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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第二章 オジー城編
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28話 侵入者ふたたび

長らくお待たせしました。本当にすみません。また再開するのでもし良ければ付き合ってください。

 大小関係なくいかなる生物の魔力をも察知する、巨大で透明なお椀をそのままひっくり返したような結界。フーガ村とその周辺の広範囲を包み込む優れものの結界の円周付近では、その境界線を突き刺すように四足の足跡が突然二足の足跡に変わっている。 そんな自身の境界線を示された結界は生命体と魔力を確認したのにも関わらず、拒否反応も示さずに異物を受け入れ、二人の招かれざる美女達の侵入を許していた。


「本当に役に立つわネ。あの(メス)の魔力ハ」


 二人の美女の内、背の高い方のメグが思わず感嘆の息をもらす。以前、仲間を救出する際にライオン(、、、、)の姿で一度使用したことがあったが、まさか人間(、、)の身体でも飲用可能な状態に改良されているとは思ってもみなかったメグは頬に手を当てながらしみじみとその特殊な魔力の効力に感心していた。

 まぁ、それもこれも過去に別の方法で侵入していたからこそ使えた技なのだが。


「何倍も薄めないと使えないし、そもそも持続性がないから効率が悪いわヨ」


 一方、もう一人の美女であるベラは魔力に対し辛口の評価をくだしていた。どうやらこの特殊な魔力は使い勝手が悪く、味も最悪なようで、味覚が人より鋭いベラとは相性が悪かったようだ。

 その証拠に結界内に侵入したあと、ベラはしかめっ面で、別の容器に入れて持ち歩いていた水を口に含んで味を誤魔化していた。

 二人が会話を続けながら砂の上を歩いていく。美女の歩く速度が速いのか砂が深いのか、まるで砂が二人の足音を吸収するように四本の脚を包み込み、自分の上を静かに歩かせていた。

 しばらく進み、大体の村全域が見えてきた頃、ベラがちらりとメグの方を上目遣いで見上げながら尋ねた。


「で、どうやって中心部の城の前まで行くつもりナノ?」


 城壁こそないフーガ村だが、代わりに突破しなければいけない関門がいくつかある。

 まずは村全体を囲む、幅は無いに等しい三メートル弱の柵。低いといっても外側から登ったり細工をしたり、穴を開けようとすれば巨大な音を発生させる仕掛けがついていて、一度触れれば門番や住民の注目を浴びることになる。

 東西南北には入り口が一カ所ずつ存在するが、カリンを始め警備員が常駐しており、交代する隙などを狙うにしても相当のリスクを伴ってしまう。

 仮に一度入れたとしても、ドーナツ型に並ぶ住民街を切り抜けなければ異端者である二人はすぐに見つかってしまうだろう。中心部となれば誰にも見られずに誰かと落ち合える確率など更に下がってしまう。

 前回の救出劇ではなりふり構わない速さが最優先だったが、今回は隠密さ重視の盗難が目的だ。

 よってベラは侵入が不可能に近いと判断した訳だが、どうやらメグの辞書にそのような言葉はないようだった。その証拠に何処か野性味に溢れた不敵な笑みを浮かべたメグはベラと視線を交差しながら自信満々に告げた。


「まあ、見てナサイ。ヌーやシマウマを狩る時と一緒ヨ」


 過剰なまでの気高さを感じ取ったベラは後足を踏んで深く追求することをやめるとベラの言葉を吟味した。

 結局意図が分からずそうしている間に、段々と北西側にある柵に近づきながらメグはベラに目で合図を送る。そしてそのまま助走を付け出した。

 すぐに彼女の背中を追いかけようとしたベラだが、目配せでベラの行動を制したメグは目に見えぬ速さで、事前の調査で分かった、一番警備の甘い北口へと向かっていった。

 自らの指に触れ、真っ白な光と共にまたライオンの姿へと変化するメグ。

 ベラが待つこと数分。すると、メグが再び、一悶着あった後に、人間の姿で衛兵の服を手に帰ってきた。

 服は少し裂け、肩幅がはだけ口からは僅かだが血を流している。


「まさカ、メグ……」


 数分前に聞いた、ヌーなどの狩りと同じ、という言葉を脳内で再生しながら恐る恐る尋ねるベラ。タラリと流れる血に目を奪われながらベラはメグを見つめると、メグは彼女の視線に答えるように口を開いた。


「誤解しなイデ。殺してないワ。あの(メス)の用意した睡眠薬で眠らせたダケ。ちょっと抵抗されて口の中を切ったけどそれだけヨ。全く、顔面パンチとか往生際が悪いんダカラ」


 悪びれる様子もなく、ほんの少しの過程と結果だけを告げるメグ。流石に黙っていられないと思ったのか、ベラがおのおのと口を開くと、メグが彼女の唇に指を立てて半強制的に黙らせた。


「今は仕事に集中してまずはこれを着テ、ベラ。そしたら一緒に北口を張り込みマショウ」


 自分に課せられた仕事を思い出し、反論の言葉を呑み込みながら言われるがままに服を着るベラ。サイズが近いのか、何の違和感もなしに衛兵に成りすましている。その後、待ち伏せてから衛兵を襲う作戦の準備に出た二人は交代時間がくるその時まで物陰に身を潜めていた。


「お疲れ~、交代の時間だ……」


 やがて日が高くなる時間帯に差し掛かると次の衛兵がやってきた。そのまま約五畳ほどの執務室に鼻歌交じりに足を踏み入れる。

 しかし、中を見ると取っ組み合いが起きたかのように部屋は乱雑に荒らされていた。その時点で違和感に気づく衛兵。

 すると突然。衛兵の背後から黒い影が一瞬で現れると、瞬きする間も無しに回り込み、あろうことか顔を掴んだ。


「何者?んっ!!!」


 そのままほぼ流れ作業で衛兵に口渡しで睡眠薬を流し込む黒い影ことメグ。色気さえ感じさせるその手慣れた手際と手順にベラが驚いていると、メグが気絶した衛兵の服を脱がしながらベラにウインクした。


「これで潜入するのに苦労はしないし、万が一正体がバレてもここから逃げられるワネ」


 そのままメグ自身も衛兵服に袖を通していく。胸元が少しキツくやや小さかったからか、身体のラインが浮き彫りになっているが、特に気にしないメグは胸を張りながらベラに告げた。


「まだ時間はあるけど、先に行きマショ」


 北口から早々と尻をあげた二人は住民の数が少なく、人が通ってもあまり気にされない職人街を選んで道を突き進んだ。人が来るたびに物陰や裏道、屋根の上に隠れながら移動していれば、間も無く中心部の広場へと辿り着いた。


「いよいよネ」

「エエ」


 二人の視線の先には高々と聳えるオジー城、そして。

































「クケェ!!!!」


 そこには、バザールの嫁でムブラナの母であるトゥインカの姿があった。

もう一年になるんですね。もし作者のくだらない言い訳を読んでくださる方がいたら活動報告の方へお願いします。


この場ではまず待っていてくださった方にお礼をさせてください。

本当にありがとうございました。

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