35話 戦闘
お久しぶりです。本当にお待たせしました。
それではどうぞ!
アクアヒールが翼を広げると泉の水が浮かびあがり、宙に砲丸くらいの大きさの球体が大量に現れた。
「クラエ」
そのまま片方の翼を一振りすると一斉にアイゼンに襲いかかる。オオカミを模した獣の姿になったアイゼンは四足歩行で瞬く間に全部をかわしきると、そのままアクアヒールに接近した。
大きく口を開けて牙を剥き出しにしながら噛み付くも、体が水で構成されているアクアヒールには全く効かずそのままウォータースライダーのように元の場所に向かって流される。
普通の物理攻撃が効かないと判断したアイゼンは身体をブルっと震って体毛の水分を飛ばすとそのまま魔力を込めた牙で先ほどと同じように襲いかかった。
しかしこれを読んでいたアクアヒールはすぐさま水で自身の分身を作るとそれを身代わりに一瞬で間合いをとった。
魔力をこめた牙が分身の首元に突き刺さると、初撃の時とは違って水が発散しまるで大地に吸収されるように地面を濡らした。
しかしそれも束の間で一瞬で水が蒸発すると再び空中に浮かぶ水となってアクアヒールの元に戻っていった。
「こりゃあ、一気に決めないとダメだな」
アイゼンは短期決戦を想定してギアを入れるとそのまま先ほどよりも速いスピードでアクアヒールとの距離を詰めた。
「全テ躱スナンテ卑怯ダ。絶対ニ何発デモ殴ッテヤル」
対してアクアヒールはアイゼンを疲労させて後でいっぱい殴ることにしたのか長期戦の構えをとると、ひたすら距離をとって遠距離射撃、近寄られたら身代わりを使って躱す、というのを繰り返した。
すぐに決めたいアイゼンと長くいたぶりたいアクアヒール。アイゼンが地面を蹴る度に足跡が付き、そこに水が溜まって地面がぬかるんでいく。足場が悪くなってどんどん攻撃の速度が遅くなっていくアイゼンに対してアクアヒールは不敵に笑う。アクアヒールはそのままニヤニヤと口角を上げると、今度はアイゼンの足元を狙ってきた。
アイゼンは辛うじて逃げるものの泥が徐々に体毛の中に入り、次第に動きが鈍くなった。
そこをアクアヒールが見逃すはずもなく、アクアヒールは宙に浮いていた水の一つを咥えるとまるでドリルのように形に変形させながらフッとアイゼン目掛けて噴き出した。水圧の強い弾丸となったそれはアイゼンの毛を何本か掠めるとアイゼンは一瞬ヒヤッとした表情を浮かべながら大きく距離をとった。
「運動不足ダナ、アイゼン」
アクアヒールの勝ち誇った声に息を荒げるアイゼン。
初めの攻防戦は明らかにアクアヒールに軍配が上がっていた。
◇◇◇
俺はカホさんに担がれて泉とは少し離れた木のところに連れてこられた。縄を解かれ怪我はないかと聞かれる。先ほど首を掠めたところが、と思って首元を触ると驚くことに首元の傷がなくなっていた。
おっかない。
あまりのことに思わず叫びそうになるが、カホさんにそれを制されるとそのまま説明を受けた。
「アクアヒールの水には治癒効果があって擦り傷や切り傷は簡単に治るんです」
いや、全く意味が分からなかったが、今はそういうことにしておかないといけない状況なのは目に見えていたので俺はとりあえず一旦飲み込むことにした。
「付いてきてください」
カホさんに手を引っ張られ、現在戦闘が起こっている場所が一望できるポイントに連れてこられる。
「すぐに加勢したいのですが、あなたも心配です。ここで待っていただけますか?」
戦況を見て俺に背中を向けながらそう聞くカホさん。プラチナブロンドのポニーテールが顔を動かす度に揺れている。素直に指示に従っておくかと思い、了承するとカホさんはすぐに蛇男の方に向かっていった。
すでにマイが眠そうに戦っている。こちらはなかなかに長引きそうだったが、カホさんの合流で少し流れが変わったようだ。俺が安心して見ていると、突然赤髪の女性が元気に走りながら大声をあげた。アカリさんだ。あんなんじゃ足を引っ張るんじゃと思ったのはほんの束の間。そのままチャイを抱えた烏男に突っ込んでいくとあまりにも拍子抜けする構えで叫んだ。
「アカリパーンチ!!!」
いや、そんなへなちょこパンチじゃ誰も倒せないだろ、とツッコミを入れようとしたが、ア○パーンチ!みたいな言い方で烏男を倒すアカリさん。
いや、倒せるんかい。まぁそれは置いておいて、てっきり口喧嘩はともかく肉弾戦は得意でないと思っていたからアッパー一発で顎を仕留めたアカリさんの手腕にビビる。てか、あんなんでやられるあいつ弱。
しかしまぁ、そのおかげで一瞬の隙が出来た烏男の懐からマキがチャイを奪い返すと、そのまま空いた片手を使い板割りの要領で頭をチョップした。
上に下に叩かれた烏男は脳天が揺さぶられた影響か、目を回しながら背面から倒れると、後頭部を強く打ち付けて気絶した。
呆気ないなぁーとか思いながらもあれだけ頭を集中狙いされたらやられるかとも思う。
こうしてチャイの救出劇があっけなく終わった。
戦闘シーンがあまりに苦手で後回しにしてたらもう3年。もう戦闘シーンは出来るだけいれないようにします。




