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1544 留守番組の出番と証拠品の吟味と

 5国連合の面々にはドン引きされる結果となった。

 ミズホ国の流儀で仕事を進めただけだがな。


「留守番組の希望者は泥棒貴族を取っ捕まえに行くぞ」


 いよいよ最後の仕上げだ。


 俺たちにとってはな。

 ハイラントからすると引き継いだ後が大変なんだが。


 証拠を吟味して罪状を決定して刑を執行する。

 奴隷目的の誘拐や拉致を実行した時点で極刑は免れない。

 ハイラントの反応から察するに貴族かどうかは関係ないだろう。


 まあ、武王大祭の最中に表沙汰にして即処刑とはいくまい。

 裏で処理して大祭の終了後に表向きの処分内容を発表して終わりにするってところか。


「準備はいいか?」


「「「「「おーっ!」」」」」


 拳を突き上げてやる気を見せる一同。


「だから留守番してた面子だけだってば」


「「「「「えーっ」」」」」


 不満の声が漏れてくる。


「贅沢を言わない。

 君らは一仕事してきただろう」


 仕事に出ていた者たちはグッと言葉に詰まる。

 しかしながら不満が解消したとは言い難い。


「その間、留守番組は我慢してたんだが?」


 この問いかけには、さすがに引いてくれたけどね。


「じゃあ、引率はエリスに頼むわ」


「よろしいのですか?」


 ちょっと意外なものを見たという顔をされてしまった。


 いや、ちょっとどころではなさそうだ。

 俺が行きたそうにしていないのを見て取ると、マジマジと顔を覗き込んできたしな。


 おそらく俺の過保護ぶりが鳴りを潜めているのに驚いているのだと思う。

 いくら称号が[過保護王]だからって今回はそこまでしませんよ?

 【多重思考】と【天眼・遠見】のスキルを併用すれば見守るくらいは余裕だからね。


 それに皆がやる気を見せているのに仕事を奪いかねない事態は避けたい。


「大丈夫、行ってくるといい」


 特に気負うこともなく返事をするとエリスも納得したようだ。

 そんな訳で初動において留守番していた面々のほとんどが仕上げに向かった。


 まあ、すぐに帰ってくることになるだろうけどな。

 大した相手じゃないし。


「行っちゃったね」


「行っちゃいましたね」


 トモさん夫婦は居残りだ。

 マリカも残っているな。

 暇そうに大口を開けてアクビをしている。


「マリカは行かなくて良かったのか?」


「うん、弱すぎてつまんない」


 その返答に5国連合の一同やツバイクが唖然としていた。

 カエデは一瞬だけギョッとした顔になったが、直後には真剣な目を向けていた。


「狩りをするつもりで行けば少しは楽しめたかもよ」


「1人だったらそうしたよー。

 皆で行ったら取り合いになって面白くないもん」


「あー、それな」


「だったらカエデおねーさんと遊ぶ方が面白そう」


「っ!」


 御指名を受けたカエデがビクッと身を震わせた。

 ビビった訳ではないだろう。

 目付きはやや鋭さを増していたけれど。


「建物が傷つきかねないから我慢な」


 宿屋を倒壊させたりしたらシャレにならん。


「はーい!」


 元気よくシュピッと手を挙げて返事をするマリカである。

 これもまた可愛くてよろしい。

 思わずナデナデしたくなるくらいだ。


 ここでそれをするとロリコンだとか言われそうなので自重したけどな。


「かわいーっ!」


 とか言いながらマリカを掻っさらっていきモフるように撫でくり回す奴がいるけどな。


「うー、何をするのだー」


 とか抗議をするマリカだが……

 数分後には脱力状態で至福の笑みを見せていた。


「さすがはモフモフマイスターの二つ名を持つマイカちゃんだねえ」


 ミズキが苦笑いしながら言った。


「あれ、モフってるのか?」


 マリカは人化しているのでモフモフできる状態ではないはずなんだが。


「そだよ」


 にもかかわらず、アッケラカンとした感じで返してくるミズキ。


「エアモフモフしてるようなものか?」


「んー、それに近いかな」


 モフラー侮りがたしだ。

 そうこうするうちに──


「ただいま戻りました」


 エリスたちが戻ってきた。


「「「「「は?」」」」」


 5国連合とツバイクが固まってしまっている。


「お疲れー」


「疲れるようなことは何もしていないですよ」


 マリアが苦笑しながら言った。


 生真面目なマリアがこんなことを言うくらいだ。

 結果どころか途中経過も推して知るべしな内容だったのは疑う余地もない。


 もう1人の俺たちから報告は受けているから、どういう状況だったかは把握している。

 現場の空気とかはダイレクトに分からないけどな。


 だから帰ってきた面々の様子を見ると印象も多少は変わってくる。

 思った以上に軽い感じで終わったようだ。


「早く終わって良かったね、お姉ちゃん」


「そうだな、これで明日の武王大祭への影響も最小限になるだろう」


 リオンとレオーネの姉妹がそんな会話をしているくらいだからな。

 他にも──


「有無を言わさず捕縛するだけの簡単なお仕事って感じだったわね」


「そうよね。

 断罪タイムがないと拍子抜けするっていうか」


「あー、あるある!」


 ABコンビはこんな調子で盛り上がっていたし。

 とにかく、不満げな様子は誰からも感じられなかった。

 温い仕事で拍子抜けはしたが任務を遂行し達成したという満足感があるようだ。


 わざわざそれを確認するのは無粋と言うしかあるまい。

 納得してるならそれでオッケー。

 水を差して「やっぱり、もう一仕事」なんて言われると面倒だ。


 故にここですべきことは話を先に進めることである。


「エリス、取っ捕まえた連中はどうした?」


 答えは知っているが知らない振りをする。

 聞かせるべき相手がいるからな。


「それでしたら縛り上げて檻の中に放り込んできました」


「檻の中? 一般人が監禁されていた場所か」


「はい、共犯者が多かったものですから」


「全員を連行する訳にもいかんよな」


「主犯だけでも引っ張ってきた方が良かったでしょうか?」


 ハイラントたちの方を見て苦笑するエリス。


「いや、保留だな。

 被害者の事情聴取を済ませてからの方が都合が良さそうだ」


「まだ眠っていますよね」


「そうだな。

 先に証拠品に目を通して時間を潰すしかなさそうだ」


 その前にフリーズ状態から復帰させないといけないけどな。



 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 質の悪い紙の冊子を手にハイラントが唸った。


「あの野郎ぉっ、税金をちょろまかしてやがったのか」


「おやおや、裏帳簿かい?」


「ああ……」


 サリュースの問いにハイラントは不機嫌さを隠そうともせずに答えた。

 そして裏帳簿をサリュースに向かって突き出す。


「おいおい、部外者に見せていいものじゃないだろう」


「構わんよ。

 これだけでうちの財政の内容が把握できたら化け物だ」


 一貴族の管理している範疇で全容が分かるなら確かにそうかもしれない。


「それに、この帳簿は既に見られている」


 黒猫3兄弟のことだ。


「見ないと証拠品かどうかは判断できんからな」


「なるほどなるほど、そういうことなら」


 そう言ってサリュースが受け取ると、内容を確認し始めた。

 そして、すぐに失笑する。


「バカだねー。

 隠蔽する気がまるでないじゃないか。

 これを元に提出する帳簿を作成するのは簡単そうだけど」


「隠しておけば充分だと思ったんだろ」


 これを発見した場所は黒幕の寝室のベッドの下だからな。

 トモさんが知れば──


「そんな場所に隠すのはエッチな本じゃないのかい」


 とツッコミを入れてきそうだけど。

 なんにせよ、証拠品は他にも唸るほどある。


「こっちは禁制品に指定されている物品か」


 違法薬物から流通が禁止されている魔道具まで。


「手広くやってるなぁ」


 ランスローが妙なことで感心している。


「不謹慎ですよ、ランスローさん」


 スタークがたしなめる。


「そうか?」


 ランスローは意に介した風もなく首を傾げた。


「俺は処罰を決めるのが大変だと思ったから言ったまでなんだが」


「それはあるな」


 ルータワーがランスローの意見に同意した。


「他人事だと思って言ってくれるじゃないか」


 愚痴るハイラント。


「「「「だって、他人事だから」」」」


 他の5国連合の面子が声を揃えて言った。


「ハイラントくん、我々はお目付役なのだよ」


「そうだな、手伝う訳にはいかん」


 更にはサリュースとランスローにツッコミを入れられている。


「くっ」


 ハイラントは悔しそうに歯噛みするばかりであった。


読んでくれてありがとう。

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