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オジー王国の謎  作者: 寺子屋 佐助
第二章 オジー城編
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5話 かずやの心情

今後の展開的にかずやがブルーの状態が続くと面倒だったので、作者の力でかなり無理矢理に元気にさせました。

申し訳ありません。


どうぞ。

 相変わらず砂埃が目に染みる。遮断物がほぼ皆無な砂漠では当たり前のことなんだろうが、本当にどうにかならないものか。

 俺は風が吹き付けてくる度に腕で目を覆いながらそんなことを考えていた。

 ここは砂ばかり広がる虚しい場所、今の俺の目にはそのように映っている。

 すると、グゲェ、と鳴くバザールの声が俺の耳に届いてきた。どうやらもうギブアップに近いようだ。

 まぁ、鳥様も荷車の上に止まって休んでいるみたいだし、いつまでも荷車を引いている訳にもいかないのだろう。

 この速度だと当分フーガ村には辿り着かないだろうし。

 俺は元々たいしてスピードを出していなかった荷車が更に減速したのを傍目に捉えながらサンドロの背中から降り立った。

 そして俺はゆっくりと停車した荷車を再び目の隅に収めながらバザールの方向に歩みを進めた。

 俺は荷車からバーチャマおばあちゃんやタミがぞろぞろと出てくるのをちらりと確認すると、砂の上に無惨に横たわるバザールの前で足を止めた。

 なんかプルプルといつかのハーブ二号の時のように小刻みに震えている。

 気になった俺は声をかけようと口を開きかけたが、いつの間にか俺の傍らで立っていたトゥインカさんとマキに遮られ唇を結び直した。


「ここは私達にお任せください。大丈夫です、彼に文句があるのは皆同じですから」


 別に文句を言いに来た訳ではなかったが、ものすごい剣幕でトゥインカさんにそう言われた俺は引き下がることしか出来ず、結局俺は目の前で始まった公開処刑を静かに観戦することしか出来なかった。


「何でちゃんと罰を受けなかったんだい、あんた?まだ三分の一も進んでないじゃないか?」

「盗み食いした分ちゃんと働いてください!!鳥釜にしますよ」

「や、やめてくれ…かぁちゃん…」


 もはや死にそうになってるバザールに追い討ちをかけるように蹴ったり突ついたりを繰り返す一人と一体に、俺は内心冷や汗をかきながらバザールに合掌しておく。

 同時に俺は日本のバラエティのような展開に思わず笑みを浮かべると、堪えきれずにブっと吹き出してしまった。


「そこは笑う所じゃねぇ、かずや」


 そんな俺に痛みも忘れてツッコミをいれるバザールに砂をかけて目潰しをしながら、俺は盛大に笑った。

 ゴホッ、と咳き込むバザールを見て更に腹を抱えながら笑っていると、何故かタミが俺の隣に来て静かに告げた。


「そんな無理して笑わなくてもいいんじゃない?もっと自然に笑いなよ、ねっ?大丈夫。すぐに元の世界に帰る方法も見つかるよ。だからバザールさんにストレス発散させよう」


 そう言って今度はタミがバザールに砂をかける。なんかやり方がおかしいというか、末恐ろしいような気もするがきっと気を遣ってそう言ってくれたんだろう。

 俺はなんかモヤモヤしたものが晴れていくのを感じながら砂を手にとる。


「そうだ。もっと働けよ、オラ」


 わざとふざけながら砂を投げると気分がスッキリしてきた。バーチャマおばあちゃんの言うようにもっと楽観的に考えようかな。

 俺はひとまず元の世界に帰還する方法を模索するのを頭の中から追い出すと、そのまま何故か始まった砂かけ合戦に没頭することにした。

 俺の背後に向けられる安心したような暖かい視線が妙に心地よかった。



 ◇◇◇



 一通り砂をかけあった後、俺たちは少し早い昼食を取ることにした。

 砂で服が汚れてしまったが、どうせもう汚れていたからあまり関係ない。

 俺はそんな風に思いながら運ばれてくる料理に期待して待っていると、運ばれてきたものは随分と簡素なものだった。

 今日の昼食はコーンフレークのようなビスケットに、水というこの世界でこれまで食べてきたものの中で一番質素な組み合わせだ。

 何でもバザールがつまみ食いをしたせいで今日の分は節約しないといけないらしい。

 俺は、荷車の隣で顔面がボコボコに膨れ上がったバザールにもう一発蹴りを入れると、また静かに自分の場所に戻っていった。

 振り向き際に、オー、と顔を紅潮させて悶えたバザールを見なかったことにしてゆっくりと座ると、俺はとりあえずつまみ感覚でフレークもどきを口にしながら暫しバザールを見つめる二体のダチョウの様子を窺った。

 なんか初期の方に、土産話に出来るぞとか騒いでいた二体が、今は嘘のように呆れた目でバザールを見つめている。

 なんか、何であんな上司に尻に敷かれていたんだろう、と悟りを開くかの如く乾いた笑みを浮かべている。

 まぁ、過去のことは知らないがバザール達が俺たちと一緒にいた期間の間はいいとこなしだったからなぁ、としみじみそんなことを思っていると、俺の背中に突然小さな衝撃が走った。

 振り向くと、そこにはムブラナが砂漠トカゲを口に咥えながら突っ立っていた。

 どうした?、と声をかけようとすると、ムブラナはトカゲを飲み込みながら俺にこう告げた。


「父ちゃん、歩けそうにないから、お兄ちゃんご飯運ぶの手伝って」


 そう言って、頭の上に乗せていたお椀を俺に渡すと、ムブラナは新しいトカゲの尻尾を入れた。

 俺は、そのままバザールの所までいってお椀を置くと、バザールはぶっきらぼうにそっぽを向きながら小さな声で呟いた。


「……りがと…」


 そう言ってお椀の中を突つくバザールに少しだけお椀を傾ける。どうやらさっきより食べやすいようだ。

 俺は、その役目をムブラナに託すと、そのまま自分の場所に戻ってフレークを囓った。

 何故かフレークの味が優しくなったような気がした。

次回からはかずやのテンションも元にもどると思うので、今回も大目にみてください。

いつもありがとうございます。


リアルな事情で忙しいので出来る範囲で更新していきたいと思っております。ご了承ください。

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