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セギ=シドウの憂鬱

僕の名前はセギ=シドウ。かつて異世界に召喚されたという勇者になるはずだった父と異世界で魔王と呼ばれた母との子である。どういう理由があったかはあの両親から話されてないから知らないが、一番上の姉が産まれる前に父の世界と母の世界が統合されたらしい。丁度30年前の話で、一番上の姉は30歳という事になる。


年齢詐称というくらい若々しく年齢を言おうものなら殺されるが、ちなみに家族構成は姉二人に兄一人と父母と僕の6人家族だ。父母は5年前から何十回目かの新婚旅行に向かっている。母はこちらの世界での戸籍がないため、かつて神であったというシンじいちゃんの娘ということになっている。神であった頃の神格は親父に奪われてむしろ精霊のような存在になっているらしい。


僕としては産まれてからいるじいちゃんなので実際の祖父みたいな感じなんだけども、実際に優しいからなあ。かつてあの父を事故死させたとは思えない。統合された世界は父が地球時代に得た表の裏の人脈によって統治され首相官邸は人魔官邸と名を変える。


魔族の存在する世界と人だけしか存在しなかった世界への共存を目指して、30年の間に異世界同士の混血も増えて法整備も進んでいるが………。


「またか」


僕は父譲りの黒髪と母譲りの紅い瞳を向けるとたまたま目があった友人に声をかける。


「クレナイ、今暇?」


「帰宅部の俺にいう?」


紅い髪に最新式のヘッドフォンをつけた紅のブレザーを着た長身の快活そうな友人………クレナイに声をかける。


クレナイは火の魔人と人間のハーフで炎魔法の適性がある。ここ数年ではあるがこちらの人間の因子にも魔力があることが確認され魔法を使える人間が現れたのだ。


「多分、警察から賞金出てるミノタウロスだぜ?」


「僕達なら問題ないよ」


「じゃいつもの駅前のハンバーガーだな」


「倹約家だね」


そう、融和したことによりこちらの世界の空気の中に含まれる微量の魔力があちらの世界より現れた魔物に凶悪な凶暴性を有すようになり社会問題になっている。今の所目下研究中で原因はわかっていない。


「いたね」


「繁華街だね」


商店街の中で暴れまわる物語通りの牛男が見て取れる。僕はすぐさま片手で印を結びミノタウロスの動きを止める。


「いいね、無詠唱便利だ」


「クレナイだって出来るさ」


「そうだね、試してみようか」


クレナイはそういうと両手に焔を灯して撃ち放つ。


「威力弱くない、あれじゃ結界壊れるだけだよ」


僕がそういうと同時にミノタウロスが結界を破りこちらへ走ってくる。


「あーね、頼むわ」


「しょうがないな」


僕はそう言うと同時に漆黒の剣を呼び出すと同時に首を斬り落とす。


「勇者の剣便利だな」


「ほんとにね」


僕は呼び出した漆黒の剣を見ながらため息をつく。こういうのは固有武器というものらしく剣自体が命を持ち主人を決めるものらしく、僕はこの剣に選ばれた。本来ならば父が所有するはずだった無銘の勇者の剣。そう今現在僕は魔王と勇者が夫婦のこの時代に正統な勇者として選ばれたのだ。

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