プロローグ
異世界です。勇者です。魔王です。もうお分かりかと思いますが、ベタベタです。
何の新鮮さも見出せないかと思います。ここまで読んで、読む気がうせない人がいたら、ぜひ読んでください。
更新は不定期になると思います。
ここはルノワール王国の首都であり王都〈マルギザーニャ〉。そこにある一人の冒険者がいた。
16から17歳くらいだろうか、ここでは珍しい黒髪黒目の少年、かわった剣を持っており、一目で異国の人物だという事がわかる。その少年は珍しいものを見るように街を眺めていた。そこにある一人の行商人が声をかけた。
「ちょいとお兄さん、どこからきたんだい?」
少年は言葉を濁し、遠いところと答えた。
「ああ、いやいやいや、答えたくないならいいんだけどさ、なにかお土産を買ってかないかい?」
少年は面白そうだと、覗いていくことにした。
「うちは何でも売っているよ、この本なんているかい? 高名な魔道士の伝書さ、字が読めない? そうかそうか、じゃあこれなんかどうだい」
行商人はなにかごそごそと探し始めた。
「ああ、これだこれだ、面白い魔道具何だけどね、ここんとこを押すと光りだすんだ。どうだい便利だろう? お兄さん冒険者なら迷宮とかにもってこいだ」
黒髪の少年は興味深そうに手にとって眺めていたが、結局買わなかった。
「相当目が肥えてるね、じゃあこんなのどうだろう」
行商人はひとつのペンダントを取り出した。濁った青色で、皹の入った宝石がついている。何か刻印が入っていたようだが、よく見えない。
「このペンダントがどうしたって? 話すと長くなるんだが、20年前の魔王襲来はわかるかい?
え、知らないって? こりゃたまげた。お兄さんどんな田舎から来たんだい」
行商人は呆れたように言った。
「20年前、この世界を脅かす大事件がおきた……」
行商人は語りだした。あの世界中を恐怖に陥れた魔王と、人々の希望の光として現れた勇者の物語を。