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1422 クレーン作業?

「そろそろ行くということでいいのかな?」


 カーターが聞いてきた。


「それなんだがカーターたちはお留守番だ」


「おや?」


 意外だと言わんばかりにカーターが目を丸くさせた。


「そんなに危険かい?」


 危険性は認識しているようだが、俺がいれば問題ないと思っているのだろう。

 信頼されているようで嬉しくはある。


 とはいえ、それはそれこれはこれ。

 ちゃんと説明すれば納得してくれるとは思う。


「使用人たちを避難させる必要もあるしな」


 もちろんメイドもだ。


「この輸送機に乗せるんだね」


「それしかないと判断した」


「その根拠は何かな?」


「彼らでは出入り口を塞いでいるゴーレムを押し退けて城外への脱出は無理だ」


「そっか、それはそうだよね」


 カーターが頷く。


「それで我々が同行すると足手まといになる訳か」


「着陸するなら話は別だが、そういう訳にもいかんだろう」


「ゴーレムが本格的に防衛行動に入ると?」


「その恐れがあるというだけだがな」


 確信に近いものは感じているけれど。


「高度を保ったまま上空へ移動して回収する」


「確かに飛んだままでは我々には無理だね」


 カーターが苦笑した。

 ヴァンも同意するように瞑目して頷く。


「それでも、手早くやらんと何が起きるか読めんがな」


「犠牲者を出しかねない訳だ」


 承知していると頷きながらカーターが言った。

 ミズホ組は問題ない。

 ゴーレムを相手に後れを取るようなことはないだろう。


 が、避難している使用人やメイドはそうではない。

 俺たちが介入することでパニックを起こされる恐れがある。

 それで散り散りになられたら、その先はどうなるか。


 あまり時間をかけてしまうとゴーレムが戦闘行動を起こしてきそうだし。


「了解した。

 では、ここで待つとしよう」


 その言葉を聞いて護衛の騎士たちは安堵したようだ。


『空の上だと思って油断するのはどうかと思うけど』


 ゴーレムが対空攻撃をしてこないと思っているなら、それは間違いである。

 真上は攻撃しにくいというのはあるけれど。

 それでも油断してはいけない。


 ゴーレムはまだ迎撃態勢に入っていないからな。

 直上への攻撃手段がないとは限らないのだ。

 魔法などはその最たるものだろう。


 だから今のうちに避難させることにした。

 そこに気付いているのはカーターとヴァンだけのようだ。


 やはり経験の差がものを言う。

 まだまだ慣れない他の面々に同等の判断を求めるのは酷だとは思うがな。

 この2人が分かっているなら問題はないだろうし。


 では、救出作戦の開始だ。

 輸送機の高度を上げつつ王城の真上に移動させた。


 ゴーレムたちの動きに反応はない。

 平面的な位置関係よりも距離を重視するようだ。


「トモさん」


「先に行け、と言うのだろう?」


「ああ」


「任せ天丼」


 また妙なことを言い出した。

 物真似ではなく駄洒落だけのようだが。


『何処でスイッチが入るか分からないからなぁ』


 相変わらずサービス精神が旺盛な男である。


「はいはい、行ってらっしゃ板前」


 何故か俺も付き合ってしまったけどさ。

 そして……


「マイカ、行きまぁーす!」


 グランダムの主人公風に飛び出して行くマイカ。

 俺たちのネタに対抗心を燃やしたらしい。

 その割りには駄洒落ではなく物真似をチョイスしているが。


「「「「「おおーっ」」」」」


 どよめくミズホ組。

 物真似そのもののクオリティに対する反応ではない。

 そこは、まるで似ていなかったからな。


 マイカは理力魔法と風魔法を併用してカタパルト発進のシーンを再現してみせたのだ。

 それに刺激された皆が真似をして飛び出していく。


『どうしてこうなった』


 いや、俺が悪いのか。

 自制して駄洒落のノリに付き合ってなければ、こうはならなかったはずだし。


 それでも残される俺の身にもなってくれと言いたい。

 自業自得だから言えないのがツラいところである。


『どうしろってのさっ』


 グランダムのネタが分かるのはミズホ組だけなのだ。

 現にカーターでさえポカーンとしているからな。


 心の中で叫んだが、自分でどうにかするしかない。

 結局、解決策が思いつかないのでスルーで押し通すことにしたけどな。



 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 モースキーの王城が結界で覆われた。

 結界魔法を使ったのは俺ではない。


 地上に降りたうちの誰かであるのは間違いないだろう。

 可変タイプの結界だからな。


 こんなのができるのはミズホ組くらいのものである。

 ゴーレムも魔法は使えるようだが、そこまで高度なものは使っていないしな。

 魔力を節約したいというのもあるだろうし。


 でなきゃ外敵の接近を感知している状態で追い詰めるように登録者を追い回しはすまい。

 確実に魔力源を確保したいんだろうけど。


 ちなみに可変結界は初歩的なものだ。

 単純な強弱をスイッチのオンオフのように切り替えるだけである。


 だから制御は特別難しいという訳でもない。

 現状はオフ側ということで弱の状態だった。


 強力すぎる結界はゴーレムを刺激しかねないからな。

 避難した者たちを確保するまでは弱状態を維持するつもりだろう。


 弱状態でも一般人は弾かれる程度の強度があるけどね。

 とりあえずは火の手が王都に拡散しないように結界でブロックしたってところか。


『結界を展開したよ』


 トモさんから斥候型自動人形の視覚と聴覚を介して報告が入った。

 要はモニターで確認している状態である。

 これだと一方通行なので返事ができないのが不便なところだ。


 まあ、そこはやりようである。

 マルチライトの魔法をハッチの外に放ってモールス信号で了解の意を明滅させた。


『ハルくん、避難してた人たちを眠らせたよ』


 続いてミズキからの報告だ。

 これも了解の光信号を発信する。


 だが、それだけではない。

 少し長めの文をマルチライトを明滅させて伝えた。


『分かったー』


 返事の後に少し間があって──


『皆もオッケーだって』


 と聞こえてきた。

 このやり取りを見ていたカーターがウズウズしている。


 そりゃそうだろう。

 ミズホ組は意思の疎通ができているが、他の者たちにはサッパリな状態だからな。


 護衛の騎士たちは、どういうやり取りなのかとヒソヒソしているし。

 モースキー組は、あれでどうして通じるのかと困惑することしきりだ。


 エーベネラント組は俺たちだから何とでもなるとは思っているようだけど。

 それでも会話の内容が分からない。


 カーターが聞きたそうにしているのも無理はないだろう。

 邪魔をしてはいけないと思っているようで黙っているがな。


 とりあえずフィンガースナップで魔法を使うアピールをしておく。

 皆の注目が俺に集まった。


「「「「「………………………………………」」」」」


 が、何も起きない。

 変化がないことに戸惑いつつも注目し続ける一同。

 見るべきはモニターの方なんだが、誰も目を向けてはいなかった。


 まあ、俺が少し離れた位置の床面を見ていたので気付かないというのもあるとは思うが。

 そんなだから……


「オーライ、オーライ」


 という声がハッチの方から聞こえてきた時には何人もギョッとした表情で固まっていた。


 姿はまだ見えないが、この誘導は人魚組のマリナミだ。

 人魚組には理力魔法で引き上げる使用人やメイドたちの誘導を頼んでいる。

 本来なら【天眼・遠見】スキルを使えばスムーズにできるんだけどな。


 それをしないのはミズホ国の者以外に見せすぎないようにするためだ。

 故に人魚組の気配と声を頼りにして引き上げていた。


 振りをするのではなく、本当にそうしている。

 その方がリアリティが増すからな。


「全体、5時方向へ少し」


 これはクノミカだな。

 普段は物静かだが、仕事であればハッキリちゃんと喋る。

 その指示に従って使用人たちを引き上げつつハッチから遠ざけた。


「はい、オッケーで~す」


 次に聞こえてきたユリノエの声で遠ざけるのは止めた。


「あと3メートルです」


 アスカミが残りの高度を教えてくれる。

 それから間もなく人魚組に周囲をガードされる格好で使用人たちが姿を見せた。


「「「「「おおーっ」」」」」


 モースキー組がどよめく。

 まさか人が浮いてくるとは思わなかったからだろう。

 目玉が飛び出そうなほど大きく目を見開いていた。


 ちょっと大袈裟な気がするんだが。


読んでくれてありがとう。

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