表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
296/1785

290 さっそく仕事とはいかない

修正しました。

なので → 故に


 ゲールウエザー組がなんで驚くのかさっぱりだ。

 ただの付随情報だぞ。

 近隣の村の代表者が来ているのがそんなにおかしいのか?

 俺が困惑していると、総長が話し掛けてきた。


「ヒガ陛下」


「なにかな、総長?」


「陛下のお話から察するに──」


 そんな語り出しをするってことは何かあるんだね。

 嫌な予感って程じゃないけどさ。


「街の神殿に神託が下されたとは考えにくいのですが」


 いかがでしょうかと目で問われた。

 そんなに聞きづらいことなのだろうか。

 総長の表情は穏やかなものではあるものの真剣さが感じられるし。


「神託というかお告げは下されたみたいだな」


 こうやってぼかして言うのは俺の天の声が不完全なものをアピールするためですよ。

 言っておくけど、神託とお告げは似て非なるものだからね。

 神様のお告げが神託なのは言うまでもないけど。

 お告げの場合は相手が神様とは限らないからね。

 御先祖様とか仙人とかね。

 勝手に相手が神様と思い込んじゃう人も多いとは思うけどね。

 ゲールウエザー組も誤解している口みたいだ。


「「「「「おお───っ」」」」」


 ただ、思った以上にゲールウエザー組の反応が過剰である。

 どういうこと?

 動揺はあまり見られないけど、どよめきは綺麗にハモっていたし。

 そこまで驚かれるようなことじゃないと思うんだが。

 神託と誤解しているにしても大袈裟だ。

 俺なんて割と頻繁にルディア様とメールをやり取りしているんですが?

 まあ、業務連絡みたいな報告をして返信を貰うだけとも言うけどね。

 返信の内容によっては神託みたいになることもあるから変ではないと思う。

 故に慣れた身としては「えっ、何この反応!?」と言いたいところである。

 ……俺がおかしいのだろうか。

 彼らが神と崇める存在と気軽に連絡を取る時点で普通じゃないとか。

 よくよく考えてみれば、そんな気もするなぁ。

 感覚が麻痺してる?

 あんまり自覚がないんだけど。

 となると追加情報は些かマズいような気がするんですがね。

 でも、言っとかないと余計に混乱するだろうね、これは。


「街や近隣の人たちにお告げが出されているみたいなんだが」


「「「「「え───────────っ!」」」」」


 ついさっきの驚きなど比較にならない驚愕ぶりですよ。

 おや、総長も顔色が少しよろしくないね。

 さすがに笑みは消えていて引きつった表情になっているし。

 多分どこかの亜神様はこの状況を見て笑い転げているんだろうなぁ。

 故に俺はポーカーフェイスを貫いている。

 心も揺らさない。

 ここで動揺したり腹を立てても向こうの思う壺だしな。


「でなきゃ村々から代表が出てきたりはしないんじゃないか」


 近隣とは言っても1日では来られない村の者もいるだろう。

 そう考えると、どのタイミングでお告げがあったのかという話にもなってくる。

 最初からここまでを織り込み済みだったと言われても驚きはしない。

 ムカつきは倍増するけどな。

 もちろんルディア様に報告してお仕置き倍増決定である。

 それはさておき、俺の言葉に総長は困惑気味である。


「それはそうですが……」


 そう答えるのがやっとのようだ。

 お陰で常識が大いにズレているのが理解できましたよ。

 そこまで読んでやがったな、あのすちゃらか亜神め。


 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 ただいま絶賛、土下座中。

 俺じゃないよ。

 ラソル様でもない。

 捕まるようなヘマする訳ないじゃん。

 目の前の光景がね、そんな感じなんだよ。

 最初はちゃんと立っていたさ。

 数十人からの人間が整列状態からこうなったのは俺のせいである。

 いや、大本は何処かの亜神様なんですけどね。

 お告げによる仕込みがなけりゃこんなことにはならなかったんだし。

 最低でもこれだけの人間に神託を下すとか、どういうこと?

 なんか雰囲気的に街の人間はみんな知っているっぽいんですがね。

 一度、O・HA・NA・SIした方がいいんじゃないかと思う今日この頃なんですよ。

 まったく質の悪いお告げをしてくれたもんだ。

 用意周到と言うべきなんだろうか。

 どれだけの相手にどれだけの情報をばらまいたのかが気になる。

 賢者ですって紹介された途端にこれだからな。

 それこそ「何があった!?」って思うかもだけど、本当に紹介されただけなんだぜ。

 輸送機で街に近づけば普通なら大騒ぎになるはずだよな。

 そういう混乱じみたことは全くと言っていいほど無かったし。

 で、街の外でこれだけの人数の人が整列して待ち構えていたんだ。

 輸送機のことは呆気に取られた表情で見ていたけどね。

 これでも威圧しないよう速度と高度を落としながら飛ばしてたんだよ。

 さすがに平静ではいられなかったのだろうと思っていたら些か違ったようで。

 着陸前に熟練度をカンストさせた特級スキルの【遠聴】をフル活用してみたんだ。

 何か様子がおかしかったからさ。

 気になるだろ?


「本当だ」


 誰が言ったか、その台詞。

 思わず「何が本当なんだ?」って聞きたくなったじゃないか。

 その場にいないんじゃツッコミは入れられないけどな。

 我慢しないと独り言を大きな声で言うような変な人として認定されかねない。

 哀れみに満ちた目を向けられてしまうのは御免被る。

 それ故、次に誰かが話し始めるのを待った。


「神託は本物だった」


 どうやら輸送機が飛んでいるのは気にならないようで。

 スキルを意識しつつ耳をそばだててみても大きな物体が空を飛ぶことに驚く様子がない。

 多少の驚きはあると思うよ。

 けど、パニックに繋がりかねないような感じではないんだよな。

 どんだけ念入りにお告げを出したんだろうね。

 まさかと思うけど映像付き?

 いやいや、それはさすがにないだろう。

 ないと思うんだが……

 とはいえ相手はラソル様だからなぁ。

 何しでかすか分からんし、ないとは言えない。

 知りたいけど知りたくないわ。


「太陽神様のお告げは夢じゃなかったんだ」


「空飛ぶ魔道具が……」


「夢に見た通りだ」


 あ、これは映像付きですわ。

 何やってんだよ、ダメ亜神。


「おお、神よ!」


「太陽神さまっ」


「我らに祝福を」


 地味に信仰心を高める結果になってるし。

 一石二鳥のイタズラかよ。

 街の人間たちが憐れになってくる。

 君たちは騙されているんだぞ。

 信じられないかもしれないが君らが神託と思い込んでいるのはイタズラの一環なんだ。

 そんなので畏敬の念を抱いたとか黒歴史でしかない。

 まったく、あのダメ亜神の本性を少しでもいいから見せてやりたいよ。

 そうなれば信仰心が急降下していくのは明らかだからな。

 教えてみたい誘惑にかられたさ……

 が、双子のルディア様の評判まで下げるのはあり得ない。

 それ故、誘惑に満ちた思いつきは却下された。

 ラソル様は俺に感謝してもいいと思う。

 しないと思うのでルディア様への報告は手心なんて加える訳がないけどな。

 そんなこんなで輸送機で接近していき、ゆっくりと着陸。

 街中の方に目を向けると高い建物の窓に大勢の人が群がっていた。

 落ちても知らんぞ、まったく。

 空飛ぶ魔道具なんて誰かが言うくらいだから、珍しいものだとは思うけどさ。

 で、街の外で待ち受けていた面々だけど固まってたよ。

 着陸して人が出てくるまでね。

 なんか涙を流している人も居たけどさ。

 神託が事実だったことで感動したってことかね。

 事実を知ったら、どう思うのだろうか。

 不憫で仕方がない。

 そんな中で真っ先に復帰したのは先頭にいた初老の男。

 役職付きかと思って拡張現実で表示させてみたら街の代官だった。

 後ろに控えているのは衛兵隊長や各ギルドのマスター、各々の補佐役とかのようだ。

 あとは近隣の村の名主や関係者って感じ。

 有り体に言えば偉い人達ってことか。

 国全体で見れば下っ端に近いけど。

 ほとんどが主任級ぐらいかな。

 街の代官で副課長とかそのくらいかと思われる。

 代官は伊達に年を食ってなくてクラウドやダニエルの顔を知ってたよ。

 その役職に就いているからこそだとは思うけど。

 お陰で固まった状態から復帰できたみたい。

 そりゃあ自分の国の国王陛下と宰相閣下を見てボーッとしている訳にはいかんよな。

 凄い勢いでお辞儀タイムに入ったからね。

 この段階では土下座じゃなくてお辞儀だったのだよ。

 最敬礼って奴かな。

 これが王城の謁見の間とかだと片膝をついてとかになるらしい。

 調べるのが面倒なので適当だ。

 うちじゃ、そんなの採用していないし。

 ドワーフの王国でもうちと似たようなものみたい。

 どうしてヒューマンってのは堅苦しいのを好むのかねぇ。

 面倒くさいのに。

 そんな訳で何か堅苦しいこと言い始めた代官はスルーした。

 俺に向けられた言葉じゃないし気にすることないよな。

 やり取りが終わるまでは周囲の状況を確認することにしたよ。

 街周辺の土の状態や街中の水資源の探索を魔法で行う。

 とりあえずなので範囲は狭めにしておいた。

 ふむ、空気や土の状態が乾燥気味だ。

 地下水脈を早急に確保できるようにしたいところである。

 流れているのは足裏から魔法をソナーのように放って確認した。

 やはり深めだ。

 普通のポンプじゃなくて深井戸用が必要になるな。

 それは良いのだが問題もある。

 面倒なことに固い岩盤の下を通っているんだよな。

 魔導師団の面子じゃ時間かかるわ。

 なるたけ岩盤の薄い所を探して少ない労力で穴を掘れるようにしないとな。

 俺がいくつかは手本を示すから、その時は岩盤の厚みを気にしなくていいだろうけど。

 事前にコツぐらいは教えておかんと無駄に時間を費やすことになりそうだ。

 それとも岩盤に穴を開ける魔道具でも用意しておくか?

 保険のひとつと思ってそうすべきかもな。

 売るんじゃなくて貸すってことにしておかないと価格で尻込みされそうな気がするが。

 ああ、レンタル料も考えないといけないなぁ。

 そんなことを考えていたらダニエルに紹介された。

 ミズホ国の王であるということは伏せられてだけどね。

 代わりに賢者にして予言者とか言われてしまった。

 賢者はともかく予言者は勘弁してくれ。

 予言者だなんて厨二病患者っぽくて顔から火が出そうだ。

 俺が表情を変えずに内心だけで悶えていると、代官たちがフリーズしていた。

 いや、フリーズしていたのは数秒か。

 血の気が引いた顔色になったかと思うとジャンピング土下座。

 何事かと思ったよ。


「神託の賢者様とはつゆ知らず大変失礼しましたっ!」


 言い終わる頃には全員が綺麗に土下座してたよ。

 王族相手にお辞儀だったのに土下座にバージョンアップとか新手の嫌がらせか?


「ちょっ!?」


 あまりに唐突で、それしか言えんかった。

 なんで俺に土下座するんだよとツッコミ入れたかったんだけどね。

 いや、原因は代官が語ってくれてはいるけどさ。

 神託の賢者って……

 どこまで出鱈目を吹聴してるんだが、あのダメ亜神。

 これって確実にルディア様へのお仕置き依頼案件だよな。

 とにかく土下座が必死すぎてドン引きですよ。

 気のせいか既視感に囚われてるんだけど。

 妖精組と出会った時と状態が似ているからかね。

 場所が目的地の街のすぐ外だったり、相手がヒューマンだったりと違いは多々あるんだけど。

 そのせいかダブっては見えないんだな。

 それより何とかしてくれと言いたい。

 全自動土下座マシーンと化した代官以下の待機組。

 彼らは俺が立ってくれと言っても動いてくれないし。

 返事もないから質が悪い。

 手荒な真似をする訳にもいかないしなぁ。

 直接的な暴力はもちろん却下だ。

 脅迫とか殺気を放つとかも禁止である。

 まるで妖精たちがルディア様を最初に見たような状態だ。

 どうしてこうなった。


読んでくれてありがとう。

手動更新はいまひとつな結果となったようです。

もう少し続けるつもりでしたが、次からいつも通り6時更新に戻します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記リンクをクリック(投票)していただけると嬉しいです。

(投票は1人1日1回まで有効)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ