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異世界召喚 棍棒勇者無双  作者: テラニート
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第1話 召喚

僕は、桜庭友介さくらば ゆうすけ

小学校、中学校といじめられ続けた負け犬だ。

言い換えれば、アンダードッグだ。

なぜ、いじめられ続けたかというと小学校3年生のときに、好きな子のリコーダーを舐めたところを目撃されてしまい変態のあだ名がつけられてのがきっかけだと思う。

高校生になって心機一転と思い、受験勉強をするも、頭の悪さゆえに最底辺の高校にしか行けず、いじめの主犯と同じ高校になってしまった。

しかも、同じクラスだ。

高校の入学室当日から早速いじめのターゲットに認定されてしまい最悪の高校生活だった。

好きな子の体操服を盗まされて、翌日の朝のホームルームで暴露されたり、最悪の羞恥プレイを余儀なくされてきた。

格技の授業では、柔道のはずなのに、授業1回につき顔面パンチを50発、蹴りを50発の合計100発はプレゼントされた。

運動神経も頭と同じく悪い僕は、まったく抵抗できずにいいように殴られた。

体育教師に助けを求めたが一緒になって殴られた。

クソッ、世の中理不尽だ。

高校2年生の1学期、女の子から告白のラブレターが届いた。

僕は、喜び勇んで呼出しの場所に行った。僕の大好きだった子だ。

そこには厳つい不良たちが現れて、大爆笑の上に、生意気だ、ブタなどと罵らつつ、殴る蹴るの暴行を受けた。

僕の顔写真と実名でフェイクブックアカウントを作られて、卑猥な言葉を投稿したり、女性に無差別に声をかけたりそういうクソみたいな利用もされている。


そして、今日は修学旅行だ。

僕は、羽田空港から飛行機に乗った。

座席は、窓側2席、中央3席の1列7席のエコノミークラス。

僕は、いじめの主犯格たちに囲まれていた。

僕は、基礎能力が低いばかりか運も悪いようだった。


僕は機内食に付属する塩を頭から振りかけられていた。

そうこうしていると、コクピットのある前方から怒鳴り声が聞こえてきた。


「この飛行機は俺たちが乗っ取った!」

「〇〇に向かえ!」

「池袋のムーンライト60に突っ込め!」


そういった声が聞こえてきた。


なんだって!

これはテロか!

頭に塩をかけられつつも、911の貿易センタービルへのテロ行為が頭をよぎった。

テロが起こっているというのに不良たちは僕に塩をかけるのは忘れない。

凄い根性だ。


僕は、映画みたいにヒーローが現れることを期待しつつ、目を閉じて祈った。

そうすると、目を閉じているのに僕の視界は光に包まれた。

目をあけても光が強すぎて何も見えないような状態だ。


そうして、僕の意識は遠のいていった。


意識を取り戻すと僕は、洋風の大広間に居た。

中世ファンタジー世界で王に謁見をするような豪華な空間だ。


「僕は、どうしてここに……」


クソッ、何が起こったんだ。

僕が頭をかきむしると周囲に塩が巻き散らされた。

ん?

さっきまで、飛行機に乗っていたのは、間違いないな。

そして、塩をかけられていた。


「おおっ、勇者様の召喚に成功いたしました!」


目の前のローブを羽織った魔術師風の男がそういった。

周りには、完全武装の兵士が十数人、王冠を被った30歳前後の男がいた。


勇者?誰が?

ここにいるのは根っからの被虐者だ。


「勇者様、ご気分はいかがですか」


王冠が似合ういかにも王様という感じのイケメンが僕に話しかける。


「勇者?僕が?」

「そうですぞ、あなた様は我が国の魔術師により召喚された勇者様です」


僕は、僕が、僕が勇者。

この状況は、よく見る異世界転生または召喚ものの作品で、糞のようなヘタレ主人公が転生により一発逆転するという話ではないか。

僕は、友達がほとんどおらず、ネットが友達だったので、インターネット上の小説サイトで、小説を読み漁っていた。

そこでは、僕のような被虐者が転生により活躍する話などがあったので、僕は心を躍らせていた。

いや、むしろ、ネットの小説こそが僕の心の支えだったのであって、ネット小説がなかったら、僕は絶望して自殺していたかもしれない。

あれこれ考えていると王様が続けた。


「私は、この【サン帝国】の皇帝、【ボルケーノ】と申します」


なるほど。いかにも炎属性っぽい国名だ。

そう思っていると王は続ける。


「して、勇者様、お名前は」

「僕は……、【ユースケ】といいます」


僕は、ちょっと考えて、本名を答えた。


「【ユースケ】様ですか。勇者様らしいお名前です。ところで、我が国は、隣国の魔族の王に脅かされております。魔族は、我ら人間と比較すると、戦闘能力に優れておりまして、我が国は劣勢を強いられているところです。そこで、勇者様には魔族の王たる魔王を倒していただきたいのです」


僕に魔王を倒すなんてできるのか、この負け犬の僕に。


「いや、でも僕なんかに魔王を倒せるとは……」


【ボルケーノ】は、僕の言葉をさえぎって続ける。


「いえいえ、召喚された勇者様は特別な力をさずかっているはずです」

「おい、鑑定紙を用意しろ」


そういうと、【ボルケーノ】は、魔術師に1枚の紙を用意させた。

そして、魔術師が念じると、紙が一瞬輝き、文字が写し出された。

【ボルケーノ】が紙を手に取り僕に話しかける。


「この紙は、鑑定紙と言いまして、人の強さを数値化したものを視ることができる神の道具です」

「この世界の平均男性の能力値はおよそ5が平均値です」

「勇者様は天啓により、その能力値がレベル1で20を超えることも珍しくありません」


そういうと、【ボルケーノ】は、僕の鑑定紙を覗き込んだ。


「な、何だ、これは」


【ボルケーノ】が驚愕の声を上げる。


鑑定紙にはこのように記述されていた。

ユースケ

性別:男

職業:被虐者

レベル 1

腕力 1

体力 1

速度 1

魔力 1

精神 1

魅力 1

スキル:なし


「おい、どうなっている!」


【ボルケーノ】は、魔術師に対して、声を荒げた。


「ハッ、これはまれにみる不良品かと……」


え?不良品?

僕は、勇者としての力を授かり、無双し、ハーレムを作ることができるんじゃ……

そう考えていると、【ボルケーノ】は、周りの兵士に命じた。


「この不良品を牢に入れよ!次の召喚術の際の生贄にはなるだろう」


「「「ハッ」」」


兵士たちは勢いよく返事をすると、僕を棍棒で叩き始めた。


「この不良品め!」

「ゴミがっ!」

「くたばれっ!」

「鑑定紙の無駄遣いさせやがって!」


罵倒されつつ数十発の殴打を受けた僕は、その場に倒れた。

兵士たちは、倒れた僕のケツの穴に棍棒を突っ込んだ。


「ヒィィィー!」


僕は情けない叫び声をあげるしかなかった。

そして、汚い地下牢に閉じ込められた。


「クッソー、僕は異世界でも被虐者でしかないのか……」


「うるせえぞ、黙ってろ!」


看守の男は、鉄格子の隙間から、棒で僕を殴った。

僕は、わめいても暴力を受けるだけなので、牢に横になり、寝ることにした。


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