1話 野球拳(異世界版)
いやぁ、異世界版の野球拳って書いてみたかったんですよね(笑)
まぁ、あまり、上手い出来にはなっていないかもしれませんが。
今回はいつもより長めに書いたので読みづらかったりしたらすみません。
一応、15歳以下の方、お気をつけください。
では第二章の記念すべき第一話、お楽しみください。
緊迫とした雰囲気の中、俺たちは白熱とした過酷な闘いを繰り広げていた。
いや、確かに白熱というかもの凄く暑いし緊張もしているが、過酷かどうかは分からない。だってほら、野球拳だし。つまり、美人の女性方がどんどん薄着になっていく訳で…
「いかん、いかん集中しないと…」
頭をブンブンと振りながら無駄な思考を無理矢理排除する。
そう、これは真剣勝負。負ければ自己紹介の時のような恥を晒してしまう。
男たるもの、受けた勝負には必ず勝利しなければならぬ。
そう、決して魅力的な女性達のすっぽんぽんが見れるかもしれないと期待しているわけではないのだ。……多分。
自分でも思考がおかしくなっていると分かっているものの、この暑さの中では関係ないのだ。
俺はそんなことを考えながら一度大きく深呼吸した。
「大丈夫、俺は出来る」
俯き気味に下を向き、自分にそう言い聞かせながら俺は自分の番が来るまでにルールの確認することにした。
1.)五つの石をサイコロのように転がす
2.)転がった石の中から一つ選び、手で取る
3.)その石を上に投げている間に床に落ちている石を拾って、空中に浮かんだ石をキャッチする
4.)3をまた繰り返す。つまり、石を片手に二個持った状態で二つとも上に投げて床に落ちている石を拾い、空中に浮かんだ二つの石をキャッチする。(二つ、三つと増えていく度に難易度があがる)
5.)いずれも片手のみで行い、石を落とす、もしくは取り損なった時点でアウト
非常に簡単なルールだが、言うは易く行うは難しという言葉があるように、実際にやるには難しいと俺は思う。
事実上、現に経験者であるはずのアミさんやカエデさんでも一個までしか取れていなかったし。
まぁ、手汗をかいていたとか別の要因がありそうだったが。
「今度はかずや君の番だよ頑張ってね」
どうやら俺の番が来たようだ。俺はカエデさんのいつもの早口を耳に入れながら色彩豊かな五つの石を掴み転がした。
不規則に自身の位置を定める石を目に捉え、一番遠くに転がった青い石を手に取る。俺はそのまま瞳を閉じて息を整えると、手に持つ青い石を空中に放った。
スッと、飛び上がり虚空に浮かぶ青い石を尻目に捉えながらあらかじめ決めておいた赤い石を拾う俺。
そして今度は青い石に狙いを定め、掴み取ろうとしたその時、ゴンッという音と共に何かが落ちる音が響いた。
一瞬ピタリと静寂に染まる荷車内で唯一の音だったそれが木霊する。
同時に俺は、その音が俺の敗北を示すゴングの音だと気付くと、うわぁと頭を抱えながら首を垂れた。
「じゃあかずや君、一枚脱いでね」
カエデさんがいつになくゆっくりとした声でそう告げる。俺はガックリと項垂れながらコクリと頷くと、頭に巻いていたターバンを取った。
それからの戦績は圧倒的にアミさん達のものだった。
二回戦、俺が負けて靴を脱いだ。
三回戦、俺が負けて上着を脱いだ。
四回戦、俺が負けて靴下を脱いだ。
これはマズイ、と思っていてもあと一歩のところで負ける俺はどんどん薄着になっていく。
しかし、天の神様、この際何でもいいが、は第五回戦で俺にチャンスを与えてくれた。
そう、何とカエデさんが痛恨のミスを犯し、一つもキャッチ出来ずに俺の番が回ってきたのだ。
ここで一つでも取れば俺が脱がなくてもすむ。つまり、忍耐強く待ち望んだ成果が出るということだ。
俺はさっきからずっとやっていた手順で今度は白い石を放り上げると、素早い動作で赤い石を掴みそして…
「っしゃー!一個目!」
この度初のキャッチを果たしたのであった。案の定、二個目のキャッチには失敗したが、今はそんなこと関係ない。
「じゃあ、次はカエデお姉ちゃんが脱ぐ番だね」
サリーさんがニヤリと口角を上げながら、まるで新しい玩具を与えらた子どものように笑う。
サリーさんの言葉にピクリと肩を揺らしたカエデさんは、そろりと辺りを見渡すと、ほんのりと頬をピンク色に染めながら小声で呟いた。
「うん、そうだね…」
そう言って上着のボタンをゆっくりとはずしていくカエデさん。
いつになくしおらしく話すカエデさんに何か違和感を覚える俺。そういえばサリーさんもあんな風に笑うキャラじゃなかった気がする。
しかし、俺は今からカエデさんが脱ぐ、ということに興奮していたからか、すぐにその違和感を捨てると、好奇心に溢れる視線をカエデさんに向けた。
「じゃあ今から脱ぐから、あんまり見ないでね……」
すると、カエデさんはチラチラと俺に視線を向けながら一旦ボタンから手を離すと、全員に聞こえるように声を張り上げた。
おっと、いけない、と慌てて自分の頬をペタペタと触る。どうやら俺は興奮のあまりニヤニヤと口を弧の形に曲げていたようだ。
大体、女性の脱ぐ姿をジロジロと見るなんて男として潔くないじゃないか。
俺は何故か残っていた爪垢ほどの理性でゴホン、と一つ咳払いをしながら居住まいを正すと、素知らぬ顔で乙に澄ますような態度をとりながらカエデさんの方から極力顔を背けた。
もちろん、俺の虹彩は男としての性を捨てきれずにしっかりとカエデさんの姿を捉えていたが。
カエデさんが上着のボタンをはずし終え、袖の中に腕を引っ込めた。
ゴクリと唾を呑む音が聞こえたが、きっとこの部屋にいる誰かの喉が渇いているからだろう。
決して俺では……いや、今回は俺だ。
一瞬の沈黙の後、意を決したように目を見開いたカエデさんは、上半身を隠していた上着をバサッと床に落とした。
「うわぁ、綺麗…」
と、タミが思わず漏らした感嘆の声が耳に入る。
そこには、通気性を重視したであろう、胸元が程よく開いたタンクトップのような服に包まれていた、普段は隠された染み一つない真っ白な肌を見せるカエデさんの姿があった。
実際には顔がこんがり小麦色に焼けているから対照的に白く見えているだけなのだが、それでも皮を剥いたバナナのように白い。
俺は無意識にカエデさんの指先から肩まで視線を這わせながらそんなことを思っていると、カエデさんが何か恥じらいを帯びた目でこちらを見てきて、胸元を隠しながら口を開いた。
「ごめんね、ちょっと恥ずかしい」
その言葉を聞いた途端、俺の脳天に衝撃が走った。同時に身体中が火照りだし、思わず鼻から血が垂れていないかを確認してしまう。
この恥じらい方に、このポーズ。まるで今から男女の営みでも始めるかのようなセリフ。
俺は拳を無理矢理強く握りしめ、歯を必死に食いしばりながらこの状況に耐えた。
そうだ。俺は男なんだ。このぐらいの誘惑に負けてたまるか。
俺は、スタンディングオベーションを始めた自分の分身を体育座りによって隠しながら、目をキツく結んでそっぽを向いた。
もう、目を合わせたら惚れてしまいそうだ。てか、既に内心は悶え苦しんでいるし。
やがて、もう一回戦やろう、という声に釣られて目を開ける俺。
その目線の先には何かいつにも増して神々しいオーラを放つアミさん達の姿が。
「マジでどうなってんだ、俺⁈」
いつもなら反応しない、というかコントロール出来る俺の半身も立ちっぱなしだし、普段は必要以上に感じないアミさん達の魅力も、今ではいつもの倍以上華やかに見える。
俺がいつもと思考回路が違う俺自身に困惑していると、突然、荷車内の前方から場に合わない冷た〜い声が聞こえてきた。
「小僧、私の可愛いアミ達と何をしているんじゃ?」
ギギギ、と錆びた機械のように首を回す俺。
そこには、腕を組んで仁王立ちをしながら俺を睨むバーチャマおばあちゃんの姿があった。
しかも、淡々と尋ねる言葉の所々に殺気のようなものが込められている。
背筋にゾクリとくるものを感じた俺は、直感で誤魔化してはいけないと感じ取り、俺たちが何をしていたかを伝えた。
「えっと、これはその、ゲームでして、で、あのー、えっと、罰ゲーム付きでして……」
もはやタジタジの状態でそう告げた俺は咄嗟に頭を下げながらチラリとバーチャマおばあちゃんの様子を窺った。
見ると、バーチャマおばあちゃんは拳をプルプルと震わせ、額に青筋を浮かべている。
俺はそれを彼女の怒りと捉えると、直様土下座をしながら平謝りを始めた。
「護衛されている身分ながら浅はかな考えで迂闊に遊んでしまい、申し訳ありませんでした!!!」
自分でも何を言っているのか分からなかったが、とにかく謝る俺。
別に俺が始めた訳ではないが、確かに年頃の女性と野球拳に近いことをやっていたのだ。今考えても、怒られることだというのは間違いないだろう。
俺は次に来るであろう、バーチャマおばあちゃんの拳に備え表を上げた。
もう、覚悟は出来ている。何でもこい!
俺は心の中で意気込みながら目をギュッと瞑ると、飛んでくるはずのバーチャマおばあちゃんの拳を待った。
しかし、何故か飛んできたものは拳ではなく、俺にとっては意外なものだった。
「何故、私も入れなかったんじゃ〜!!!!!!」
まさかのバーチャマ乱入です。
果たしてどうなることやら…。
そして次回、かずやの違和感の正体が明らかになります。
ここまでありがとうございました。




