表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
241/1785

235 レアキャラ登場?

改訂版です。

ブックマークと評価よろしくお願いします。


新作「切り札は俺にしか見えないっ!」も連載開始しました。

こちらも合わせてよろしくお願いします。


 右手の短剣で接近戦を挑んでくる出っ歯ネズミ。

 だが、それはフェイントで本命は猛毒を塗ったニードルだ。

 俺がクズ剣士共を相手している間に観察を重ね俺が必ず回避してから反撃していたことに気付いて思いついた作戦なんだろう。


 普通に考えればこのタイミングで動くのは遅すぎるのだが、逆に無謀な特攻と思わせられる。

 見せかけの攻撃で死角を作り最後の最後に本命でっていうのが奴のシナリオなんだろう。

 油断を誘い懐に潜り込めれば勝ちだと思ってそうだが事前に看破されていては意味がない。

 筋書きは悪くないものの破れかぶれって感じがしないのが致命的である。

 コイツが役者になっても端役すらもらえないぞ。


「死ねっ!」


 短剣で俺の左肩を突いてきた。

 己の左懐へ誘導しようとしているのが見え見えだ。

 俺がそちらへ流れるようにかわせば左手のニードルを突き刺して終わりだと勝利を確信したのかニヤけた面をしている。

 大根役者め。

 まあ、仮にそれが成功しても俺に毒は効かないがね。


「芝居が足りないんだよ」


 だから後ろに引きながら奴の額に──


「返すぜ」


 奴が投てきしたニードルを突き立てた。


「っ!」


 解毒剤を飲んでいても頭に深々とニードルが刺されば関係ない。


「次からは武器が何処に飛んでいったのかくらい把握しておくんだな」


 死んだ相手に皮肉を言っても詮無きことだけど。

 ただ、こういう輩は死んでも往生際が悪い。

 俺の方へとまるで頭突きでもしてくるかのように倒れ込んでくる。


「こっちじゃなくて仲間のところへ行け」


 爪先で蹴り上げて浮かせてから壁に向かってシュート!

 壁でバウンドした出っ歯ネズミだったものは折り重なっている仲間の上に落ちた。


「終わりか」


 みっともない命乞いも断末魔の叫びもなかった。

 被害者たちからすると納得のいく結末ではなかったかもしれない。

 もっと大勢の前で公開処刑すべきだったかと思うも今更である。

 何が正解かはわからない。


 そんな感じで悶々と自問自答していると目の前に影が差した。

 少し間合いを取ったところで立ち止まったのは褐色の肌に灰色の髪を腰まで伸ばした女だ。


「ん?」


 違和感を感じて確認してみたら上級スキル【偽装】の持ち主だった。

 一般スキル【変装】の上位互換である上に熟練度はMAX。

 【天眼】スキルがある俺には最初から元の姿で見えていたんだけど、性別はもちろん種族まで誤魔化していた。

 肌や髪の色はそのままだが細マッチョなフツメンのヒューマンに見せかけている。

 結果として戦闘奴隷にされ右腕を失うことになり別の結末を迎えなかった訳だが。


 どうやら、残った戦闘奴隷たちの代表者のようで意志の強さを感じさせる目をしている。

 全体的なイメージは漁師っぽいと思えるのは肌の色のせいだろうか。

 スレンダーな感じなのに出るところは出ている、とかは些細なことだ。

 いや、嫌いじゃないけどね。


 そんなことより彼女の耳がとんがりお耳さんなのですよ!

 しかも褐色のおねいさんです。

 異世界ものの小説とかアニメでも出現率がレアな、あの種族でんがな。


 ダークエルフちゃんキタ────────────────────────ッ!!


 失礼。25才の大人の女性に向かってちゃんづけはアウトだよな。

 顔には出さない心の中だけの叫びなので勘弁してほしい。


 え? なんで年齢を知ってるかって?

 思わず鑑定しちゃった、テヘッ。

 レアキャラとの遭遇で舞い上がっちゃった結果、内心はしゃいでしまいました。

 言うなれば宝くじで1等が当たったような気分かな。


 レア度ならハイエルフの方が上だろうという意見もあるだろうけれど俺の中ではダークエルフの方がレアリティが上なのだよ。

 でなきゃノエルを見た時に同じ状態になってるって。

 桃髪ツインテさんに勝る可愛い天使などいない!

 ……ダメ人間でスマン。


 なんにせよ、異世界に来て本当に良かった。

 好きな声優のサインをじかに貰ったときより嬉しい。

 ちなみにラジオの公開収録にゲストで来ていたオッサンだけどな。


 いいだろ。格好いい役が多いのに面白いんだからさ。

 自分のラジオ番組でしっかり俺のことネタにされましたよ?

 別番組の公開収録でゲスト出演したら帰りにサイン強請られましたってね。

 相手がオッサンだったのでホモかと思って確かめるために飲みに誘ったみたいに話してたさ。


 聞いてて盛大に吹いたわ。

 そんなこと考えてたのかってな。

 もう一人のパーソナリティである若い女性声優が食い気味で聞くから話を盛る盛る。

 誰もいない家でツッコミ入れまくってた。

 オチは意気投合しただけでしたーだったけどな。


 放送後にゴメンねメールが来なかったら抗議メールを送っているところだったさ。

 ネタを聞くだけなら面白いんだけど自分がネタにされると心臓に悪いことを思い知った一件であった。

 それから数少ない男の友人としてメールで色々とやり取りする仲になったが、どうしてるかな。


 昔馴染みの2人のように根性で運命に抗って俺の記憶を残しているなんてことはないだろうけど、ちょっと気になった。

 バカなことを言い合える友達だったからね。

 もう会えないのは残念だ。


 無い物ねだりをしても仕方ないので現実に戻ろう。

 見ちゃったものは仕方ないので、まずは情報公開だ。

 【多重思考】スキルで思考を超加速させて確認していく。


[レオーネ・ソレイユ/人間種・海エルフ/奴隷/女/25才/レベル38(58)]


 なんか獅子を想起させる勇ましそうな名前だな。

 凜とした彼女のイメージにピッタリなので良い名前だと思う。


 で、種族名なんだがダークエルフではなく海エルフ。

 妙にこだわるなと思って【諸法の理】スキルで調べてみたらダークエルフというのは蔑称になるそうだ。

 海辺で住むことを好む褐色の肌をしたエルフの亜種ってだけで邪悪でもなんでもないんだから当然か。

 言っちゃダメってのがお約束というなら気を付けねばなるまい。


 解説には惑星レーヌでは極めて珍しい海で漁をする人間種とあるから漁師を連想したのも的外れではなかったようだ。

 ただ、漁をしているなら噂くらいは聞こえてきそうなものだが、そういう話は耳にした覚えがない。

 リーシャたちなんて最初は海の話をするだけでビビってたくらいだしな。


 そう思って更に調べてみると大森林の南端に小国規模で開けた領域があって、そこにほとんどの海エルフがいるようだ。

 目の前の彼女のように外界に出る者は滅多にないってさ。

 ゲールウエザー王国の南端からも近いが、交流はほぼないみたい。

 エルフ以上に閉鎖的なようだ。


 だとするとレオーネが外界に出たのはどんな理由なんだろうな。

 奴隷から解放すれば何かわかるかもしれない。


 あと気になるのはレベルだ。

 カッコの中の数値の方が大きいが、これは隻腕の影響だろう。

 本来は58レベルと出っ歯ネズミより高いものの右腕がない影響でレベルがマイナス20されている。


 これは彼女だけではなく残りの戦闘奴隷たちも同じで片腕か片足がない。

 奴隷になる時に首輪の強制力に耐えることを懸念したこの国の上層部の指示によって切り落とされたからだ。

 どんなにタフな人間であろうと欠損と首輪のコンボには抗えないらしい。

 言うことを聞かなければもう一本も切り落とすという脅しが加わればな。


 なんか浮かれていた自分に腹が立ってきた。


読んでくれてありがとう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記リンクをクリック(投票)していただけると嬉しいです。

(投票は1人1日1回まで有効)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ