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168 夜中に色々とつくってみた

改訂版です。

ブックマークと評価よろしくお願いします。

 怒りはあるが吐き出す場所がない。

 元凶は神の欠片の元になった元神だが消滅してるんじゃクレームだってつけられない。

 おまけに立つ鳥跡を濁さずとは正反対で迷惑な置き土産を残していってるし。

 エリーゼ様がそれを処理しろとメールで指示してきたけど、詳細情報がないのはシャレにならん。


「俺にどうしろと?」


 我慢できずに寝たままの姿勢でボソボソと呟いた。

 それでも聞かれる恐れがあるので風魔法で遮断はしたけど。


 とにかく動きようがないから向こうからの連絡待ちだ。

 こちらから問い合わせたってスルーされるのが目に見えてるからね。


 だからといって大人しく寝られるかと言われると厳しいものがある。

 ムカついてモヤモヤしているからな。

 何かしらストレス発散したいところだけど現状を考えると物作りくらいしか思いつかない。

 亜空間を利用すれば音も振動も伝わらないから眠っている皆の邪魔にはならないはず。


 まずは何を作るか決めるところから。

 ルーリアのために日本刀を作るつもりだったから最初はこれだな。

 一時は日本刀の本とかも色々集めてたくらいだしワクワクする。

 ついでだからノエルのも小太刀でお揃いにしておこう。


 さっそく試作に取り掛かるが単純に日本刀を模倣するだけじゃ物足りない。

 どうせなら凌駕しうるものを作ってみたいじゃないか。

 例えばねじり棒バネというものがある。

 見た目はただの棒にしか見えないが衝撃吸収効率の良い代物だ。

 この技術を刀に応用することも【万象の匠】スキルと錬成魔法を組み合わせれば可能となる。


 あーしてこーして……

 ほい、完成。


 刀身にウーツ鋼のような縞状の文様が現れているが、意図的に入れたものじゃない。

 粘り強さを出そうとした結果だ。

 試しにねじる工程を省いたものと比較してみるが強度が段違いだ。


 簡単にはポッキリ折れたりしないが衝撃を逃がす手は他にもある。

 それが反りだ。

 直剣の方がシンメトリーな美しさとかがあるのだろうが折れたり曲がったりしかねないからなぁ。

 だからミスリルやオリハルコンの剣が持てはやされるんだろうけど、そんなの持ってたら変なのが集ってきかねない。


 反りは必要最小限にとどめた。

 太刀のように柄元で強く反る腰反りだと衝撃の分散には最大の効果を発揮するが使い勝手は悪くなる。

 抜き打ちと言われるような抜き放ちざまに切り付けることは難しくなるからだ。

 居合い斬りや素早い抜刀ができないんじゃ即応性が落ちる。

 前衛向きなのは、いわゆる打刀と呼ばれる戦国時代に多く作られた刀だ。


 強度は充分あるとなれば攻撃力も高い。

 更に攻撃力を増そうとするなら刀身に魔力を込めるくらいしないとダメだろう。

 試しに魔力を込めてみた。


「──────っ!」


 あっぶね。思わず大きな声を出してしまうところだった。

 軽く魔力を込めたつもりが一気にぶわっと増幅されたせいだ。

 おまけに魔力の蓄積までしている。

 仕立てるのに魔法は使ったが魔法剣にした覚えはないというのにこれだ。

 もちろん魔石なんて材料には含まれていない。


「ん?」


 ふと思いついて魔石を亜空間倉庫内に用意して錬成魔法で捻りを加えてみた。

 それに魔力を込めてみれば蓄積効果が飛躍的に向上しましたよ?

 恐るべし捻り効果。


 とにかく試作した刀の出来が良すぎるのは予想外だった。

 ルーリアやノエルに持たせるなら盗難対策も必要になりそうだ。

 目をつけられないように認識阻害の術式を軽く刻んでおく。

 魔剣と間違えられても困るので効果は抑え気味だが何もしないよりマシだろう。


 更に仕上げの段階で柄に少し細工をした。

 自動人形の技術を応用して持ち主を選ぶようにしたのだ。

 奪おうとしなければ起動しないが、その意思を持って触れれば魔力をすべて吸い取られて失神することになる。

 ガンフォールが鑑定しても気付かれないようにしたつもりだ。


 ただし、鞘に収めれば折れていても修復する機能は付けた。

 魔力を込めないと発動しないので自動ではないけどね。

 扱うのはルーリアやノエルなので、そうそう必要になる機能ではない。

 達人の域に達している彼女らが日本刀を凌駕するこの刀を折ってしまうなどただ事ではないだろう。


 刀は日本刀に似て非なるものになってしまったのでミズホ刀と呼称することにした。

 魔法剣ではないはずなのに、亜空間倉庫の肥やしになっている魔法剣より性能がいいのはどうかと思うけど。

 それを支給している月影の他のメンバーに悪いもんな。


 しょうがないので追加で全員分のミズホ刀を作成した。

 両刃の片手剣ばかり使ってきたみたいだから使い辛いとか言われるかも知れないけどね。

 まあ、渡した上で使うかは本人の判断に任せるさ。


「ふう」


 刀を完成させたことで一息ついた。

 イライラは随分と収まりはしたものの、まだまだ消化不良である。

 かといって抜け出して飛び地の様子を見に行くのも考え物だ。

 国元もカーラやキースが皆を上手くまとめてくれているはずだし。


 連絡が取れないからなんとも言えないけど……

 これだけの距離が離れていると念話も魔力消費がシャレにならんし。

 俺じゃなくて相手がね。


 ならば次は通話の魔道具を作るか。

 距離しだいで魔力消費が膨大になる問題は中継局のようなものでリレーする形にすれば解決できるだろう。

 そして消費する魔力は魔石に負担させるようにすれば気軽に使えるようになる。

 そう考えると携帯電話そのものだな。


 試しにスマホに買い換える前に使っていたスライド式携帯のモックアップを作ってみた。

 ただし、材料は木なので文字通り模型にしか見えない。

 ここから通話できるものを作り上げていく。


 送受信の部分は念話の魔法の術式をそのまま流用したので楽々完了。

 問題は前例のない声と念話の変換部分だったが、これもどうということはなかった。

 自動人形に会話させるときに使う術式が使えたからだ。

 メール機能もこれの応用でサクッとできた。


 追加すべき機能はないので試作機はこれで完成だ。

 次は試運転させて様子を見る。

 倉庫内に自動人形たちを配置して使わせてみたのだが通信の不具合はないものの問題はきっちり発生した。


 想定したよりも魔力効率が悪かったのだ。

 細々した部分で術式が噛み合っていないみたいだけど、これを調整するのは時間がかかりそうだ。


 故に調整は今後のブラッシュアップで行うことにしてアプローチを変えることにした。

 普通の魔石ではなく、ねじりを加えた魔石を組み込んで不足分の魔力を補う。

 門外不出の技術を組み込むけど元から西方で売り出すためのものじゃないしなぁ。

 念のため許可のない者が魔石を取り出そうとすると自壊するようにしておく。


 何にせよ魔石を入れ替えるだけで終わるので、すぐに通話試験を再開させた。

 とりあえず近距離では実用的な使用時間になりそうだ。

 問題は距離が開いた場合だろう。


 転送魔法で自動人形たちを遠方に配置して確認してみたが、さすがに通話時間は短い。

 やはり中継機が必要になるようだ。

 そこで自動人形のシステムを組み込んだ飛行型のものを作成。

 光学迷彩をはじめとする認識阻害装置と自己防衛機能付きなので滅多なことでは破壊されることもないだろう。

 己の手に負えない状況では俺に救助信号を送ってくるようにした。


「良し……」


 実験は中継をリレーすることも含めて成功。

 ただ、一度に数多くの中継を行うと処理が集中することで中継機が発熱してしまうようだ。

 これについては改良を加えていく中で解決していくことにする。

 現状では通信の絶対数が少ないからな。


 ついでに自動人形たちの母艦となる空母を用意することにした。

 数が増えると管理するのが面倒だから自動人形化した母艦で諸々の処理をさせる。


 なお、空母には転送門を設置する予定だ。

 門同士を接続する簡易型の転送魔道具を用意しようと前々から考えていたんだよね。

 俺がいなくても自由に遠距離移動できた方が便利だもんな。

 これにジェットラグキャンセラーの術式を仕込んでおけば時差問題も解決する。

 なんにせよ空母は大物すぎてデザインだけでもそれなりに時間がかかりそうなので脳内スマホにメモやアイデアスケッチを残しておいた。


 あとはケータイの取扱説明書が必要になるか。

 これが一番面倒かもしれない。

 機械もののマニュアルって分かりづらいものが多いもんな。

 利用者の立場だと文句を言うだけなんだけど。

 いざ、マニュアルを作れと言われると人のことは偉そうに言えなくなるものである。


 どうしたものかな。


読んでくれてありがとう。

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