54話_エピローグ~オカリナ遺跡編~
やっぱりいきなり質と量を増やすのは無理ですね…。ゆっくりとやらせていただきます。
一応このエピローグも一章に加えさせていただきますので、本格的なのは次回からで。
「しー!!静かにお願いします、かずや君」
俺が荷車の外に脚を踏み出した瞬間耳に入った第一声は、俺を嗜めるものだった。まぁ、扉を開ける際に軋む音が漏れたからきっとそのことを伝えたかったのだろう。
俺は指を唇に当ててそう告げるアミさんに軽く会釈をしながら謝ると、今度こそは音をたてないようにゆっくりとドアを閉めた。
幸いにも誰も起きなかったので、内心ホッとしながら荷車に背を向けるとすぐ近くでしゃがみこんでいる二人の姿が目に入る。俺は地面の上に座る二人に近づくと、そのまま二人の近くに腰をおろした。
「ほぉ、坊主じゃったか…」
何だか胡散臭げにバーチャマおばあちゃんがこっちを見てくる。でも、誰か別の人を期待していたのだろうか?
バーチャマおばあちゃんは目線とは裏腹にさもや意外そうな口調でそう呟くと、隣に座るアミさんに目配せをした。
何か感じるところがあったのだろうか。アミさんはバーチャマおばあちゃんの視線に一つ頷くと、微妙に眉を顰めながら俺に尋ねた。
「もしかして私たちの会話、盗み聴きしてましたか?」
ギクっ、と文字通り心臓が飛び跳ねる俺。どうやら俺のことに気づいていたようだ。
俺は冷や汗をダラダラと流し、目線を魚のように泳がせながらもコクン、と頷くと、バーチャマおばあちゃんは軽く吐息をつきながら半目で俺を見つめてきた。
「まぁ、いい。美女達の会話に聞きいってしまうのは仕方がないことじゃからの、ホホホ。坊主は気配を消すのも下手じゃし許してやるかの」
そう言ってアミさんから同意を得たバーチャマおばあちゃんにもう一度頭を下げる俺。もちろん心の中で、誰が美女だ、とツッコミを入れておくのも忘れない。
俺はアミさんにも一言謝りながら、一先ず、先ほど二人が話していた会話の内容について聞いてみることにした。
「さっき成果があればいい、とか言ってましたけどつまり何かあの部屋にあったものが今あればいいわけですか?」
単刀直入にそう告げる。こういうのは回りくどくいくより、直接いった方がいいはずだ…多分。
案の定、バーチャマおばあちゃんは俺の意図を察したようで、片眉を僅かに吊り上げると、そのまま口を開いた。
「もちろん、そうじゃが…。もうすでにあの部屋は破壊されておる。その中で何か原型を留めたものを探し出すのは至難の技じゃ。下手すりゃ、何も見つからないかもしれないしの。それとも、何じゃ小僧。何か策でもあるのかの?」
何か会話の内容が噛み合っていないような…。
俺は妙にちぐはぐな会話を正すため、正確には俺が見つけた物を見せる為に掌の中にある物を見せた。
「いや、別に何かを探しに行くわけではなくてですね、あの部屋にあった物を見せたいのですが」
俺の言葉に目を見開くバーチャマおばあちゃん。流石にあの状況で俺が何かを持ってきたとは思わなかったのだろう。俺自身、あの緊迫した雰囲気というか、危険に溢れた部屋の中からこの石版をずっと掴んだまま持ってくるとは思ってなかったし。
俺がそんなことを考えながらまた口を開こうとすると、バーチャマおばあちゃんの様子がおかしいことに気づいた。
俺が持つ石版に目が釘付けになっている。
あまりに真剣な面持ちで凝視するものだから、俺はバーチャマおばあちゃんがこの石版のことを知っていると思い、おずおずと尋ねることにした。
「えっと…もしかしてこの石版のこと知ってますか?」
タイルのような材質で作られた正方形の鼠色の石版。何の変哲もない至って普通の石版だ。
唯一、異質なのは版面に刻まれた【Z】の文字くらいだろうか?
俺の質問にピクリと肩を揺らしたバーチャマおばあちゃんは先ほどまで浮かべていた驚愕の表情を落ち着かせると、動揺を隠しきれていない声で俺に問い返した。
「ぼ、坊主…この石版をどこで…?」
もはや自分に問いかけてるんじゃないかと思わせる小さな声で聞くバーチャマおばあちゃんに、俺はただ遺跡の中で、と返す。
「もし良かったら、その石版、私に預けてくれんか?その、ただとは言わん。良ければ私の身体で……」
「どうぞ受け取ってください」
バーチャマおばあちゃんの挙動不審な態度に一瞬渡すのに戸惑ったが、そこまで言われてしまえば渡さずにはいられまい。
俺はバーチャマおばあちゃんが全て言い終える前に丁寧に両手で石版を渡すと、未だに石版をじーっと見つめるバーチャマおばあちゃんの隣に佇むアミさんの方に身体を向けた。
「なんか暑いですね、アミさん」
背中から汗がダラダラと垂れる。まぁ、暑いのは休憩の為にエアコンは今止まってるからだし砂漠の陽射しが直に当たっているからでもあるだろう。
俺は背中に突き刺さる鋭い視線を意図的に遮断しながらアミさんに同調を求めると、アミさんも案の定額の汗を拭いながらそうですね、と漏らした。
背後から滲み出る殺意はきっと爛々と輝く陽射しが串刺しのように俺の背に降り注ぐからそう感じるだけだ…と思っておく。
「アミさんもあの石版について何か知ってるんですか?」
わざと話題を変えながら一歩隣にズレると、俺がいた位置からバーチャマおばあちゃんの拳が現れた。
俺は胸を撫で下ろしながら、苦笑いを浮かべるアミさんを見つめる。
「いいえ、分かりません…。大叔母様、落ち着いてください」
今にも暴れ出しそうなバーチャマおばあちゃんを抑えながらそう告げるアミさんの表情はいかにも疲れましたーと言っているようだ。
俺は
「私の魅惑のボディーを拒否するとは…成敗しちゃる〜!」
と強く意気込みながら空中をポカすか殴るバーチャマおばあちゃんを尻目に、アミさんにもう一度尋ねた。
「本当に知らないんですか?バーチャマおばあちゃんは知ってたのに」
バーチャマおばあちゃんの肩を掴みながら一瞬、顔を曇らせるアミさん。これは訳ありだなと思った俺はやっぱりいいです、と伝えながらその場を離れた。
後方から覚えておけ、小僧、という鬼の雄叫びのような声が聞こえてきたが今は無視だ。
何故なら俺の頭の中はあの石版のことでいっぱいだったからだ。
「なんで隠すんだろう?」
辺りを見渡しながら一人ポツリと呟く。結局砂漠は何も答えてくれなかった。
しばらくの間、この小説の誤字脱字や矛盾点を改善する期間にしたいと思いますので、一週間か二週間更新しないかもしれません。
ご了承ください。
内容自体に変更はないはずなので大丈夫なはずです…。
終わり次第、第二章「オジー王国城編(仮)」にはいりたいと思います。




