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11 レベルと称号が……

改訂版バージョン2です。

「じゃあ、ハルトくんは記憶喪失ね」


「は?」


 間抜け面をさらして聞いてしまう。


「ある日、この島に流れ着きましたが、それ以前のことは思い出すことができません」


 唐突すぎてついて行けない。


「どういうことですか?」


「そういう設定ということよ。

 異世界から来たなんて誰にも言えないでしょ」


「それで設定ですか」


 出自や生い立ちを聞かれたときの対策にはなりそうだが。


「要するに他所でボロを出さないで済むということですね」


「察しが良くて助かるわ。

 だけど、それだけじゃないの」


「はあ……」


「スキルや魔法で嘘を感知することができるのよ」


「嘘発見器みたいですね」


 機械じゃなくて能力的なものだけど。


「一般的ではないけど、そういう魔道具もあるわね。

 いずれにしても精度はそんなに高くはないはずよ」


「そうですか」


 それもあって先程の設定なのだろう。

 その程度で誤魔化せるなら確かに精度は高くなさそうだ。

 ちょっと安心した。


「油断しちゃダメよ、ハルトくん。

 それを使われたらどうなるかという危機感を持ちなさい」


「はーい」


『ん?』


 俺のリアル年齢の話はどこいった?

 話の流れからして設定だけ作って終わりじゃないよね。

 そう思って【天眼・鑑定】を使ってみた。


「おおっ!」


 思わず声が出る。


[ハルト・ヒガ/人間種・エルダーヒューマン/ミズホ国君主/男/16才/──]


 ちゃんと16歳になっていた。


「やったあ!

 ありがとう、ベリル様」


 ガキっぽい喜び方をしてしまった。

 まあ、外見と同じ中身になったみたいだしな。

 生まれ変わる前に枯れてきたと感じていたことが嘘のようだ。


「喜んでもらえて何よりなんだけど、レベルは確認したかしら」


「へ?」


 言われて初めて年齢以降の欄に目が行った。


[──/16才/レベル1024/──]


「レベル1024ってなにーっ!?」


 生まれ変わった直後はレベル1だったと聞いた覚えがある。

 魔法の練習で多少レベルアップしたとも聞いた。

 が、これは多少ではない。


「これが現実よ」


「頑張れば誰でもこのレベルになれたりは……」


 恐る恐る聞いてみた。


「そんな訳ないでしょ。

 人類最高レベルなのよ」


 どうやら誰でもとはいかないらしい。


「次点の人で300未満ね。

 昔の人なんだけど彼女も例外中の例外だったわね」


「……………」


 3倍を超えるってシャレにならない。

 これが速度差なら赤がトレードマークの仮面の人を名乗れそうだけど。


「現役最高は確か100を超えたくらいだったかしら」


 現実逃避したくなるような開きである。

 10倍以上とか絶望を感じるような差だ。

 俺は化け物になってしまったのかもな。


「いま、レベル100を超える人は1しかいないわよ」


 ますます俺の化け物ぶりが強調される。


「一般人だと高くてもレベル10台後半くらいなのよ」


 思った以上に低い。

 気分は空飛ぶ赤マントの超人である。

 根拠のない自信も然もありなんというものだ。


「冒険者のボリュームゾーンがだいたいレベル15から30の間ね」


 ボリュームゾーンはその倍くらいのレベルだと思っていたんだが。

 何の言葉も返せずにいると、追い打ちが来た。


「レベル40を越えると別格視されるみたいね。

 このレベルになる前に引退する人達がほとんどよ」


 ベテランと呼ばれるような冒険者が圧倒的に少ないようだ。

 まあ、ベテランだから高レベルとは限らないだろうけど。


「一般の人達の認識ではレベル80くらいで英雄と言われるようになるわね」


「………………………………………」


 何も言えねえーって状態になってしまった。

 4桁レベルって知られた途端に化け物あつかいされそうでヤバすぎだ。

 いや、化け物はまだマシかもしれない。

 人でありながら災害扱いされそうな気がする。


 街に近寄っただけで騒動になったりとかな。

 住人が避難したり戸締まりして引きこもったりするとか、ありそうで怖い。


 誰にも相手されなくなるなら真正ぼっちになるのは間違いなしだね。

 笑い話や冗談で終わりそうにないのが怖いところだ。


 何故こんなレベルになったのかは知っておいた方が良さそうだ。


「普通じゃないのは分かりました。

 でも、何故そこまで急激にレベルアップしたんですか」


「いくつかの要因が重なり合ってのことよ。

 大きな要因は間違いなく例の魔法なんだけど」


 家を作った錬成魔法がメインの理由みたいだ。

 桁違いの無茶をしたってことだな。


「でも、あの魔法だけではこうはならなかったのよ」


「他にも要因があるんですよね」


 最初に前置きしてるくらいだから当然だな。


「最初にレベルアップした時のこと覚えてるかしら」


「魔法の練習をしている時の話ですよね」


「あの時に特殊なスキルを取得していたの」


「特殊、ですか?」


「【才能の坩堝】という特級スキルなんだけどね。

 このスキルって経験値や熟練度がとても入りやすくなるの」


「特級スキルですかー」


 イマイチ実感が湧かない。


「これは実質的に神級スキルと言っても過言じゃないものよ。

 熟練度の上昇率が神級ほどじゃなかったから特級とされたの。

 このスキルの熟練度が低い状態でも数倍以上の効率があるわ」


「それはまたレアな……」


 どう考えても、ぶっ壊れスキルである。

 嫌な予感がして確認してみたら──


「あの、熟練度がMAXなんですけど……」


 ちなみに熟練度のカウント上限は99。

 MAXは実質的に100以上ってことだ。

 そのスキルで高難易度とされるもの以外は神業の領域でこなせるらしい。

 高難易度領域でもミスらないのが当たり前になるのだとか。

 そして壁を越えれば上位のスキルへ移行する。


『どれだけの効率で経験値が入ってきたのか見当もつかねー』


「無茶な錬成魔法の影響ね。

 魔法発動中にスキルの熟練度が上がっていったの。

 その影響であり得ない速さでレベルが上がったわ。

 ステータスが上がり続けるから消耗しても倒れずに済むくらい酷いものだったのよ」


『酷いって……』


 自業自得なんだけど酷い言われようである。


「相乗効果で熟練度もレベルも上がり続けたってことですか」


「そうよ、普通は魔法の行使中にレベルアップとかしないんだから」


 それだけ際どい綱渡りをしていたってことなんだろう。

 その結果がレベル1024。

 そして反動で1年間も眠り続けることになってしまったと。


「制御し切れたのが驚きよ。

 超越した妄想力と言わざるを得ないわね」


「……ありがとうございます」


 褒められているんだか貶されているんだか。

 まあ、褒められているということにしておこう。

 ぼっちの特技も異世界だと捨てたもんじゃないってことで。


『魔法の使える世界はぼっちにとっちゃ天国かもな』


 そう思ってたら、レベル表示の後に続く称号の欄でそういうのがあった。

 時系列で表示されているようだ。


[──/妄想の鉄人・乗り物マニア・犯罪者キラー・魂の友誼を結びし者・心の放浪者]


 ここまでが生まれ変わる前の称号みたい。

 次が[死に損ない]だからね。


 それより前のが5個で充分多いのに新しいのは倍以上ある。

 切り替わったのが2個あることを考慮に入れても一気に増えたのが解せない。


『こんな簡単に称号なんてつくものなのか?』


 [心の放浪者]なんて思い当たるのは旅行のシミュレーションをしてただけなんだぜ。


 そりゃあ旅行の計画を立てて行かずじまいだった所は多かったさ。

 職場での人目を気にして旅行に行くのを控えていただけなのに。

 だからこそ選択ぼっちをやってたんだけど。


[女神に同情された男・女神の息子・女神に祝福されし者(前:禍福の人)・亜神の友]


 そして女神様と亜神がらみのが4個。

 ひとつは切り替えなんだろうけど多すぎるわ。

 ちゃっかりラソル様たちに友達認定されててトラブルの予感がするし。


 おまけにこれで終わりじゃないんだぜ。


[ぼっちの道を歩む者(前:チョイぼっちオヤジ)・建国王]


 生まれ変わる前もぼっち、生まれ変わってもぼっち。

 そして、ぼっちなのに建国王である……


[自重知らず・暴走魔導師・スキルマニア・魔導を極めし者・超越者]


 これで打ち止めだけど最後まで俺の精神をガリガリと削ってくれる。

 暴走した果てに魔導を極めたって……


『嫌な極め方だな』


 どうしてこうなった。

 酒場で愚痴ったら「坊やだからさ」なんて言われそうだ。

 16才の若造だけどね。


読んでくれてありがとう。

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