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作者: 国崎棗

 秋が過ぎた。もうすぐ冬が来る。一年という月日がこれほどまでに短かいと感じたことはあっただろうか。

 左手には感触がまだ残っている。夢のようだった。今起きていることが現実でつい先ほどまでのことが夢。きっとそうだ。一年という間私は夢をみていたのだ。でなければ、

 この感触は名残などではなったはずだ

 「今日は雨の予定だったんですけどね」

 目の前にいる少女は独りでに語りだす。静かに優しく

諭すように私の面前で語る

 「お兄さんの心のお天気はどうなっていますか」

少女は妖艶な笑みを浮かべる。少女は知っている。知っている上で私に問う。なんて残酷でなんて意味のあることなのだろう

 「お兄さんはこの季節が好き?」

 「どうだろう…きみはどうなんだい」

 質問を質問で返す。きっと少女があの人と同じなら答えはきっと私の思ってるものだろう。少女はまた笑う。

今度は寂しそうにだ。その笑みが答えと言わんばかりに

 「お兄さん、冬が来たら次は春なの」

 「…そうだな」

 私の言葉に満足した少女は優しい笑みを浮かべ

消え去った。まるで元々いなかったかのように

 私は深呼吸を一つ入れた。左手の感触は消えている。

おそらくは少女が一緒に持っていってしまったのであろう。まったく、いつも大事なものを勝手に持っていく。

 「盆くらいは会いに行きますよ」

 雪が止み、少しだけ雲が開けたような気がした

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