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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第二章 オジー城編
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17話 オカリナ遺跡調査隊解散

 同刻。

 かずや達と共に入村したのにも関わらず一人城へと向かったアミ。

 本格的に雨が降り出す前、三つ目の雷が鳴る前に無事帰還したアミは、風で乱れた亜麻色の髪をそそくさと整えながら母アントワンヌの部屋に向かうと、アキがまるで来ることが分かっていたかのようにドアを開きながらアミを待ち構えていた。


「ただいま戻りました」

「入りなさい」


 そのまま室内に通され、挨拶もそこそこに座らされるアミ。無言で要件を促すアントワンヌに、アミは大きく息を吸いこみながらアントワンヌと目を合わせた。


「大叔母様が、お父様達と合流したいと申しておりました」


 ピクリと眉を動かすアントワンヌの表情に疑惑の色が浮かぶ。


「なぜまた急に…」


 当初の予定では遺跡を調査次第、かずや本人の意思を尊重した上で、協力するか放置という名の始末にするかのどちらかしか想定していなかった。

 連れ帰るだけならかずやが協力を求めた上での行動だろうと予測がつく。しかし、後一日で帰ってくると分かっている男衆になぜすぐにも合流する必要があるのか。


「理由は?」


 アントワンヌはその事情をバーチャマから聞いたであろうアミに理由を尋ねると、アミは目線を下げて頭を振りながら悲観的に告げた。


「それが…詳しいことはお伺い出来ませんでした」

「そう……」


 あの一同の中で二番目に偉いはずの、ましてや本来を情報を管理する者の中で特に地位が高いアミでも教えられなかった理由。


「何か王家の中の問題なのか……」


 それも王位継承権を持った者だけの、と心の中で続けながらアントワンヌはアミに視線を向けると、そのまま思考を巡らせた。


「下がりなさい、アミ」


 そのまま暫し自分の思考に没頭するアントワンヌを背にアミは部屋を退室する。アントワンヌはアミが出ると同時に蜘蛛の形態に変幻すると、手足から小さな蜘蛛を二匹召喚しながらしずかに命令を下した。


「あなたは義叔母様についていきなさい。そしてあなたは……そうね。さきにアイゼンに連絡を入れなさい。義叔母様が異世界の男とやってくる、とね」


 そして蜘蛛は薄暗い部屋の中でその気配を消した。



 ◇◇◇



「みんな、ご苦労じゃったの」


 バーチャマが今回遺跡の調査隊に参加した者達に声をかけている。

 そこにアミやかずや、馬を小屋に返すために離れたカエデの姿はなく、いるのはカリン、カナ、サリー、サキ、タミ、マイ、マキの計七人である。

 辺りを一度見渡したバーチャマは未だ止まない雨の中だからか、はたまた子供達がうるさいからか僅かに声を張り上げながら全員に告げた。


「それではここで解散とするかの。ゆっくりと休むんじゃぞ、ホホホ」


 号令と同時に各自散らばっていく一同。専ら、本当に離れたのはタミ、マイ、マキの年少組三人だったが。

 バーチャマは残った顔ぶれに少し苦虫を噛み潰したような表情を浮かべると、溜息混じりに声をかけた。


「なんじゃ?」

「かずや君にこんなことをした理由を教えてください」


 その問いにカリンが代表して答えると、バーチャマは急に威圧的な明かりを目に灯しながら口を割った。


「これから小僧と行くところがあっての。そこまでの道のりを知られるわけにはいかん」

「でも、あんな強引にしなくても」


 その高圧的な物言いに思わず肯定しそうになるも、カリンはかずやへの同情からか、はたまたかずやを客人として扱う義務感からか言葉を絞り出した。

 しかし、そんなカリンの発言にもしれっとした態度で鼻息を鳴らしたバーチャマはむすっとした顔で腕を組んだ。


「私は強引にあの小僧を捕まえたわけじゃないぞ。あの坊主が自分から縛られにいったんじゃよ」

「それは大叔母様が裸を見せようとしたからでは……」


 まるでかずやが自ら進んで囚われたとでも言いたげな発言にカナも思わず口を出すと、バーチャマは今度は得意げに胸を張りながらフッと悪い笑みをこぼした。


「まぁ、あの坊主は美人の裸に弱いからの。そこを上手く利用しただけじゃよ、ホホホ」


 単に大叔母様の裸を見たくなかっただけではないのか、と目で訴えるサキとサリーを無視し、バーチャマは逸れてしまった話題を咳払い一つで引き戻すと、そのまま彼女達に告げた。


「とにかく、私は今から小僧を連れて一時間後にまた出発する」

「では、私達も……」

「……そしてアイゼン達と合流する」

「!!!!!」


 自分達も同行しようと試みるも、アイゼンと合流する、というキーワードにその意味を瞬時に理解したカリン達は目を丸くして言葉を失う。

 やがて、諦めたように俯いたカリン達がとぼとぼとその場を離れようとすると、バーチャマは仕方がないのぉ、と呟きながら彼女達に頼み事をした。


「さっきも言ったが、出発は一時間後じゃ。ミサのところへ顔を出すからついてきたかったらそこまで来なさい。ただし、荷物の準備を手伝うこと。良いの?」


 その言葉に目を輝かせたカリンと、少し嫌そうにするカナという一見真逆な反応をする二人が了解を示すと、サキとサリーが、


「私達は方角が同じだから一緒に歩くだけにします」


 まるで抜け道を通るようにさらっとバーチャマの要求を回避した。


「えー、じゃあ私がほとんど準備しないといけないじゃないか」


 二人の回答にカナががっくりと肩を落とす。カリンはちらりとカナの側に佇む鳥の様子を見ると、申し訳なさそうに手を合わせながらカナにお願いした。


「確かにカナだったら色んな場所にひとっ飛び出来るね。だからカナお願い!護衛は私が全部引き受けるから」


 正直街中での護衛の必要性は限りなくないに等しいが、自分だったら早く荷物を揃えられると自覚していたカナはわかったと、一言頷くと、そのままバーチャマに必要なものを問いかけていった。

 やがて、鳥に乗って飛び立っていったカナを見送った一同はバーチャマに視線を向けると、バーチャマはゆっくりと息を吸ってから言葉を放った。


「それじゃあ、行くかの、ホホホ」


 こうしてかずやをのせた荷車は移動していく。まずはミサの店へ。そして男達の元へ。

今回はあまり動きがなかった気がします。


それにしてもアイゼンって誰でしょうね(棒)

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