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1104 イタズラの報酬?

書籍版の追加情報があります。

詳しくは活動報告を御覧ください。

 ラソル様にイタズラされたら3日半も寝ることになるとは思わなかったさ。

 魔法を使ったあとで眠り込んでしまうとか、ルベルスの世界に来た時と状況が似てる。


 相違点も色々とあったけどな。

 寝ぼけて起こしに来たローズを巻き添えにしたとか。

 魔法で使った魔力の総量は今回の方が上だったとか。

 その割に1年も寝ることにはならなかったとか。


 まあ、レベルアップしてるんだから当然なんだが。


『無茶してくれるぜ』


 さすがに気分が萎えてヘロヘロになったもんな。

 お仕置きをメールで依頼したらベリルママやルディア様が殊の外に怒っていた。

 新神になる自覚が薄いってね。


 それは秋祭りの時にも聞いたさ。

 だからこそ反省の色が見られないってことでの怒りなんだけど。


『なんで俺がビビらせられなきゃならんのだ』


 [女神の試練]の称号があるのに、この様だ。

 シャレにならない、とばっちりである。

 これで収穫がなければ今も腹を立てていたかもしれない。


 え? たかがイタズラで根に持ちすぎ?

 そうかもね。


 けど、しつこさでは向こうの方が上だったと言っておきたい。

 動画を止めるのも消すのも、えらく苦労させられたし。


 なのにワンフレーズの短い動画を延々と脳内で再生させるだけのお手軽トラップだ。

 向こうの手間に比べて俺の労力に見合わない。


『根に持ちたくもなるって』


 それを見越していたのだろう。

 ラソル様は相殺するネタを用意していた。

 今回に限らず何かしらフォローを入れていることが多い。


 これがラソル様のやり口である。


『こういうところがズルいんだよな』


 まあ、今回はすべて帳消しにできると思うほどのものでもない。

 お仕置きの度合いを軽減するよう嘆願することもないって訳だ。


『あの怒りっぷりじゃ何を言ってもダメだろうけど』


 とりあえず今回の収穫を確認しておこう。


 まず、レベルアップした。

 秋祭りの時にも2レベル上がったけど、今回は違う。


[ハルト・ヒガ/レベル1250 → 1265]


「……………」


 ただでさえ上がりにくくなっているレベルが15も上がった。

 しかも魔法の使用だけで、だ。


 魔物の暴走を止めたりした訳でもない。

 全滅させたとかノーダメージなんかでボーナス経験値が入ってこないのだ。


 もちろん、タイムボーナスなんてつかない。

 如何に魔法を使いまくったかが分かろうというものだ。


 それを証明するのが【魔導の神髄】の熟練度だろう。

 こちらも10上がっていた。


 神級スキルで熟達した職人級の領域に達していた中での急上昇。

 カンストこそしなかったものの、レベル同様にこちらも尋常ではない。


 しかもこれで終わりではなかった。

 神級スキルの【全耐性】も新規に得ていたのだ。


『この間、特級の耐性スキルを貰ったばっかなんですけど?』


 それらのスキルも統合されてしまった。

 【天眼】みたいなものだろう。


 ただ、耐性系のスキルは自動で発動する。

 故に【全耐性・幻惑耐性】のような使い方はしない。


 熟練度は統合直後の初期値のため気軽に鍛えられないのがツラいところ。

 それでも上位スキルなので下位スキルのカンスト状態より上なんだが。

 神級スキルで鍛えにくい上に鍛える手段が限られているのが難点だ。


『状態異常の攻撃を受け続けるしかないからな』


 贅沢な悩みではある。

 それでも鍛えておきたい。

 備えあれば憂いなしだ。


『何か方法を考えるとしよう』


 それから称号もついていた。

 [忍耐王]だってさ。


 途中で何度もキレそうになったことを思えば……


『妥当なのか?』


 この称号に関しては、そうなのだろう。

 イタズラに耐えながら魔法の連続使用で気力を使い果たすような状態だったからな。


 ただ、おちゃらけ亜神のイタズラで得たことには不満が残ったが。


『それにしても……』


 レベルにスキルに称号と、大盤振る舞いである。

 ラソル様としては出血大サービスのつもりかもね。


 が、あのイタズラで削られた気力を考えると、得をしたとは思いたくない。

 第三者が評価すれば得なんだろうけど。


 生憎と俺も人間である。

 感情がそう評価することを許さないのだ。

 プラス評価でチャラになるとか考えているならラソル様は甘い。


『向こうもそれくらいは読んでいたみたいだけど』


 まだ、オマケがあるのだ。

 まずは守護者組のレベルアップ。


 これは想定外だった。

 俺とリンクしているかららしい。


『今まで、そんなことなかったのにな』


 【諸法の理】を使っても不明。

 ログとか見ても、何がどうなってそうなったか分からず。


 【全耐性】を得ているのにこれである。

 隠蔽されたというより、もっと上位権限の何かが要因なのだろう。

 条件が推測できても再現は無理な気がする。


 なんにせよ、ノーリスクで得をするなら貰っておくさ。


[ローズ/神霊獣・カーバンクル /守護者/不定/レベル563]

[シヅカ/竜 種・聖天龍    /守護者/女 /レベル563]

[マリカ/妖精種・ハイフェンリル/守護者/女 /レベル520]

[シーダ/妖精種・シーザー   /守護者/不定/レベル235]


 そういや、守護者組のステータスとか全然チェックしてなかった。

 前に確認した時よりグッと上がっている。


 今回は15から30ほどのレベルアップだから地道な努力をしていたようだ。


 シーダが低めなのはしょうがない。

 つい先日、守護者になったばかりだし。


『これはパワーレベリングをすべきかな』


 手頃な狩り場はジェダイトシティのダンジョンだが問題がある。

 あそこは国外の冒険者たちも大勢来るからな。


 シーダを見て過剰反応されるのは想像に難くない。


『やっぱり人化を教えないとダメか』


 ただ、性別が不定なのが不安材料である。

 メンタルはともかく肉体的にどちらもな状態になることは充分にあり得る。

 そうなった時は何が起きるか分かったものではない。


『ローズも人化はしないからな』


 覚える気がないとも言う。

 外国で人前に出る時はドルフィン・グレンの着ぐるみを着込むし……


『そっか、着ぐるみを使えばいいんだよ』


 あの中は空間魔法で拡張されて倉と同じ状態だから形状を気にする必要はない。

 寡黙な戦士2号が誕生する日も遠くなさそうだ。


 そして、守護者組はスキルも得ていた。

 特級の【幻惑耐性】である。


 これもレベルアップしたのと同じ理由なんだろうが、取得できた理由が不明だ。

 意外と神のシステムが介在しているのかもしれない。


『ラソル様が新神の教習所で何かやらかしたとかな』


 普段なら亜神が神のシステムに触れることはできないだろう。

 だが、新神の教習所ならばその機会があるかもしれない。


『そうだとしても、さすがに影響が大きすぎるだろ』


 いくらラソル様とはいえ、イタズラのために使うだろうか。


 統轄神様に大目玉を食らうのは確実だろうし。

 場合によっては処分されることだって考えられる。


 生き死ににつながるような処分にはならないだろうけど。

 それでも身内のお仕置きとは違う苛烈さがあるはずだ。


 何万年も幽閉されるとかは優しい方かもしれない。

 記憶を消去され別人も同然になるとかは、ある意味で死んだに等しいだろう。


 そこまでしないとは思いたいけど……

 神のシステムで好き勝手にイタズラしたとなったら、否定はできない。


『頼むから変なことしないでよね』


 まあ、既にやってしまっているなら、どうにもならないが。

 調子に乗っていないことを願うばかりである。


『そういう点においては著しく信用のないラソル様だからなぁ……』


 とにかく、オマケもサービス満点。

 クドいようだが俺的にはマイナスだけどな。


 ただ、ローズはレベルアップなどに気付くなり飛んできた訳だが。

 単に心配しただけで俺を起こしに来た訳ではないのだ。

 後者の理由だけで来ているなら他の面子だって来ているはず。


 現に昼食後には奥さんたちがトモさん夫婦と連れだって様子を見に来てくれたし。

 映像ログで確認したら、ゾロゾロと寝室に入ってきましたよ。


「何をしているのだ、ローズ?」


 呆れたように聞いたのはツバキである。


「くーくぅくっくうくー」


 見れば分かるでしょっ、とキレ気味に応じるローズ。


「いや、見ても分からんから聞いている」


「くっくくぅくーくっくっくぅくくー」


 ハルトに抱き枕にされちゃったのっ、とキレ気味なのは変わらず。

 この時点では、まだ足掻いていたようだ。

 俺が二度寝してから数時間程度だしな。


「くぅーくぅ」


 救出を求む、とか言いながらローズは首から上だけで藻掻いていた。


「バカだな」


 短く嘆息して頭を振るツバキ。


「くー!」


 酷っ! とか言ってるが、あまり必死そうには感じない。

 まあ、抱き枕にされているせいだろう。

 ギャグにしか見えないもんな。


 そのためか助けを求めるローズに対して動こうとする者がいなかった。


「くくくくぅ!」


 救出をーっ! と割と必死な感じだが。

 首を振り乱すほどに滑稽さが増していく。

 包まれた部分がビクともしないだけに失笑を誘うような感じだ。


「やーよ、あたしらまでグルグル巻きにされちゃうじゃない」


 とレイナ。


「クッ、クークゥククゥクー」


 ソッ、ソンナコトナイヨー、とか声が裏返ってるし説得力はない。


「止めたのにハル兄を無理に起こそうとするから、そういう目にあう」


 ノエルの鋭い指摘にローズがビクッとなった。


「くうっ!」


 ギクッ! とか言っちゃってますよ、ローズさん。


「でも、丁度いいんじゃないかしら」


 その言葉に振り向く一同。

 発言したのはエレナである。


「どういうことかな?」


 すぐ側にいたレオーネが尋ねた。


「ベリル様からの連絡によれば、ハルトさんは何日か寝込んでしまうのでしょう?」


「ああ、そういうことか」


 2人の会話はそれで終わってしまう。

 皆も納得したようだ。


「くうくーくくっ!?」


 どういうことぉ!? と目を見開いて驚くローズには何のことやら状態だったが。


「看病じゃないけど交代でハルさんを見ようという話があったんだよ」


 トモさんが苦笑しながら告げる。


「ローズがそんな状態なら、ずっと見てくれそうじゃない」


「悪いんだけど、よろしくね」


 マイカとミズキが畳み掛けた。


「くーくっ」


 そんなー、とローズは抗議と懇願が入り交じった声を出すものの……


「皆で止めたのに振り切ったローズの自業自得です」


 カーラに反論されてしまい、あえなく撃沈するのであった


読んでくれてありがとう。


明日と明後日の更新は人物紹介です。

遅くなってすみません。

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