"約束"
初投稿です。
拙い文書ですが読んでいただけると嬉しいです。
生まれた時から親に疎まれ、蔑まれ、毎日が地獄だった俺に生きる希望を与えてくれた少女がいた。
その少女と交わした約束。
「じゃあ、約束ね」
「あぁ、約束だ。俺が絶対にお前を守るよ」
その約束から13年。
「さぁて、次はいよいよ大本命!!ガーディアンズ養成学校をトップで卒業した期待の超新星!!南雲晴斗です!!!では希望される方はボタンを押してください!!!」
会場中央にある巨大なモニターに希望者の名前、住んでいる場所、報奨金が表示されていく。
「おぉっと、これはぁ!会場にいる全ての方が希望しています!南雲くん焦らずにゆっくりかんが」
「ここで」
2032年、特殊能力を持った者たちが政治家や資産家などの権力者を襲う事件が多発していた。これを見かねた政府は対能力者のための能力者組織を創設した彼らは『ガーディアンズ』と呼ばれ日々クライアントの警護に当たっている。
「さてと、配属先も決まったし帰るか」
そう呟き会場を出ようとすると出口のところで一人の男に呼び止められた。
「よっ、晴斗」
「・・・大和さん!?お久しぶりです!」
5歳の頃親に捨てられて死にかけていた俺を拾い育て特殊能力の使い方を教えてくれた。ガーディアンズ養成学校に入学して以来実に3年ぶりに再会した恩人は短髪にオールバックと相変わらずの様子だ。
「弟子の晴れ舞台と聞いてな、駆けつけた」
「わざわざありがとうございます」
「それにしても、あれだけ希望者がいたのに即決だったな」
「あぁ、それはずっと前から決めてたんで」
「如月家か、あそこは大変だぞ」
「そもそもガーディアンズの仕事で楽なところなんてないでしょ」
「ははっ、違いないな」
「それより大和さん」
「ん?」
「配属先決める時のあのシステム、オークションにかけられてるみたいで嫌なんですけど、ガーディアンズ長官としてどうにかならなかったんですか?」
「俺も嫌なのは同感なんだがな、政治家や資産家には"ああいうの"が好きな奴が多いんだ。ガーディアンズを性能のいい警護マシーンくらいにしか思ってない心無い奴も少なくないしな......」
大和さんも長官として色々大変なんだな・・・
「っと、呼び止めて悪かったなお前は明日から仕事だったな今日はもう帰って準備しとけ」
「わかりました、じゃあ失礼します」
大和さんと別れ本部から出ると外はすっかり暗くなっていた。いよいよ明日からガーディアンズとしての仕事が始まる。
「ようやく約束を果たしに行くぞ、雫」