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神様はマジでいるっぽい

 さて、ここは駅前にあるカフェだ。


 まあなぜここにいるのかといえば、現実が充実している人間ことリア充である俺は、超絶美少女をはべらせ、放課後のカカシ先生もびっくりなイチャイチャパラダイスを繰り広げているところだ。


 嘘である。


 そんなパラダイスがあるならいざなってほしい。

 眼前に広がる風景といえば、ただの美少女が少し恥じらいながら、あざとささえ感じるような上目使いでただ俺を見つめているだけだ。


 ん?パラダイスですやん。


 ただ問題がある。それはこの美少女が頭パッパラパーな美少女という点だ。

 なぜかと言えば、自分のことを神様だという。かなりパッパラパーだ。


「わあああ!ここがカフェっていうところなのですね 天界にはないので一度訪れてみたかったのです!」


「気に入ってもらえて幸いです で、さっき言っていたことをしっかり説明してもらえないですかね まだ俺状況を理解できてないんすよ」


「失礼しました!えーっと私は神なんですよ!」


「ええ、さっき聞きましたよ そんなことはどうでもいいんですよ そのあといってたことですよ 聞きたいのは」


「音無君絶対信じてないですよね まあいいです とりあえず信じてもらわないと話が進みませんので、人間に出来ないことをお見せします じゃあこのコーヒーカップ浮かせますね」


 するとカップはひとりでに宙に浮き始めた。

 すげえ。これどんなトリックなんだろう。特に糸とか見当たらないしな。


「すごいっすね!マジシャン目指してるんですか?」


「ちょっと!違いますよ!正真正銘神の力です!」


 さすがに俺も吹き出す。どんなトリック使ったのか知らないけどもマジシャンと同じようなことをして、自慢げに胸をはる姿はひどく滑稽だった。

 なんだか興醒めだな。こんな美少女に声をかけられたものだから少し舞い上がっていたのだろう。少し残念な気もするが、付き合いきれん。帰ろう。

 

 青春におかしなことはつきものだ と俺の大好きなアニメは言っていた。

 きっとこの娘が階段から落ちてきて、キャッチしたところから物語が始まっていれば違っていたのだろう。


 彼女の後ろの窓を見ると、やはりまだ曇り空だ。また少し気分が下がる。


「すいません 俺には手伝えそうにありません かえりますねー」

 そう言って、荷物をまとめはじめると少し拗ねた小さな声音が聞こえた。


「私 本当に神ですもん」



 かわいいいいいいいいいいいいいいいい!

 いかん、惑わされるところだった。


「音無君はどうしたら信じてくださいますか?」


「えーじゃあこの曇り空を一瞬で快晴にしてくださいよ もう嫌なんですよねーこの天気」


「え?そんなことでいいんですか?わかりました!」


 そういうと彼女はそっと目を閉じた。するとみるみるうちに空が晴れていく。

 雲の合間からは太陽の光が漏れ始め、彼女の背中を照らし始める。

 その姿はさながら、後光が差す神みたいだ。


「ははっ 神様 本当にいたんだな」


 気がつくと、乾いた笑いをこぼしながらそんな小言を言っていた。

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