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突然の出来事に、秀介は混乱しいた。
(頭が、割れるように痛い!)
暗くて目もよく見えないが、数人の人の気配がする。
(ここはどこだ?)
自分は紅葉並木にいたはずだ。何でこんなところにいるんだ? 疑問が頭ををかすめる。
「う、ううぅ」
声を出そうとしてもうなり声が出るだけ、頭痛がひどくなってきた。
(た、たすけて……)
あまりの痛さに秀介は、宙に意識を手放した。
目を開けると、そこは見知らぬ天井だった。ベッドに寝かされているのだろうか、すごく心地がよく、ひどかった頭痛も消えている。バスローブのようなものを着せられていた。
(ここは?)
あたりを見回すと、やはり見たことのない部屋だ。高級リゾートホテルのような、豪華な部屋だった。
「お目覚めになられましたか」
「うわぁ!」
ベッドの横にはメイド服をきたブロンドの女性が立っていた。
「驚かせてしまって申し訳ありません、セドリック国王陛下がお待ちです」
「え?」
秀介は理解が追いつかなかった。
(何言ってんの?)
「ここにお着替えを用意しておりますので……」
「いや、そのままでいい、お前は席をはずせ」
突然扉から二人の男が入ってきた。一人は髭の生やしたはげのおじいさん、一人は体格のいい、顔に傷が入った強面の男。この人マフィアの関係者なんじゃ、秀介はそう思った。
「すまんなメリッサ、このことは口外するでないぞ」
男に言われ、メイドは深くお辞儀をしてから退室した。
「あの、ここはどこですか? あなたは?」
「私はルノワール王国第七十九代国王、セドリック・マギア・ルノワール。ここはルノワール城だ」
「……は?」
「率直に言おう、君に力を借りたい」
秀介はルノワール城の中庭を一人で歩いた。
「何なんだよ、何なんだよいったい」
世界を救ってくれ。普通の高校生活を送っていた秀介には唐突過ぎるものだった。
(異世界? 魔王? 意味わかんないよ)
秀介は困惑していた。ここは地球ではない、他の世界。魔法が存在する世界。到底信じられるものではない。
秀介は中庭から城を見上げた。悠然と聳え立つ白亜の城。それがここは日本ではないと物語っていた。秀介は目尻に涙を浮かべた。ここは自分の知っている世界じゃない、そう思うと急に心細くなってくる。
秀介はバッグの中からウォークマンを取り出し、イヤホンを耳に入れ、誰も邪魔されない自分だけの世界へと入っていった。
そんな秀介の元へ、一人の女性が近づいてきた。