表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/1785

182 つくってみた『輸送機』

改訂版です。

ブックマークと評価よろしくお願いします。

 気分は重い。

 説明は終わったものの今回は言わば前哨戦。

 本番はゲールウエザー王国のホームグラウンドである王都へ行ってからとなる。

 今回のようにスムーズにはいかないだろう。

 場合によっては説明すら受け付けてもらえないことだって無いとは言えない。

 それが上手くいっても果たして俺たちの説明が受け入れられるか、そして援助の申し出を受け入れてもらえるか。

 関門は多い。


 それをどうにかすべく考えた策がシノビマスターを利用したものとは何とも心許ないものである。

 策と言ってもシノビマスターにも予言の真似事をさせようってだけだからな。

 それが的中すれば賢者である俺の話も少しは聞くかもしれないなんて希望的観測もいいところだろ。

 せめて予言する内容で相手の心証を害しないようにしないとな。


 俺やガンフォールが王都に来て重要な発表をするというのはどうだろう。

 到着する日時まで正確ならちょっとしたショックだと思う。

 ただ、現状はアポなしだから王女と同行する必要があるため到着日時は指定しづらい。


 馬や馬車を乗せるトレーラーでも作るか。

 ただ、縦長の車両ではこのあたりの山道だと曲がれないカーブがいくつもある。

 空間魔法を仕込んで車体を曲げるなどすれば不可能ではないが、それをするとゲールウェザー王国へ乗り込んだ時にうるさいのを引き寄せかねないんだよな。

 空間魔法を教えろとかさ。


 車だけなら原理も仕組みも想像できないだろうから教えろ系は減らせると思うんだけど。

 あー、それはそれでクレクレが発生しそうだな。

 宰相補佐という前例もあるし、シノビマスターに脅しをかけさせるか。


 それならいっそ飛行機で一直線に飛んで目的地へ向かうのも悪くない。

 で、構想を練りながら倉庫内に必要になるであろう資材を用意していく。

 物作りタイムの始まりって訳だ。


 飛行場なんてないから垂直離着陸が必須となる。

 ヘリコプターは大きくなるとローターが場所を食うのが問題なんだよな。

 オーソドックスなのにしてもタンデムローターにしてもね。

 それにスピードも出せない。


 チルトロータにすれば解決するかもだけど積載量が落ちるしな。

 それに垂直上昇からの切り替えの制御が難しいんじゃなかったか?

 開発初期段階では酷いあだ名がつくほど事故が頻発したみたいだし。

 安定性を得にくいものはパスだな。


 そういやビームでローターを形成して飛ぶとかいう設定の人型に変形するメカが出てくるアニメがあったよな。

 せっかく魔法が使える世界なんだし重力魔法で浮かせるのも面白そうだ。

 推進する方法は別に用意する必要があるけど。


 それなら昔の人形劇に出てくる輸送コンテナを積み込むリフティングボディのジェット輸送機なんか参考にできそうだな。

 ジェットは騒音とか消費魔力の問題で真似しない方が良さそうだけど重力魔法で浮くなら関係ない。

 輸送物資の積み込みは輸送機などと同じように後部ハッチを使うことにしよう。

 胴体をまるごとコンテナにしてリフトするのはロマンはあるけど強度がないからね。

 あと何でもかんでも魔道具だよりじゃないところを見せておきたいのでハッチの開閉は手動で行えるようにしておく。

 まあ、基本は自動だけどね。


 サイズは向こうの王城の庭に降下できるくらいにすれば、王女たち一行の馬車と馬くらいは余裕で積み込める。

 ただ、大きくすると着陸した時に乗り込まれるリスクが増えてしまうんだよな。

 格納口に許可のない者を強制排出する結界を設置することで対処するか。


 さて、推進方法をどうするか。

 速度を上げても騒音が少ないものというのは難儀な注文だが重力魔法で揚力は補えるので制限は少ない。

 プロペラで飛ぶのだとしても羽根は小さくできるだろう。

 だとすればラジコン飛行機で使われているダクテッドファンとかいいかもしれない。

 あれは機体の内部をコンプレッサーとして吸入から加圧し排出してるから結構な出力があるんだよな。


 外部ユニットとして可動式のダクテッドファンを取り付けるのは面白そうだ。

 無尾翼でも方向転換できるので後部ハッチがシンプルな設計にできる。

 ただ、離着陸時にメインで使うと排出されるエアの勢いが半端なくてシャレにならんことになると思うから重力魔法は必須だ。

 急速上昇する際の補助や着陸時の減速用としてなら使えるだろう。


 これで外観の設計は目途がついたかな。

 続いて内部構造だが脳内シミュレーションしつつ軽量化や構造強化など地球の技術を転用する。

 でもって術式を組み込んで更に強化すれば速く飛ぶことと頑丈さを両立させられるって訳だ。


 閉鎖的な環境だから少しでもリラックスできるよう貨物と客室は分ける。

 いずれも高度を上げると内部は加圧しないといけないから術式を刻み込んで対応するか。

 差が出るのは居住性だな。

 客室と貨物室じゃ使用目的が違う訳だし。


 操縦席は別に出入り口を設定するか。

 通常は自動人形に操縦させて何かあった時は遠隔操作もできるようにしておく。

 コントローラーはうちの国民にしか反応しないようにしとけば万が一もないだろう。

 フライト系のゲームを思い出しながら設計したら携帯型のゲーム機と家庭用ゲーム機のコントローラーを融合させた形状になったが気にしてはいけない。


 全体像が出来上がったら模型サイズで試作機を作ってみる。

 形状はゆで卵を縦半分に切った感じだ。

 本体とは別に卵を細長く伸ばしたような外部ユニットが前後左右の6カ所に付けられている。

 これがダクテッドファンなんだが本体との組み合わせがデザイン的にしっくりこない。


 直線的なデザインになるよう変更してみたら少しはマシになった。

 まあ、デザイン面は改善の余地ありってことで保留にしておこうか。

 それよりも着陸用の脚がないのが問題だ。

 大きな機体を水平に着陸させられる広い場所が常に確保できるとは限らないからな。


 ということで膝関節を持つ脚を用意することに決定。

 光学迷彩も使えるようにするから気分はどこかの多脚歩行戦車だ。

 見た目は全然と言っていいほど似ていないが。

 機体にかかる負担を考えると8脚は必要だろう。

 本体に格納すると貨物スペースが圧迫されそうなので空気抵抗を軽減する術式を組み込んで外部ユニットにしてしまおう。


 とりあえずは、こんな感じかな。

 出来上がった試作の模型輸送機を軽く倉庫内で飛行させてみる。


 障害物を置いて検証していくが模型の段階だと問題は発生しない。

 平坦でない場所を用意して着陸させてみたが多脚システムが水平を保ってくれた。

 これを実用サイズにした場合の差異もシミュレートしてみたが大丈夫そうだ。


 問題があるとすれば客室か。

 内装は客の好みによって差が出るから万人を満足させられないだろうし。

 座席の配置は気を遣うよな。

 状況によっては傾いたりすることもあるからエアバッグパッドは必須だし。


 ああ、でも衝撃に備える姿勢はエアバッグパッドだと無理だ。

 どうしようかと考えて、ふと思いついた。

 客室は外部と空間的に切り離すのはどうだろうか?

 衝撃に備える必要がなくなるどころか急激な挙動すら感じなくなるから快適になるはずだ。


 ただ、窓を設置しても外が見られなくなるのは考え物だ。

 窓っぽく見せたモニターだと飛び方によっては乗り物に弱い人間なら酔いかねないだろうし。

 それなら大型モニターでパノラマ風にした方がまだマシか?

 いっそのこと壁面全体をモニター化するという手もあるけど高空を飛べば高所恐怖症でなくても恐怖体験になりそうだ。

 胸元から少し見上げるくらいまでの高さで止めておこう。


 ここまでやるとガンフォールにすら唖然とされそうだけど。

 まあ、成り行きに任せるか。


読んでくれてありがとう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記リンクをクリック(投票)していただけると嬉しいです。

(投票は1人1日1回まで有効)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ