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400 戦いが終わって再会したら……

またも遅くなりました。

すみません。

 結局、緑のスナイパー集団は月影が止めを刺す形となった。

 ノエルが全機のビームランチャーを切り捨てた時点で攻撃的な姿勢が一転。

 クモの子を散らすように逃走を始めた。

 俺たちも搭乗機を変形させて人型で対応ですよ。


 大人と子供の鬼ごっこ状態。

 小回りは向こうの方がきくが、こっちは腕を飛ばせるからな。

 おまけにビームサーベルにもなる。

 今回は使わなかったけどね。


 人型になったのは腕を飛ばして緑色たちの逃走を妨害するためである。

 ほぼ向こうと同じサイズの月狼の友の機体と連係することで追い込んでいく。

 金ピカの小隊の方へ向けてね。

 小隊側でも実弾が効果のないことを悟っていたので格闘武器に持ち替えていた。


 金ピカが腰部背面にセットしていたビームサーベル。

 3倍の代名詞となった機体は斧。

 脚の太い奴は棒のようにも見える剣。

 デカいシールドを背負ったのは蛮刀っぽいビームを両サイドから出してる武器。


 これらを手に緑の集団に挑んだのだが苦戦してしまった。

 剣技で圧倒しても攻撃が通用しないんじゃ形勢は不利になるよな。

 なにしろ切られてもお構いなしで攻撃してくるんだから。

 アンデッドなんだから当然か。


 小隊サイドはビームや熱を用いる武器を使っていたけど通用しない。

 高位のゴースト相手じゃ光属性を付与させないとな。

 生憎とそれはできそうになかったので月影に止めを刺させた。


 一応は小隊と鍔迫り合いになっている時に背後からバッサリである。

 卑怯だって?

 アンデッド相手に正々堂々なんてものはない。

 闇討ちだろうが悪即斬である。


 緑の奴らを消滅させた後は早々に機体はお蔵入りならぬ倉庫入りである。

 下手に動いて敵にしたくない相手と一触即発なんて最悪だからな。

 もちろん搭乗者を倉庫に入れるつもりはないので転送魔法で集合だ。

 対象は機体に乗り込んで戦った俺たちだけでなく留守番状態だった皆もである。


 同時に手近な公園施設へと集合だ。

 移動は一瞬。

 だけど予告なしでやってるから誰も彼もが驚いているね。

 最初から平然としているのは俺の守護者である3人くらいのものだろうか。

 個人差があるので人生経験豊富なガンフォールなんかだと一瞬ギョッとする程度だが。

 慣れもあるとは思う。

 そういう割には慣れない者もいるようで……


「ちょっとぉ、脅かさないでよっ」


 真っ先に吠えたのはレイナだった。


「せや、尻尾の先まできゅうっとなったやんか」


 本気では怒っていないもののアニスにブリブリ文句を言われてしまった。

 そんなこと言われても尻尾なんてないから分からん。

 やはり真っ先に文句を言うのは、この両名だな。

 少し心配になったのでノエルの方を見てみたが特に不機嫌という訳でもなさそうだ。


「ノエルはどうなんだ?」


 念のため確認しておく。


「なんとなく、こうなる気がした」


 予測済みたったようだ。


「皆はどうだ?」


 ノエルにだけ聞く訳にもいかないよな。


「「驚きましたー」」


「ホントですー」


 双子ちゃんたちにダニエラも抗議はしてくるが苦笑いしている。


「いや、スマンスマン」


 軽い調子で謝ったら過剰反応してくるコンビがいた。


「「ゴルアッ!」」


 レイナとアニスである。

 掴みかからんばかりの勢いで突っ込んできた。

 寸前で止まりはしたけど両名とも目がつり上がっている。


「なんだよ、騒々しいな」


「うちらには謝らんのかい」


「そうよ、そうよ」


 口を尖らせて抗議してくる。

 面倒くさいなぁ。


「全員に謝ったんだが?」


「「ぐぬぬ」」


 たった一言で歯噛みするか?

 スキンシップが足りてないのかね。

 とりあえず頭ナデナデしておく。


「こんなので誤魔化されないわよっ」


「せやせや」


 そんなことを言いながら顔が赤い。

 初心で可愛いな。


「足りないと言うならチューするか?」


「「なっ!?」」


 シンクロして動揺するか。

 相変わらず仲がいいな。


「それともハグか、あるいは両方か」


 畳み掛けるまでよ。


「「ななななななんなぁ─────っ!?」」


 2人して真っ赤な顔をしている。

 頭上に湯気が見えそうだ。


「とりあえず帰ってからな。

 2人とも御苦労様」


 もう一なでしてから皆へと視線を巡らす。


「みんなも御苦労……様?」


 何故かうちの妻と婚約者が2列で並んでいる。

 先頭にいるのはノエルとダニエラだ。

 両者共に満面の笑みである。

 そして後ろに行けば行くほど徐々に悔しげな表情になっていく。

 それを見て気が付いた。

 レイナやアニスのように、なでられたかったのだと。


「あー、ここではやらんぞ」


 並んでいた者たちは、それだけで落胆した表情を見せる。

 並ばなかった者たちが苦笑していた。


「そんなに、なでられたいの?」


 並んでいた全員にコクコクと頷かれる。


「チューもしたい?」


 更にコクコク。

 少し早めだ。


「ハグも?」


 大きく頷かれた。

 今度はゆっくり。


「帰ってからな」


 そう言うと、並んでいた者たちの空気が一変した。

 やらんと言った瞬間に消沈していたそれが急浮上である。

 現金なものである。



 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 我々が色々している間に向こうが動き始めていた。

 金ピカの機体だけ俺たちの方へゆっくりと歩いてくる。

 他はコロニーの端の方へ向かって移動を始めた。


「主よ、いちばん派手なのが来るようじゃぞ」


 シヅカが楽しそうだ。


「仮面の大佐じゃなくて大尉を選んだのか」


「なんじゃ?」


 不思議そうに首を捻るシヅカに思わず苦笑が漏れた。


「動画を見ればわかるさ」


「そういうものか」


「ああ」


 どうでもいいやり取りの間にすぐ側まで来た金ピカが歩みを止める。

 機体はすぐにしゃがんでいく。


「外部スピーカーじゃなくて直接喋るつもりのようね」


 マイカが楽しげに語る。


「たった1人で大した度胸ね」


 何か勘違いしてらっしゃるね。


「ここは彼の夢の世界だぞ。

 俺たち以外の人間は彼しかいない」


「え? そうなの?」


 意外だと目を丸くして俺の方を見てくるマイカ。


「複数の人間がいても、すべて彼が操っているんだが?」


「あー、そっか」


 一応は納得したようだ。

 その間にしゃがんだ機体のコクピットハッチを開いて赤い人が降りてくる。

 機体の掌に飛び移って、そこから地上へとジャンプして着地。


「うわー、やること派手ねえ」


 マイカさんは棒読み台詞である。

 聞こえるだろ。

 向こうは反応しなかったけど。


「赤い人のコスプレ?」


 ミズキが首を傾げている。


「綺麗な金髪してるけど、アレ?」


「地毛だな。

 染めてる訳でもなさそうだ」


「だよねぇ。

 どうなってるのかな?」


 少し混乱しているようだ。

 相手が日本人だと思っていたらマジものの外人さんが来ましたってところかな。

 大尉な人のコスプレをした男が目の前に来た。

 ちなみにサングラスはしていない。


「やあ、誰かと思ったら飛賀くんじゃないか」


 第一声がそれかよ。

 何となく予感めいたものがあったので俺はさして驚かなかったけど。

 周りは、特にミズキとマイカは吹き出すほど驚いていた。

 思わず両サイドを見てしまう。

 これじゃあ別人ですと言っても無駄だな。


「ずいぶん見た目が変わったから驚いたよ」


「赤い人の物真似はしなくていいぞ、純田くん」


 俺が指摘すると目を丸くしていた。

 どうやら夢の中という自覚はあるようだ。


「久しぶりだね」


「ああ、久しぶり」


 互いに握手を交わす。

 向こうは確信しているようなので誤魔化さないことにした。

 必要ならエリーゼ様が記憶の処理をするだろう。


「君はずいぶん変わったな」


「鏡を見ろ。

 お互い様だ」


 そこで互いに「ハッハッハ」と笑う。

 この様子だと多少なりと事情は把握しているようだ。


「どこまで事情を聞いているのかな?」


「妙なものに取り憑かれたせいで事故に遭ったというところからだね」


『前半部分に聞き覚えがないんですがね』


 夢の中にいる間はつなぎっぱなしにしてある脳内スマホの電話で指摘する。


『ドキッ』


 口でそんなこと言うか、普通。

 らしいっちゃ、らしいけどさ。


「『どういうことか説明してもらえるんでしょうね、エリーゼ様』」


 あえて口頭と脳内スマホの両方で問うた。

 うちの子たちは脳内スマホが使えないからな。


読んでくれてありがとう。

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