしないと、この子に棍棒を入れますよ」
そういって、僕は、棍棒を示した。
「クッ、わかった言うとおりにする」
そういうとレクサスは、僕の言うとおりに、四つん這いになって、尻を向けた。
人質の効果は抜群のようだ。
「言うとおりにしたぞ、人質を解放したまえ!」
レクサスは僕に受付嬢を解放するように促した。
しかし、ここで解放すれば、僕を攻撃してくるに決まっている。
「解放するわけないだろう!棍棒の餌食にしてやる!」
僕はそう言うと、レクサスを弱らせるために、棍棒で殴打した。
「クッ!卑怯だぞ!」
ボコッ、ドガッ、ボコッ、ゴキッ!
「クッ、卑怯者めっ!殺すなら殺せ!」
レクサスが僕に対して、吐き捨てるように言った。
これくらいでいいだろう。
僕は、火炎の魔法棒を発動した。
そして、赤熱した鉄の棍棒をレクサスのケツの穴に挿入しようとした。
その瞬間、レクサスが叫んだ。
「今だっ!喰らえッ!必殺、後方火炎塵ッ!」
僕の視界が真っ赤に染まった。
レクサスは、肛門から大量の可燃性ガスを恐るべき勢いで噴射すると、魔力で点火したのだ。
灼熱の炎が僕の全身を包んだ。
「ぎゃああああ、目がぁ、目がぁぁぁっ!」
僕は、レクサスの必殺技により目をやられてしまった。
「今ですっ!みなさんっ!」
レクサスが声を上げるとその場にいる全員が、僕を棍棒で殴りつけ始めた。
「やっちまえ!」
「オラオラオラオラオラオラっ!」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぃ!」
「ドラドラドラドラドラッ!」
「ボラボラボラボラボラボラボラっ!」
ボコッ、ドカッ、バキッ、ゴキッ、ガッ、ベキッ!
無数の棍棒が僕に容赦なく振り下ろされた。
「ちょ、待って、ぐわッ!ゆ、許して下さいーっ!」
僕は、情けない声を上げて許しを懇願した。