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159 国元にて

改訂版です。

ブックマークと評価よろしくお願いします。

 エリスをジェダイト王国に連れ帰った後、俺は国に帰ってきた。

 そして国民全員を集めて世界の歪みが残っていたことや影響について説明した。


「──という訳なんだ」


「シャレになってねー」


 真っ先に文句を言ったのはレイナだ。


「うちらも一働きせなあかんちゅうことなんは分かったけどスケール大きすぎやん」


 アニスが自分たちの手には余ると言いたげである。


「ルディア様たちだと力が大きすぎて別の歪みを作ってしまいかねないんだよ」


「さすがは神様の眷属ですねー」


 ダニエラがいつものテンションで感心している。


「加減が難しいということか」


 ルーリアが神妙な面持ちで唸っている。

 深刻な事態になるのではないかとか考えていそうだな。


「地上に降りて直接的に手を下せば歪みも発生しないそうだが」


 一応、フォローしておく。


「せやったら来てもろたらええやん。その方が確実で安全やろ」


「今の状況で一部でも亜神が抜けると世界の管理が疎かになるそうだ」


「ちょっとだけでも?」


「ああ、メールで送ってもらった詳細情報ではこの前みたいなことが起きるんだと」


 この前みたいなこととは俺が大陸東方で大暴れする羽目になった一件のことだ。


「うっ、そらアカンがな」


「管理神って凄いんですねー」


「「だねー。眷属が総出でも管理神のようにはいかないんだ」」


 感心するダニエラに同調する双子のメリーとリリー。


「だからルディア様たちがこれ以上の歪みを生み出さないようにしてくれている間に俺たちにできることをしよう」


「そうだな。飢饉の影響が友好国にあるというのは見逃せない」


 リーシャが険しい表情を見せていた。


「確かにそうですねー。ひもじい思いはもうしたくありませんー」


 ダニエラはよほど嫌な思いをしたことがあるらしく初めて見るような困り顔で唸っている。


「それで食糧増産かいな」


 アニスの表情も重苦しい。


「せやけど農地広げるのは都市計画を変更することになるんちゃう?」


 現状の都市計画はミズホシティの最大人口を想定して考えたものだ。

 今の人口ではフルで生産すると余るから輸出に回して外貨を獲得していたりするけどね。

 更にとなると農地の拡張は必須となる。


「いや、都市計画は変更しないよ」


「え? 農地、拡張して増産するて言うたやん」


「保険は必要だろ。ゲールウエザー王国側が俺らの説得を無視したら悲惨だぞ」


「無視されたら配給するんかいな」


「最悪の場合な」


「義理も借りもないのに、お人好しなことするねんなぁ」


「ルディア様からのメールに嫌な情報があったんだよ」


「嫌な情報やて?」


「状況が悪化した場合は隣国にも影響が及んで戦争が発生する恐れがあるんだよ」


「うわぁ……」


「ブリーズの街は国境に近かったな」


 リーシャがそう言って表情を険しくさせた。


「あの街が被害を被るのは好ましくないと?」


 ルーリアが聞いてくる。


「シャーリーやアーキンは大事な友人だからな」


「冒険者ギルド長もそれに含まれると」


「ゴードンはかろうじてだがな」


「どうしてですかー?」


 ダニエラが不思議そうに首をかしげて聞いてきた。


「悪い奴じゃないが腹黒だから扱いをぞんざいにせざるを得ない」


「あらー」


 なんにせよ友人が被害を受けるかもしれないなら回避できる方法を用意するまでだ。


「俺は友達を見捨てない」


 お人好しと言われたことに対する返答としては最上級の返しだと思う。


「友達以外は、どないやの」


「時と場合による」


 今回のようなケースだとなるたけ見捨てない方向で行動することになる。


「ドライに判断するっちゅうことかいな」


「そういうことだ」


「ほな、都市計画を変えずに農地の拡張てどないするん?」


「土地ならミズホシティ以外にもあるんだよ」


「そういうことかいな」


 ようやく納得の表情を見せるアニス。


「どのあたりなん?」


 周囲を見渡すようにして聞いてくる。

 この調子だと近場を想像しているんだろう。


「遠いぞ。元魔族の領地だからな」


「本気なのぉ!?」


 ドン引きするレイナ。


「なんか育ったらアカンもんができそうやな」


「あんまり想像したくないですねー」


 アニスやダニエラも続く。


「何を言い出すのかと思えば……」


 ルーリアや他の新国民組も呆れている。


「そういや魔人の島の話は詳しく説明してなかったか」


 亜神と魔神の戦いは幻影魔法でダイジェスト的に見せたとは思う。

 浄化の話はしてない。


「神様が後始末もせずに放置する訳ないだろ。清浄で農地に適した土地になってるよ」


「「「「「あっ」」」」」


「この際だからミズホ国の飛び地ってことにする」


 広いから農地に適しているしな。

 管理と防衛は自動人形にさせれば問題あるまい。


「この際って……無茶苦茶だな」


 リーシャが呆れている。


「そうか? 元々なにかに利用するつもりだったからな」


「ほな、うちらも農地開発に行くんやな」


「今回は時間がないから俺だけでやる」


「「「「「あー……」」」」」


「月影の面々には西方のダンジョンで活躍してもらう予定だ」


 アニスの耳と尻尾がピンと立った。


「うちはやるで、やったるで」


 何処の忠犬だよと言いたくなるくらい、やる気に満ちている。

 犬じゃなくて狐だけど。


「我々は如何いたしましょう」


 カーラが妖精組を代表して聞いてきた。


「農業は制限なしで生産して亜空間倉庫に詰め込んでくれるか」


 普段は余剰分が出ないように調整しているが、最近の調子だと生産力は軽く倍を超えるはず。


「「「「「はーい」」」」」


 緊張感がない返事だが彼等の表情はやる気に満ち溢れている。

 任せて大丈夫だろう。


「そんじゃ月影を残して解散。明日からよろしく頼むぞー」


「「「「「はーい」」」」」


 俺の言葉に返事を返して妖精組が散っていく中でツバキだけが何故か残っていた。


「どうした?」


 なんだか機嫌が悪そうに見えるのだが。


「一番弟子としてはついて行きたいのだがな」


 あー、連れて行ってもらえないのが不満であると。

 美人が少し拗ねたような表情を見せてくるのは反則だと思う。


「お前やハリーは派遣しないとゴードンに言ったんだがな」


「お呼びですか」


 名前を出した途端にシュバッと参上、ハリーさん。

 此奴も行きたかったんだな。


「まあ、いいか」


 生産力が著しく低下する訳でもないし問題ないだろう。


「じゃあ両名は俺の護衛だ」


「承知した」


「はい」


 ポーカーフェイスで返事をしているが滲み出す空気までは誤魔化せていない。

 素直じゃないというか、こういうのもツンデレって言うのかね。


「さて、じゃあ月影の面々には防具と武器を支給する」


「えー、防具はともかく武器なんて今更なんじゃないの?」


「アホなこと言うたらアカンで、レイナ」


「誰がアホなのよぉ」


「うちらが西方で魔法をバンバン使うたらえらい騒ぎになるで」


 ラミーナはほとんど魔法が使えないと思われているからな。


「あ」


「ウッカリで騒動を起こしてくれるなよ」


 リーシャが釘を刺す。


「ちぇー、了解」


「まずは防具からな。試着して合わないなら言ってくれ」


 変な輩を寄せ付けないため【精密制御】スキルを使って雑な作りに見えるように仕上げている。

 一見すると普通の防具というのがコンセプトだ。

 ヨウセイジャーの変身スーツのように自動調整機能をつけるとオーダーメイド品のように見えるから採用していない。

 まあ、中身を魔道具化させて防御力を上げるから過保護なくらいに普通じゃないけどね。


「ん? 革鎧なら、いま使っているので充分だろう」


 リーシャが首をかしげた。


「違う」


「何処がちゃうねん、ノエル」


「何の変哲もないレザーアーマーよね?」


 ノエルには見抜かれたようだがアニスやレイナは気付いていない。


「あー、これ倉庫の肥やしになっていたのを手直しした浄化済みのやつなんだよ」


「「「「「え……、浄化済み?」」」」」


「元は魔族のものだったワイバーンレザーアーマーなんだよ」


「えらい、厳ついのを用意したなぁ」


「過保護よね」


「過保護ですね-」


「「同感です」」


 散々な言われようだが魔族のものだったことにクレームがつかなかったので良しとする。


「裏地は色づけしている部分があるんだな」


 認識阻害の術式を組み込んでおいたんだがルーリアは気付いたようだ。


「髪の色?」


 ノエルの言う通りである。


「脱いだ時に誰のんかすぐ分かるっちゅうことかいな」


「ああ。ササッと試着してくれよ」


 各々の言葉で返事をした月影の一同によるファッションショーが始まった。

 まあ、互いに見せ合いっこをしただけなんだが。

 デザインに大きな違いはないんだが新装備は心が躍るものらしい。

 中古品のリフォームしたものだけど。


「次は武器だ。適当なのを選んでくれ」


「これも魔族の愛用品やった代物かいな」


「売るほどあるからな」


「こんな物騒なの売れる訳ないじゃない」


 すかさずレイナのツッコミが入った。

 さすがに鎧でバレたから認識阻害の術式を組み込んでも通用しないか。


「私はこれにする」


 ルーリアは反りのある大小の剣を選んですぐに終了した。

 シャムシールのように反りが強くないものを選ぶあたり日本刀が欲しかったのかもな。

 今度作ってみるか。


「これ」


 ノエルは同じように反りのある剣を物色して対になった小剣2本を選んだ。

 体格からすると無難な選択だな。


「後衛に回るならー、槍が無難でしょうか-」


「何とも言えないな」


「そうですかー?」


「長物が邪魔になることもあるだろう」


「そうですねー」


「破壊力で斧にする手もあるわね」


「せやったらハンマーもありやで」


「「より取り見取りだと悩むねえ」」


 残りの面子はなかなか決まらない。

 まあ、それでも試用するうちに今まで使っていた剣に近いものを選んでいた。


「それじゃあジェダイト王国へ出発だ」


「さっそく行くの?」


 ノエルが聞いてくる。


「ああ」


 月影の面々をガンフォールに紹介しておく必要があるからな。

 それに飛び地にも行かないといけないし。

 体がひとつじゃ足りないね。


読んでくれてありがとう。

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